2016/11/08 のログ
ご案内:「セレネルの海」にアンブロシアさんが現れました。
アンブロシア >  
――…人影を照らすのは月と星のおぼろげで頼りない輝き、足音を掻き消すように響くは潮の寄せては返す波の音。それだけ見ればさぞセレネルの海に面した白い砂浜は幻想的な光景だろう。人影もその幻想的な光景を眺め夜の気晴らしの散策をしている様に見える……。

が、それはあくまでも何も知らぬものが見た光景、何もしらぬ人が見るであろう光景。

日常、現実、穏やかな砂浜……

しかしその世界には醜悪なヒトを喰らう魔物が紛れ込んでいる。それはモノに紛れヒトを欺きヒトを喰らう魔物……ミミックともリビングアーマー等と称される何かに巣食い擬態化する種族

それも今宵獲物を求めて彷徨っているのは亜種
「物」ではなく「者」に擬態するアンブロシアと呼ばれるモンスターであった。

ずる……ずる………ずるずる………

と、耳を澄ませば波の音に混じり不穏な何か重たい物体を引きずる音が聞こえるだろう。

ご案内:「セレネルの海」にハナビさんが現れました。
ハナビ > 「フゥー、いい気持ち…やっぱ夜の海はいいなぁ」

テトラポットの上に腰掛けて、足をぶらぶらさせながら夜空を見上げている
漣の音が響く海岸線で、ふと耳を向ければ何かがズルズルと這い寄る音
しかし特段気にしなかったのか気のせいかなと流し夜の海を堪能していた

アンブロシア >  
潮風に混じり鋭敏な聴覚を刺激する音色を魔物は聴き捉えると、ボロボロの朽ちかけたローブの中で一斉に「それ」を形成する触手の群れが喚きだし、互いに絡み合う度に滲む粘液が量を増し、響かせる何かを引きずる音に重みが増す。

ずる……ずる………ずるずる……

重たくなる足音は着実に聴覚を頼りに音色の方へと足を進め、近づいていく。美味しそうなのか不味そうなのかはまだ判らないが、群れの意思は苗床を求めてその音色の方へと歩ませる。

距離にしてそんなに離れていないだろう、だが
直ぐに到達するほどに動きは早いものではなく、酔った人間のように左右にブレながら、千鳥足みたいにゆらり、ゆらり、ぐらりと不自然な動作で歩み続けた。

ハナビ > 「…ん?」
ピク、と耳が動き鼻がスンと鳴る
潮風が向かい風だったので気づかなかったが、近くから異臭。
まるでサハギンとかローパーのような生臭いような匂い。

「…誰?」
後ろを振り返れば、そこにはローブを着た人のようなものが立っていた。
僅かに手に闘気を持たせて、様子を伺う

アンブロシア >  
ゆっくりとゆっくりと……硬い木を削るように少しずつ距離を詰め、聴覚を心地良く揺さぶる誰かの声に向けて歩みを進めていたが、唐突にピタリと歩みを止め、不自然に左右に身体を揺らすのすら止めて、対象と距離を取る。

聴覚よりも鋭敏な触感とも言うべき肌の感覚が感じたのは声の主がまとう僅かな闘気、脅威となるべき力を感じ、それ以上距離を詰めるのを止めたのだ。

べちゃ……べちゃべちゃ……

足音よりも更に粘り気の強い重たい水音を奏で、ボロボロのローブの裾から人の指の如く伸びた5本の触手のうち上から二本目の触手を伸ばし、ヒトであれば指を差す様にじっと触手の先端で相手を指し示し……石膏で固められた像の如く直立不動で立ち尽くす。

重たい音色の主はそんな対象を指し示す指先から滴る透明な粘液が砂浜に落ちて染みを生み出す音。
触手の先端よりぷくりと現れて、静かに照らす夜空の僅かな明かりにキラキラと輝く粘液の糸が滴る音。

ハナビ > 「…何か用ってわけでもなさそうだけど」

ゆらゆらと不自然に動く奇妙な人型。
まるでローブを被ったゾンビかのような動きに警戒を強めるも、正直アンデッドの一匹や二匹、ワイトキングやリッチ、ヴァンパイアクイーンのようなアンデッドロード種でもない限り脅威とはなり得ない。

僅かに闘気を込めながら様子を見ていれば相手はピタリと動きを止め、触手でこちらを指差して来た。

「…だから、何か用があるの!?」
相手の不可解な行動に痺れを切らしたのかテトラポットから降りて砂浜に着地する。

アンブロシア > 声色を荒げる声の主、その手にまとった忌むべき脅威となるうる力。正面より立ち向かっては勝てる術もなく、脆弱な身体を消耗させるのは種の存続に不利益となると群れなす触手達は判断する。

――…ならば導き出す応えは一つ。
ローブの裾より零れていた粘液が小さくも水溜りを作るまでに滴る落ちると、バシャンッと水に何かが飛び込むような音を立たせ、群れなす触手は一斉に粘液溜まりに飛び込む形を取り、その場より姿を消す。粘液に固められた砂を泳ぎ、群れが再び集うのは何時か、表皮の粘液が乾かぬように闇の帳が下りる頃か……。

白い砂浜に残していったのはボロボロの布切れと変わらぬローブ。

そして潮風に紛れかおる生臭い粘液の香りであった。

ご案内:「セレネルの海」からアンブロシアさんが去りました。
ハナビ > 「逃げた…むぅ」

追いかけることはわけないがこの寒い時期にさすがに水の中にまで入りたくはない。

「いいもん 気にしないもん」

ぷいっとしながら街の中へと戻っていった

ご案内:「セレネルの海」からハナビさんが去りました。