2023/07/01 のログ
ご案内:「◆ゾス村(イベント開催中)」にルイトさんが現れました。
■ルイト > 「……これに懲りたら、少しは大人しく飲むこったな。あんた大人だろ?」
どうにも最近はきな臭い、村の外れ。
うつ伏せに倒れて肩で息をしている男の頭を木刀でぽんぽんと叩きながら、少年は呆れ混じりに話しかけている。
しゃがみこんだ姿勢から立ち上がり、腰に刀を収めて軽く伸びをした。
「──ッたく。酒で前後不覚になる連中の多いこと」
冒険者ゆえの気の大きさというのもあるが、それにしたって店に迷惑をかける輩が増えてきた。
ここの酒場の用心棒をしているわけでもないし、ただふらっと立ち寄っただけなのだが…
店員に横柄な振舞いをしている男を見かねて声をかけたのがつい先程。
生意気だと喧嘩を売られ、仕方ないと村の外れまで連れ出してボコボコに叩きのめしてやった。
あまり暴力で解決したくもないが、状況が状況だ。
さて。もう一度酒場に戻って寛ぎ直すか、それとも宿に戻って今日は寝てしまうか。
どうしようかと夜空を見上げ、溜息を零す。
ご案内:「◆ゾス村(イベント開催中)」にルスカさんが現れました。
■ルスカ > ぱん、ぱん、ぱん―――不意に、乾いた音が続けて響いた。
音を立てたのは少し離れた物陰から、事の成り行きを観察していた者の、白い掌。
つまりは拍手だったのだが、いきなり予期せぬところから拍手など送られて、
相手がどう思うか、などということを、この掌の主は考えない。
「へぇえ、凄いねぇ……あんた、なかなか強いじゃないか」
呑気にそんな台詞を吐きながら、隠れていた物陰からひょいと姿を現す、細身のシルエット。
草履履きの足をゆったりと、けれど躊躇わず運んで彼我の距離を削ろうとしつつ、
性別不詳の白皙に、ごく気安い薄笑みを浮かばせて。
「その腰のものも、見掛け倒しじゃなかったねぇ。
いや、本当に、良いもの見せて貰ったよ、ありがとう」
思いがけず、こんな所で、強い男に行き会えたので、少年はしごく上機嫌である。
歩み寄って、何なら握手のひとつも求めたいところだった。
■ルイト > 此処で考え込んでいても致し方ない。一旦村に戻ろうと踏み出しかけた足が、何処かから響く拍手の音にピタリと止まる。
少し離れた物陰から上がる音と、声と。遅れて現れた細面に振り返り、緑色の瞳を眇める。
「お褒めのお言葉どうも。見てたんなら助太刀してくれても良かったんだけどな。
……ま、こいつも大した腕じゃなかったし。それはいいか」
気を飛ばしているらしい喧嘩相手を一瞥し、此方に足を運ばせて距離を詰めてくる顔に視線を戻す。
口元に湛える薄笑み。気安い雰囲気を形作っているようだが、油断はしない。
腰の木刀に軽く手を添えたまま、言葉を続けて。
「で、あんたは? 喧嘩の物見にこんなところまで、ってわけでもないだろ。俺になんか用事?」
握手は求められれば応えないこともないが、先ずは目的を問うてみる。
不躾ながら、その出で立ちをのんびりと眺め──帝国の方の出だろうか。そんなあたりをつけた。
■ルスカ > 慣れない者なら盛大に裾を引き摺ってしまいそうな異国の衣と、
あまり悪路を歩くには向かないような履き物で、しかし足取りは軽やかだった。
近づけば、風の加減で微かに漂う、これも異国のものと思しき香り。
相手が夜目の利く質ならば、あるいは少年の唇に、薄く紅が引かれているのにも気付くかもしれない。
その紅い唇が、彼の言葉の前半部分に、にぃ、と更に深く弧を描く。
「助太刀が必要そうには見えなかったからねぇ。
それに、ご覧よ。 このなりが、荒事向きに見えるかい?」
ひらり、たっぷりとした袖を強調するように、軽く両腕を広げてみせる。
彼の手が腰のものに掛かったままであると見て、近づく足をつと止めて、
「用事、というか、うん、そうだねぇ……、
あんた、さっきの店で雇われてるのかい?
それともどこか、よそで仕事をしてるのかな」
まずはそこから聞いておきたい。
定職についていて、金に困っていない相手なら、こちらも攻め方を変えなければならないからだ。
笑顔は笑顔のままだったけれど、翠の瞳の奥には確かに、相手を値踏みする光がある。
■ルイト > ふわり、と。鼻腔を掠める異国の香に瞬く。
少なくとも自分が着れば、歩く中で躓いてしまいそうな丈長めの衣。
それを身に纏いなお軽やかに動く様を、少々感心するように眺めていた。
──じぃ、と相手を観察する瞳が、口元に引かれた紅に止まった。見た目通りの洒落者のようだ。
「まぁな。でも俺よりか、魔法や術が得意そうには見えるぜ」
完全に見た目だけで評している。両腕を広げればたっぷりとした袖が風に微か揺れて、
視線は其方へ一瞬吸い寄せられた。
「さっきの店。……あの酒場? いや、雇われてはねぇよ。
普段は王都の方で暮らしてる。仕事も基本、そっちだな。こっちに来てたのは偶々だ」
翠の瞳。自身と似たような色のそれを見返しながら、その奥に潜む値踏みの光を敏感に察する。
とはいえ、ここで嘘を吐く理由はない。一先ずは素直に答えて、首を傾ぐ。
■ルスカ > 洒落者、というより、単なる変わり者。
そう評されることの方がずっと多いが、なるほど、この格好から連想されるのは、
魔術、妖術、そういう類か。
一瞬だけ、きょとんと見開いた瞳をすぐ、おかしげに細めて頷き、
「それこそ、あの程度の男相手には、使う必要なさそうじゃないか。
……ああ、水でもぶっかけてやれば、すぐ正気に戻ったかも知れないねぇ」
ただし、この少年には魔術の才能も皆無である。
そういう意味では完全に、見掛け倒し、の格好だった。
広げた袖を巻き込んで、緩く腕組みの姿勢になりつつ。
小首を傾げ、そろそろ値踏みしているのを隠す気も無い表情で、
ふむふむ、と小さく首肯を繰り返してから。
「そうか、……王都での仕事っていうのは、具体的に、どんな?」
直截的な問いかけを、訝しく思われるやも知れぬ、と、聞いてしまってから気が付いた。
あわてて、ぱ、と笑顔を取り繕い、
「ああ、すまない、不躾だったね。
ごめんよ、……実は、ちょっと困っているんだ。
もしもあんたが暇だったら、ひとつ、仕事を頼もうと思ったのさ」
■ルイト > 無論、魔法を駆使できる者であれば魔力の有無等、もう少し深く探れたかもしれないが。
生憎この少年は剣術・体術しか出来ない。だからあくまで連想・推測で物を言っているだけだ。
水をぶっかけて、という言葉に笑う。袖無しの上着から剥き出しの肩が揺れる。
「ま、店の中で揉めるのは面倒だ…つって此処に連れてきちまったけど、
いざその場で冷水でもぶっかけて目を覚ましてやれば手っ取り早かったかもな」
さておき。出会ったばかりの彼に値踏みされているのをしっかり感じながら、
続けての直截的な問いにちらりと視線が腰の木刀に落ちる。
「別に構わねェよ。王都での仕事は、そうだな。これと似たようなもんだ。
酒場とか、人が集まる所の用心棒。それで、暴れるような輩がいりゃ叩き出す」
とまで言った所で"困っている"という彼の言葉にはたと口を噤む。
仕事の誘いか。まぁ今は暇といえば暇だし、応えられないというわけではないが。
「仕事ね。別にいいけど……先に内容を教えてくれよ。俺を見て誘うってことは──荒事か?」
■ルスカ > 「……まあ、もしあんたがそうしていたら、僕に絡まれることも無かったかも」
『目をつけられることも』無かっただろう、と言ってしまうのは、さすがに避けた。
この段階で、警戒されて良いことなどまるで無いのだから。
あくまで、そう、あくまでも―――――今は『仕事』の話をしているだけだ。
困っている、というのも、あながち嘘ではないのだし。
「用心棒ね、なるほど、それでさっきのあの腕か。
ますます気に入ったよ、……是非とも、僕を助けて欲しいものだ」
語調にいささか熱が籠る、そして今度も、危うくあるひと言を呑み込んだ。
『ますます欲しくなった』だなんて言ったら、それこそあらぬ誤解を生みそうだ。
こほん、とひとつ、そっぽを向いて空咳をすることで、失言寸前だった自身を戒めてから。
組んだ両手を再び解き、掌を上にして、彼の方へそっと差し伸ばし、
「荒事になる可能性は、そうだね、大分高いと思う。
だけどあんたさえ良ければ、……取り敢えず、何日かで良いんだ。
僕の護衛を、やってくれないかい?」
一人旅の用心に、人を雇おうとは思っていた。
だからこの依頼は、半分は真実で―――――けれど半分は、嘘っぱちだ。
そっと仕掛けた罠に、相手がかかってくれるかどうか。
表情は、眼差しは、媚びすぎていないだろうか―――。
■ルイト > 「だな。……どこに出会いの種が転がってるのかわからんもんだ」
少なくとも喧嘩を売ってきたごろつきに感謝する気持ちこそないが、
それを買ったことで生まれた縁といえよう。
どこか妖艶さも垣間見える容姿を眺めながら、いわく"仕事"の話に耳傾ける。
「偶に鍛錬も兼ねて冒険者の真似事をしてるけどな。
…随分一目置かれちまったね。でもま、人から良く思われるのは悪い気分じゃねェか」
まさか彼が失言寸前だったなんて知る由もない。
そっぽ向いての空咳に、怪訝そうな表情を一瞬浮かべるも──
そのまま、片手を差し伸べられるとはたと瞬く。少し視線を落とせば、そこには掌。
「ふぅん」
提案を受け、少し思案する。
護衛。仕事としては中々面白そうだ。腕を磨くチャンスでもある。
酒場の用心棒で酔客ばかり相手にしていても、伸びしろはあまり無いと感じていた故の。
「──ま、いいよ。あんたが一体どこに行くのか、どこを旅するのかまだ知らねェけど…
護衛、受けてやってもいいぜ」
組んでいた腕を解き、笑み混じりに頷いてみせる。
任せろというようにぽん、と腰に下げた木刀を軽く叩いてみせた。
■ルスカ > 「――――……本当に」
微笑んで、ひとつ、静かに頷く。
この出会いが縁だとするなら、相手にとってはとんだ悪縁だろうに、
―――――少年にとっては、今のところ真逆だ。
この青年ならきっと、『あのひと』も気に入ってくれる筈。
「でかい得物ぶら下げてても、見掛け倒しの男も居るからね。
そもそも、こんな風に、実際、腕を振るっているところを見てから
誘える機会って、意外と無いもんだし……」
そういう意味でも、こちらにとっては幸運だったのだ。
差し伸べた掌を、取って貰える確率は、果たしてどれくらいか。
疑われるような要素は、少なくとも、誘い文句には無かった筈だけれど、
―――――彼が思案する間、翠玉の瞳は瞬きもせず、じ、と彼を見つめていた。
意識せず、呼吸すら止めていたかも知れない。
だから彼が頷いてくれた時、薄っぺらい肩は大袈裟なほど上下して、
ほう、と息を吐く音さえ聞こえてしまうくらい、安堵を露わに。
「本当に、良いのかい?
ああ、嬉しい、良かった…… 実は僕、一人で旅をするのはこれが初めてなんだ。
ここまでは特に危険な目にも遭わなかったけど、この村にもちらほら物騒な人種が居るようだし、
街道を使っても、山賊に襲われたりするらしいじゃないか、だから、」
やや早口で、心なしか身も乗り出し気味に言い募る姿は、最初の印象より、子供っぽく見えるかもしれない。
自分でも、はた、と気づいて口ごもり、微かに頬を赤らめる。
ぎこちなく俯いて、しばし、口をパクパク動かしてから、
「……と、取り敢えず、王都に行こうと思ってるんだ、けど。
今夜はもう遅いから、早くても出発は明日の朝……
けど、もし、そっちの仕事の都合とかあるなら、何日かは待てるから」
良いかな、と語尾を上げて、上目に彼の反応を窺い。