2020/01/27 のログ
ご案内:「ゾス村」にネメシスさんが現れました。
ネメシス > ゾス村に現れた騎士団の一行。
白銀の鎧を纏った副団長であるネメシスの支持の元、若い女達が馬車に載せられていく。

阻まんとする村の男たちは団員達に首を刎ねられ、物言わぬ死体にされる。
それを見て泣きわめく村人、嘲笑う団員達。

そんな状況を尻目に、ネメシスは呑気に茶を楽しんでいる。
鎧を纏った彼女が腰かけているのは根倉から連れてきた奴隷たちである。

「ちょっと、右側が揺れているわよ。
頭に熱いお茶でもかけられたいの?」

奴隷の一人が謝意を述べると、また紅茶を一口。

ご案内:「ゾス村」にゼナさんが現れました。
ゼナ > その娘はただの旅人として、小村に1軒だけ存在する宿屋に泊まっていたのだと言う。まだ20にも至っていないだろう年若さに特有の瑞々しい肌は、恐らく南方人の血でも混じっているのだろう健康的に日に焼けた小麦の色。
顔横に一房だけ垂らした細い三編みの特徴的な短髪は黄金の輝きで薄曇りの陽光を艷やかに反射する。
その顔立ちは些か眼力の強すぎるきらいこそあれサファイアめいた蒼瞳とぽってりと血色の良い唇が印象的な見事に整った物。

着衣の全てを剥ぎ取られ、代わりに上物の奴隷が冬の寒さに体調など崩さぬ様に防寒の魔術も付与された首輪だけを身に着けた裸身は、豊かに育った乳と尻、それに対して薄っすらと腹筋を浮かせるしなやかな腰の括れもいやらしいグラマラスなプロポーション。
メロン大の爆乳は、重量感もかなりの物だろうに、ブラの着用さえ許されぬ状況にあっても桜色の先端をツンと上向きに持ち上げる弾力性に富んだ物。
幼女めいてぴっちりと閉じ合わさった秘裂は少し大きめの淫核だけが僅かに顔を覗かせているものの、花弁のはみ出しなどは見られず、産毛めいて柔らかな恥毛がIライン周辺を薄く飾っているだけの処女めいたもの。
手の早い団員が確認した所では、乙女の証も残っていたらしく、そのまま売りに出せば相当な高値が付くという事で、騎士団を名乗りながらも実質山賊と何ら変わらぬ者達の劣情の視線に晒されながらも、未だ陵辱の憂き目にはあっていなかった。

一見してむちむちとした肉付きのいやらしい垂涎物の無力な獲物。しかし、注意深くその所作を見れば、この娘がただの旅人などであるはずがないと気付けただろう。
戦士というには歴戦を物語る傷跡もなく、筋骨の発達ぶりも町娘よりは多少マシといった程度。それでも顔を動かすことなく視線だけでさり気なく暴漢達の配置を探る双眸や、だらりと棒立ちしているようでいて、いざ事が起こればどの様な事態にも即応してのけるだろう立ち姿は、ベテランどころか達人の風格さえ漂わせている。

ネメシス > 「困ったことになったわね。」

先ほどまで余裕の表情を浮かべていたネメシスであったが、その顔色は途端に悪くなる。

ネメシス以外の団員たちはその原因に気付かず、僅かに察しの良いものが不手際でもあったかと尋ねに来る有様。

「誰よ、あんな女を連れてきたのは。」

ネメシスが指さしたのは小麦色の肌の女性。
日頃であれば機嫌を良くしていたであろうグラマーな女の裸体にも関わらず、その表情は重い。

「あの女は私が見分するわ、こっちに連れてきて頂戴。」

指示を受けた団員達が、訝し気な表情を浮かべつつも言われたとおりに女を連れに向かう。

「あなたたちは奴隷の収容を続けて。
ただ、直ぐにでも戦闘できるように注意は怠らないこと。」

ネメシスの眉間に皺が寄るが、団員達にはその危機感は伝わらなかった。

碌に抵抗する者の居ないはずでの接収作業。
連れている者は団員の中でも新人クラスばかりである。

奴隷が近づいてくるまでの間、ネメシスは腰から剣を抜いた状態で徐に立ち上がった。

ネメシスの想像が正しければ、彼女はたとえ裸であろうと大人しく組み敷けるような相手ではないはずだ。

ゼナ > (山奥の寒村とはいっても、流石に村一つ落とすつもりで来ただけあって人数は多いですね。少なくとも20,下手したら30はいるかも…。それでも所詮は山賊です。大した使い手もいないみたいですし、これなら騎士団を待たなくてもわたし一人でも対処出来そうです。 ―――まぁ、騎士の人たちは一人の撃ち漏らしもなく完勝したがってるみたいでしたし、勝手な事して報酬を減らされるのも困りますから、もうしばらくは我慢しておきましょう。)

下卑た笑みを浮かべた団員達の、舐め回す様な視姦に小麦の頬を染めて、両手で胸を隠してその場にしゃがみ込んでしまいたいという羞恥を押し殺して目の動きだけでの調査を終えたゼナは、彼らの戦力規模が想定内であったことに小さく安堵の吐息を零した。
そんなタイミングで団員の一人が近付いて来て、乱暴にゼナの腕を引く。
素人のフリをしてバランスを崩して見せたゼナの豊乳が盛大にたゆんっと撓み、男好きのするプロポーションを愉しんでいた男達の歓声を誘った。
手出しするなと言われたが、これくらいなら問題無いだろうと勝手な理屈を捏ねて、おそらくは指揮官クラスのいる場所へと向かっているのだろう案内役が乱暴な手付きでゼナの乳房を揉みしだく。

「――――んぅ…ッ♥」

思わず漏れた声音に若干の甘やかさが混じってしまった事が余計に気恥ずかしく、それ以降は頬の赤味を強めながらも必死で口を噤んでまだ若い、しかし生来の悪辣さを表情に覗かせる団員の悪戯に耐えつつ歩を進める。
無論、その間にも油断なく動く蒼瞳が村内の状況をつぶさに確認する。村人のほとんどは完全に無力化され、若い娘や物資の積み込みも急ピッチで進められている。
このまま手をこまねいていては、騎士団が到着する頃にはゼナも含めた全てが彼らのねぐらに持ち運ばれた後、なんて事にもなりかねない。
どうやら、少なくとも一人くらいは緊張感を持った物がいるらしい。注意すべきは恐らく彼らのリーダーなのだろうその男くらいかと、未だ相手の容貌を見ていないゼナは判断した。
そんなゼナが連れて行かれるのはどういった場所になるのか。少なくともその場所と一番厄介な相手だろう指揮官の姿を確認するまでは大人しくしてるつもり。

ネメシス > 女が団員のひとりに揉みしだかれながら連れていかれた先は、村の広場である。

首を失った村人の死体が乱雑に積み上げられ、周囲の団員数名は弓やボウガンを構えている。
そして、女と同じ背丈であり、白銀の鎧を纏い、剣を手にした副団長であるネメシスが険しい表情を浮かべて立っていた。

「あなた、どこぞの商会の人よね?
名前は………ゼナだったかしら?」

ネメシスの険しい声に、ゼナの身体を楽しんでいた団員の表情が硬くなる。

「その女を厳重に縛りなさい。」

ネメシスの号令の元、2人の団員がゼナの元へ荒縄を手に近づいていく。

抵抗しなければ、彼らはゼナの両手を乱雑に縛り上げることだろう。

抵抗すれば、周囲の団員達が一斉に矢を放つ。

案内役の団員は状況の変化についていけず、困惑気味だ。
そして、団員の腰には鈍ら同然の剣がぶら下っている。

ゼナ > 「…………………っ」

思わず眉根をしかめてしまった。
無力な旅人を演じるのであれば、悲鳴の一つでも上げて震えて見せるべきだったのだろうが、今もどす黒い血池を広げる首なし死体の小山には、つい素の表情が覗いてしまった。
効率的で迅速な制圧のための見せしめが必要なのは分かる。ゼナとて冒険者仕事の無い時には、傭兵じみた戦場仕事を請け負う事もあるのでその辺りの理屈が分からぬ訳ではないのだ。
それでもやはり、無力な村人達が物言わぬ屍を晒し、それを止める事の出来た自分が未だに手をこまねいているという現状にはこみ上げて来るものもある。

「―――こんな山奥で活動している賊にしてはよくご存知ですね。」

一瞬ぴくっと肩が跳ねるも、真っ直ぐに相手に向けた蒼瞳は怯えの色の一片もなくしれっと挑発的な言葉を投げた。名前さえ知られているのだ。ここに来て素人のフリなどしても意味などない。元村人の無残なオブジェを目にしてすっかり心の決まってしまったゼナが、完全に戦士の顔で彼らの頭領と相対する。
その眼前に立っていたのは、向けられた問いのトーンの高さを裏切らぬ、事によればゼナよりも1つか2つは若いだろう娘の姿。山賊共の頭領というよりも、自分と隣り合って彼らの獲物として運ばれる方が余程に似合うその容姿。
顔立ちの険も薄く、この様な場所でなければ可愛らしいとさえ思っただろう。
が、その茶色の瞳の奥、狂信者めいた揺らめきがある事をゼナは見逃さない。
生まれ育った環境ゆえの歪みなのか、それとも彼女が生来持ち合わせた物なのかは分からぬ物の、恐らくゼナとは相容れぬだろう価値観に染まってしまっている。悪行を悪行とさえ認識していない可能性さえある。
そこまで判断した所で、女首領の命に応じて荒縄を携えた男達が近付いてくるならば、ゼナは観念したかの様に双眸を閉ざしてポツリと漏らす。

「時間稼ぎはここまでですね。全く、騎士の方々ってどうしてこうお仕事が遅いんでしょうか……」

はぁ……と漏らした溜息の場違いさに、案内役としてゼナを連れてきた団員の困惑が強まる。そしてその刹那、ゼナの姿が小麦の残影を残して彼の視線から消え失せ―――――かと思った次の瞬間、シュァァンッという鞘走りの音も鮮やかに引き抜いたなまくらが、銀光一閃。
己が獲物を奪い取られた事にも気付かずにぽかんと棒立ちしている青年と、荒縄だけを手に刃圏に近付いた愚か者の鎧の隙間から覗く着衣を、その皮下に走る大動脈と共に断ち斬った。

ネメシス > 団員達は皆倫理も常識も抜け落ちた連中ばかりである。
既に村の中には抵抗する者はいないと高を括っているのか。
ゲラゲラと笑みを浮かべている姿も。。

「我々聖騎士団を賊と一緒にするとは困ったものね。」

剣を手にしたまま、ため息をつくネメシス。
ゼナの予想通り、副団長であるネメシスには自らの行いが悪行であると言う認識は到底存在しない。

自らは神に選ばれた聖騎士であり、愚民どもを導いているすぎない。

そもそも半ば神の依り代として奴隷に産ませたネメシスは常人よりも一段上の存在と
団の皆が信じて居るのだ。

そして、ゼナの咄嗟の行動で3名の団員がただの鈍らで切り伏せられるが、誰も驚くことはなかった。
むしろ、ざまあねえなと嘲笑う者すらいる。
団員達にとって、仲間の命ですら惜しむ様なものではないのだ。


「やっぱりね。
射手! 射殺しなさい。」

ネメシスだけはこの展開を既に予想をしていたのか。
慌てることなく、周囲の弓手に一斉射を命じる。
ゼナを取り囲む位置に配されている弓手達が弦を引き、矢が風を切る。

ゼナの手元には血で濡れた鈍ら。
そして、足元に転がる3体の死体。

周囲には弓やボウガンを手にした団員達と、ネメシスの護衛役の槍使いが数名。
但し、ネメシス以外は皆雑兵レベルであるが。

そして、遠くからは馬車が出発する音が。
どうやら奴隷たちを積み終えた場合、先に出発することになっていたようで。

ゼナ > 「聖騎士、ですか……貴女からは神の名の元に外道にも劣る所業を嬉々として繰り返す者たちと同じ匂いがします」

これだけの強悪を積み上げておいて、なお自分たちを聖なる者として揺るぎもしていない。そんな彼女の在り方にますます眉根を顰めた戦士娘の舞踏めいた剣捌きが、一瞬にして3人の悪漢の命を奪う。
ただの山賊であれば無力な全裸娘の的確な反撃に色めき立ち、盛大な隙を晒してさらなる犠牲者を積み重ねる所だろう。しかし彼らの反応は、そうしたゼナの予測をあっさりと裏切る淡白な物だった。
なるほど、たしかにただの山賊などではなさそうだ。
――――とは言え

「所詮は練度も低いゴロツキ集団。多少数が多かろうと、どうという事はありません!」

一太刀で首を落とし、心の臓を貫いて即死させる事も出来たのに、あえて大動脈を切り裂いて緩慢な死を与えた理由がそこにあった。噴水めいた勢いで撒き散らされる命の水を前に、膝を落としていた悪漢の一人。最初の犠牲者の中でも特に大柄な団員の首根を掴んだ左腕が、町娘とは一線を画した力強さでその身を引き起こし、靠の要領でその懐に潜り込んで小麦の裸身を覆い隠す。

「おおぉぉぉぉぉぉぉおおお――――ッ!」

そしてそのまま無数の矢羽に貫かれ、失せつつあった命の灯火を完全に消した巨躯の肉盾を担いだゼナは、雄牛めいて力強い突進で一気に弓手との距離を詰める。鉄鎧すら貫通する悪魔の武器、弩のクォレルの何本かが肉盾を貫通して小麦肌にも浅い矢傷を穿つ物の、その程度で足を止めるほど軟な生き方はしていない。
一息で射手との距離を詰めたゼナが急停止にてハリネズミとなった屍を跳ね飛ばしながら腰を撚る。そして弛めた筋骨のしなやかさを十全に生かした横薙ぎが、片手剣の柄を握る腕の手首をもう一方の手指で鷲掴みにした両手持ちの剛閃で3人の弓手の身体を深々と断斬した。
無論、安物剣がそんな一閃に耐えられるはずもなく、なまくらな剣身を3人目の胴に深々と食い込ませたままペキンと折れる。
しかし、その頃には既に新たな犠牲者の腰から手斧と小剣を引き抜いていたゼナは、射手の樹列の影の中、小麦色の竜巻の如く暴れ回る。
豊満な乳房とボリュームたっぷりの尻肉がダイナミックに揺れ撓み、悲鳴の合間に噴き散らされる鮮血の雨が健康的に焼けた雌肌を斑に染めていく。

遠間の射手からの追撃は、彼らの仲間の身体を遮蔽物として利用して受け止め、その合間から突き出される槍は、斧顎に引っ掛けて切っ先を逸らして懐に潜り込み、全身をぶつけるかの小剣の一撃で急所を貫き絶命させる。

ネメシス > 「そんな悍ましい連中が居るなんてね。
でも、そんな連中と一緒にするってことは貴女の嗅覚はちょと鈍ってるのかも。」

腕利きに団員達が命を散らすのはよくあることであった。
現地調達のごろつきに武器を持たせただけのような編成である。
幸いなのは、今のマグメールの世情ではそういった者たちをほぼ無限に拾えることであろうか。

「やれやれ、困ったことになったわね。」

団員の死体を盾に突撃を成功させたゼナが弓兵たちを蹴散す。
裸の娘の猛攻に団員達は恐慌状態に陥りつつあった。

数で取り囲めばまだ活路は見いだせた可能性があるにも関わらず、
それぞれがバラバラに弓を撃ってしまい、面での制圧が取れなくなっていく。

当然、猛牛の如く荒れ狂うゼナに一人、また一人と打倒されて。
奴隷の搬送を優先させたこともあり、気づけばネメシスと護衛の槍使い、彼女が椅子代わりに使っていた
奴隷が数名残るのみであった。

「本当に困ったことになったわね。」

剣を手にしたネメシスだが、その表情は何故か喜びに満ちていた。

「貴女みたいな強者と交わるのは初めてよ。
思いきり楽しみましょう。」

茶色の瞳を輝かせ、ゼナの元へと駆けるネメシス。

肉厚のロングソードを両手で構えると、勢いよく接近しては血濡れの裸体めがけ横薙ぎにせんと。

ゼナ > 「ハッ! シァッ! てやァァァアアッ!」

裂帛の掛け声と共に振るわれる手斧が兜ごと雑兵の頭蓋を叩き割り、小剣の一閃が内腿の大動脈を切り裂き。流れる様に持ち替えた手槍の連突きで至近の3人を刺し貫き、背中にも目が付いているのではないかと思われる完璧なタイミングのスピンで背筋に迫っていた矢羽を避けつつ、捻りの勢いのままの投槍を放つ。
一人の胴を貫通するに留まらず、その後方に控えていた別の一人も串刺しにしたその成果も見届けず、野生の猛獣めいてその場を飛び退いた裸身は次の1団に襲いかかる。
突き出される槍先をムチの様にしならせた手甲で逸らし、それと交差するように持ち上げた脚線が竜尾の一撃の如く犠牲者の喉首を砕いて吹き飛ばす。死出の旅路の最中、むっちりとした太腿の付け根にて淫猥に拉げた秘園やら、フォロースルーに揺れ撓む尻肉の瑞々しさを目撃出来た事は、いくらかの慰めになるだろうか。

「――――ハッ、ハッ、ハッ、ハ…ッ、シィィィィィ……ッ、フゥゥウゥゥウ………ッ」

時間にすれば物の数分に過ぎぬ鏖殺劇。油断なく幾重にも全裸娘を取り囲んでいた悪漢の人垣が、今や自らの垂れ流した血の池に蹲ってくぐもった嗚咽を漏らす半死の群と化していた。
流石に離れた場所からおそらくは彼らの拠点へと向かったのだろう馬車は放置せざるを得なかったが、街道から外れることの出来ぬ彼らは間近に迫っているだろう騎士の一団と鉢合わせることになるはずだ。
となれば後の仕事は、眼前にて未だ満足な立ち姿を保つ数名。『困ったことになった』などといいつつも不気味な程に余裕を保つ女首領と、おそらくはその護衛と思しき槍使い。そしてあまりの出来事と、返り血塗れのゼナへの畏れに戦慄く奴隷たち。
真冬の寒気の中、臓物混じりの血臭を孕む湯気をもうもうを立ち上らせる血濡れた裸身が、弾む呼気をただ一度だけの息吹で整え、爛々と光ってすら見える蒼瞳を女首領に向けた。
その手に携えるのは、ラビリントスと呼ばれる双刃の両手斧。
力自慢の巨漢が携えることこそ相応しい剛斧は、しかし、全裸の小躯にピタリとフィットして見えよう。使い慣れた両手剣程ではないにせよ、用途の近しい巨大武器ゆえの一体感。

「――――貴女は、本当に救いがたい人です。いいでしょう、言葉で分かり合えぬのならば、後はもう力で間違いを正すより他にありませんっ」

人肌の体温を持つ木偶人形。手練の戦士にとってはその程度にしか思えぬ雑兵とは、明らかに異なる雰囲気を持つ娘の疾駆が急速にその距離を狭めてくる。
対するゼナは腰を落として身を捻り、おそらくは初手にて放たれるだろう横薙ぎに対して挨拶代わりの一閃を合わせにいく。
後方に飛び退りながらの横撃は、振るわれる剣鉈を狙っての物。
救いようの無い悪人であろうとも、己と同年代にしか見えぬ娘をいきなり切り捨てることには若干の躊躇がある。そんな、未だ消え切らぬ甘さが招いた武器狙いなれど、ゼナの剛力とラビリントスの重量が、螺旋の遠心を乗せて放たれる一撃である。
彼女が見た目通りの娘の膂力しか持ち合わせぬなら、あっさりとその武器は跳ね飛ばされるだろうし、下手に抗すれば細腕諸共圧し折るに十分な威力。そこまでの結果を産まずとも『弾き』で彼女が体勢を崩したならば、着地の反射も用いた切り返しの突進が有効打に繋がる事となるだろう。

ネメシス > 全裸のゼナの凹凸に長けたボディは、団員達の目を奪った。
鬼気迫る希薄で襲われているにも関わらず、欲深な団員達は
愚かな劣情のままにぷるんと揺れる胸や、露な秘裂に視線をむけてしまい、
次の瞬間には物言わぬ屍と化していく。

十数人は居たであろう団員達の粗方を一瞬で平らげた女戦士を前に駆け抜ける。
ネメシスがロングソードを横薙ぎした所、双刃の大斧と正面切ってかち合う。

「あらら、本当に困ったことになったわね。」

ネメシスの持っている剣は所謂伝説の武器の類ではなく。
重量武器である斧と正面からかち合えば、当然のごとく刃が折れてしまう。

「…今よ。」

だが、ゼナが切り返しの突進を狙おうとした瞬間、脇腹を狙うかのように槍を持った団員が刺突を繰り出す。

騎士団は非道を行うだけでなく、不意打ちの類も平気で行う連中なのであった。
刺突を行う団員は護衛役を任されるだけあり、腕に覚えがある。

鋭い刺突が脇腹を狙い、回避しようにも二度、三度目の刺突を繰り出す。

「まさか貴女みたいな強者がこんな村に居たなんてね。
全く、今日はついてないわ。」

ネメシスは槍使いの背後で不敵な笑みを浮かべつつある。
得物は失うが、代わりに両手に紅蓮の炎を纏っていた。

「これ以上近づくと、その綺麗なお肌を焼いちゃうわよ。」

接近戦では分が悪い。
ネメシスはそう判断すると、魔法の投射で仕留めることにしたようだ。

ゼナ > ギャゴガァァァァンッ。
重々しくも耳障りな金属音を響かせて、少女の携えた身厚の剣鉈が折れ砕けた。しかし、彼女自身はその結果を予測していたのか、バランスの崩れも最小限に抑えてみせた。
それでも無手となった事に代わりはなく、勝機と見たゼナは着地時の筋肉の収縮も用いた突進で一息に彼我の距離を狭めて

「――――――つ…ッ!? クッ、あぁァ…ッ!」

恐らくはこうしたコンビネーションに特化しているのだろう。
少女の小躯を遮蔽としてその後背に身を潜めていた槍使いの、女首領の脇を抉らんばかりの刺突がゼナの横腹を穿った。熟達の戦士の常として、痛みにも強い耐性を持つゼナと言えども、鎧を纏わぬ女の柔肌への容赦のない一撃は臓腑をも貫く致命の物。突進の最中、薄く肉筋の浮く腹部が絶頂にも似た不随意の戦慄きにビクビクッと痙攣し、続く連刺への対応を遅らせた。
胸部を狙った2発目は無理矢理に身を捩ることで豊乳の表皮を浅く切り裂く程度の被害に抑えるも、続く3発目はドスッと深く戦士娘の太腿を貫いていた。
痛みに硬直した下肢が招く転倒こそ、咄嗟の前転にて回避するも、振り向くその身は片膝立ちの不利を余儀なくされる。
ドクッ、ドクッと二箇所の傷口から溢れる血は暗めの色彩。急所に突き刺さることだけは回避出来たとは言えど、どちらも深手。痛みの反射によって引き起こされる肉の硬直が先程の様な十分な踏み込みを不可能とする今、膂力のみで奮ったのでは性能の半分も発揮することの出来ぬ両手武器は最適な獲物とは言い難い。
額に脂汗を滲ませるその顔が、さっと周囲に視線を走らせ代わりとなる獲物を探す。少し離れた所に二本の小剣を見つけるも、深追いせずにゆったりと近付く彼女の手に灯る炎の揺らめきを目にすれば

「あ、貴女、魔法まで……ッ!?」

流石のゼナも焦りの色を浮かばせた。
魔法斬りの絶技すら習得しているゼナなれど、今もドス黒い血を溢れさせる深い槍傷を抱えたまま、使い慣れない小剣では完全に打ち消す事は難しい。かといって再び距離を詰めて接近戦に持ち込もうにも、この足ではそれも叶うまい。
となればもう、後はもう時間を稼いで騎士達の到着を待つことが最善手。

「――――仮定の話ですが、もしここでわたしが降参すると言ったらどうなりますか……?」

血濡れた頬につぅぅっと汗の雫を伝わせながら、それでもまだ何か手札を隠しているかの不敵な表情で問いかける。

ゼナ > 【後日継続予定ですー】
ご案内:「ゾス村」からゼナさんが去りました。
ご案内:「ゾス村」からネメシスさんが去りました。