2019/03/26 のログ
ご案内:「ゾス村」にロズさんが現れました。
■ロズ > 聞こえるのは村人の悲鳴ばかりだった。
普段であれば麦を刈り、羊を育てる農民達の暮らす長閑な村であったはず。
しかし傭兵によって命を刈られ、女を攫われるその光景は、まさに世の無常を赤裸々に物語っている。
「………」
杭を打っただけの村の入口で、馬上でそれを眺める白髪の男。
何を考えているのかそれ以上は進もうとせずに、表情を消した顔で見ていた。
「は」
こんなものだろ。傭兵って。慣れたもんだ。
そろそろ女を抱きに行こうぜ。金もかからんし。何より面倒がない。
さあ、行け。進め。奪え。殺せ。やれ。天よ。そう命じてくれ。
■ロズ > つまるところ、俺がやっているのは見殺しだ。
呼吸をする間に、瞬きをする間に、キルカウントが増えていく。
――――4、5、6――――
「はは」
それがどうした。傭兵が略奪をして何が悪い。そういうものだ。
止めてどうする。傭兵を飢えで死なせるのか。命の差し引きは大して変わらない。
だったら強き者が生きるべきだ。弱肉強食だ。そういうものか?
――――7.5――――
ご案内:「ゾス村」にハーティリアさんが現れました。
■ロズ > 「はっくしょい!」
馬鹿でかいクシャミをした。
「風邪引いたみたいだから帰るわ!!」
略奪を続ける傭兵仲間達にガキみたいに叫んだ。
『ウェーイ! 気ぃつけて帰れよー!』
「うるせえ! バーーカ! アーーホ! トンマーー!」
そんで、馬の鼻先を反転させる。悪い奴らじゃないんだよ。困った事にな。愛すべき気の良い奴らさ。
ただ俺は、自分だけが捻くれている現実を受け入れられないってだけ。そういうことか。
■ハーティリア > 「ふんふふんふーん……っと?」
村に向け、山道をぽてぽてと歩く影一つ……薬草や素材の採取に来たそれは、何時ものように村で宿を借りて一泊しようと算段を立てながら歩いていた矢先である。
村へ続く道から馬に乗った誰かが一頭と一人……歩いてくるのを見つけて足を留めた。
「……おや、ごきげんよう。」
ただいま略奪を受けている村に足を向けようとしているように見えるそれは、挨拶一つ、馬上の戦士へと軽く向けられて。
抜けるような白い肌と、思考が蕩けるような甘い香りをまとった、絶世の美女、と読んでさしつけない魔女のような風体で。
■ロズ > そんで、王都に逃げ帰って仮病の療養に入るつもりだったんだが。
美女だ。美女が歩いてくる。夢かと一瞬だけ思った。
村民にしては顔立ちが整い過ぎだ。旅人にしても十歩も歩けば誰かに攫われそう。
違和感と嫌な予感をひしひしと感じながら挨拶を返す。
「ごきげんよう…ってあんた。どこの人か知らないが村に入るのはやめときな。
傭兵がパーティ開いてる。安全な所に行きたいんだったら連れてく」
その魔女のような美女を馬上から見下ろし。まくし立てるように告げた。
そんなに村から離れていない。見つかれば危うい。確実に。
■ハーティリア > 「……え、そりゃあ困る。このさきの村で泊まるつもりだったのに……ん?」
山道を歩いてきただろうに汗一つ掻いていない頬に指を当てて、困ったように眉根を寄せる。
顔に反してぶっきらぼうな言葉を返し、傭兵のパーティと聞いて、むしろ楽しそうだと思ってしまったが……ふと、男を見て軽く眉を上げる。
ロズを少しばかり眺めてから……考えるように視線をさまよわせると。
「別に安全な所は希望してないけど……そうさな。そこまで言うなら、送ってもらおうかね。」
のせてくれるかい?と手を差し伸べる指先から、甘い香りと魔力が男の鼻孔を満たしていき、淫魔の魅惑の芳香が、愛欲を掻き立てるように周囲に漂い。
■ロズ > 「そりゃ運がなかったな」
肩を竦めてみせ、しかしてこっちは幸運に恵まれた。
帰り道に絶世の美女を拾う確率がどれだけあるってんだか。
「いいぜ。こっちとしても歓迎だ。あー…宿の部屋までだって連れていける」
その手を握りながら、鼻腔を満たす甘い香りに頭が鈍くなり、言うはずのなかった一言を付け加える。
しかしこの美女。安全な場所はいらないと言ったか。どうでもいいか。美女だ。寝たい。寝る。
「せっ」
軽々と女を馬上に引き上げ、鞍の後ろに乗せようと。
■ハーティリア > 「まあ、しょうがないさ。」
運が無いのは村の連中だろう。その気になれば傭兵をまとめて追い出せるはずの「魔王」が、気まぐれに目前で踵を返したのだから。
「はっは、そりゃあ良い。……っと、できれば前のが良いねぇ、落ちそうだ。」
後ろに載せようとする彼の腕からするりと身軽に、彼の前、股座に柔らかい尻が触れるような位置に勝手に陣取ってニィッと愉しげに笑う。
「そういや、アンタ、名前は?」
そう聞きながら、胸板にもたれるように馬に跨がれば、理性をたやすく溶かす淫魔の甘い香りと魔力は、より濃密に触れ合って。
ただ時折、何かが見えているのか、彼をじっと見つめる仕草を時折。魔力を見通す魔の瞳に、何が映っているのかは、さてはて。
■ロズ > 「うおっと。おい。危ねぇな。いざって時に手綱引けるのかあんた」
口からはぶっきらぼうに言っているが、満更でもないのは顔を見りゃ分かるだろう。
目の前に座った女の柔らかい尻が股間に当たって嫌でも意識しちまう。
冷静になれよ。そんなんで手綱が引けるのか。俺。
「あー…名前か? ロズだ。ロズ=ハーヴェル。あんたは?」
胸板にもたれる女の背。なあ、心臓ってどうやれば止められる?
密着するほどに強くなる甘い香り。喧しくなる鼓動。手綱を握る拳に血管が浮く。
「グッ、グルルルルルルッ」
女に見つめられながらの変化は一瞬。
男の体積が何倍にも膨れ上がり、旅衣の下で鎧の留め具がバキバキと折れていくのが見えたはずだ。
魔の瞳を見返すのは、激情に赤々と輝く獅子の双眸。逃げろ。そう心中で叫んだ。
■ハーティリア > 「はっは、馬も馬車も、なんなら箒や竜にも乗ったことあるぜ?」
くっくっ、と喉を鳴らすように笑みを漏らし、彼の腕の間で愉しげに体を揺らす。
問い返されると、勿体ぶるように視線を揺らし。
「……ハーティリア。ハティでもハーツでもハーティでも、ご自由に?」
そう笑みを浮かべ見つめる男の変貌に、少しばかり目を見開くと、恐れるでも逃げるでもなく……。
「おやおや、ずいぶんとまあ……雄々しくなっちまって。ほら……『こっちを見て』?」
見つめる変化、赤い獅子の双眸が自分を映すその光景を楽しむように馬上で振り返り……そっと腕を広げ、甘く囁く。
畏れぬ不自然も、理不尽な情欲も……甘い言葉が耳に届けば、全身に魅了をはらむ淫魔の王の言葉は、まるで逆らい難い命令、または甘露のように鼓膜を甘く溶かすように響いて。
ご案内:「ゾス村」からロズさんが去りました。
ご案内:「ゾス村」からハーティリアさんが去りました。