2018/07/10 のログ
ご案内:「ゾス村」にアルテリエさんが現れました。
■アルテリエ > (人側の国に紛れ込むのは、久しぶりだ。
それこそ先日迄の戦も有った為、魔の者が国の境をすり抜ける事自体、容易ではなかったから。
ましてや己のように、抵抗力の無い者は。
王国を守護する力によって、著しい軛を填められる。
大幅な、弱体化。――それこそ。身なりを整える為に、人の道具や衣類に頼らねばならない程。
それでも。其処迄しても。此方側にやって来たかったのは。)
…そう。被害、大きかったんだね。
それでも、直接この村には影響がなくて。良かった。
(農村としては良く知られる村。
即ち、此処で作られる農作物は、無論人の味覚に向けての物だが、質の良さが知れ渡っている。
…そんな村と周囲とで、星が墜ちる等という、大きな騒ぎが起きたと聞いたから。
同じ農業を主産業とする領地としては、他人事ではない…と迄親しくはなれないものの。
こんな時、人の農地はどうなるのか。どうするのか。
ノウハウと呼べる物は知っておきたい。
…幸か不幸か、この村自体は、物理的な損害など受けておらず。
王都からの視察、を装い話を聞いてみれば。人心も落ち着き始めているらしい。
この切り替えの速さ、逞しさ、も。人という種ならではか、と。感心。)
■アルテリエ > 逃散とかは…こういう時、無かった?
そう、そうなんだ?
……ふぅ…ん。此処の村では。そういう、物…か。
(一時は恐怖が拡がったのだろう。
だが、「逃げてどうなるのか」、「故郷を捨てられるものか」、と。
村人達の中ではそんな意見が多数を占める。
それに…比較的砦に、国境に近く。また幾度も人の、魔の襲撃を受け、その都度復興してきたこの村は。
想像以上に逞しいという事か。
僅かに目を伏せる。こんな村は。こんな民は。出来るなら巻き込む事なく終わらせたいものだ。
例え今後、如何なる戦が起こるのだとしても。)
お…っと。いや、何でも。
折角だから、この侭。集荷を見せて貰えないかな。
王都へ運ばれる前の、真新しい果実や、家畜…どう、扱っているのかも、気になるし。
(不意に訪れた貴族が、何やら思案気な面持ちを見せている、ともなれば。
村人達が向けてくる疑いの…いや、恐らくは。不興を買う事を恐れる不安の目。
気にしてくれるな、と手を振って。有る意味目的の物を見せて貰う事にした。
――穏やかな、頼りなさ気な、部下も差程連れていない、酔狂な王都の貴族、を。
今の所は演じられていると思いたい。)
■アルテリエ > (その後、時間を掛け。
この村に於ける、作物の育て方を。
それ以上に、中央王都への輸送形式を。
何より、携わる民の思想や信条を。
一つ一つ見聞して回った。全てが、魔である己等に役立つ訳ではない。
だが、多くの部分に於いては、参考とすべき物を見出せた。
方式を取り入れれば、心構えを学べば。魔族の国に於いても、畑を耕し作物を育てる事に、きっと役立つ筈の物。
――やがて。空が白み始める気配を悟れば。一足先に退散しよう。
別れの際には、其方の領地で役立ててくれと、種や苗迄手渡され。
最後迄、人間と信じ疑わなかったであろう村人達と別れれば。)
――――待たせた。
…く、くふ。つくづく、人というのは…
(合流した部下達に。語ったのは、果たして如何なる言葉だったか。
…貰った物が。魔族の国で根付くか、育つかは分からない。
だが、芽吹かせ花を咲かす事が、身を育む事が出来たなら。
…折角だ、誰かの為に役立てようか。
そんな事を考えながら。今宵は人の領域を後にする――)
ご案内:「ゾス村」からアルテリエさんが去りました。