2017/10/07 のログ
クトゥワール > 店内は薄暗く、暖を取るための炉に薪の爆ぜる音が一番鮮烈に響く。
他はと言えば他の客の食器が擦れる音か、他人を憚るようなボソボソ声くらいのもの。この場にいる誰もが、場の陰気さを尊重している。
侵し難ささえ感じているのかもしれない。
注文が運ばれてきた。頼んだ麦酒と、炒り豆。
ぞんざいな手つきで品を置く店員に言う。

「ありがとう。 良い店だな」

正気か、という目を向けられた。
次いで何か癇に障りでもしたのか、一口もつけない内から代金を求められた。
別に支払いを拒みはしないが、豆を齧りながら何処か苛立たしげな店員の背中を見送る。

クトゥワール > 時の経つに連れて客の――というより人の気配が薄くなっていく。
もともと灯の薄い店内には何人居たかもわからないような場所だ。出入りについてもはっきり言って良くは判らないが、恐らくもう自分一人なのだろう。
自分一人――皆どこかに消えたようだ。店員も含めて。
後は勝手にしろという事だろう。

部屋を取る時はどうしたものか?
叩き起こすしかあるまい。

「或いは、それも含めて勝手にするか」

勝手に寝室に上がったとて、金さえ払えば文句は言われないだろう。
そういう空気の店だ。嫌いではない。
良い店だと言う言葉、案外と本心を含んでいたのだ。

クトゥワール > そうと決まれば、あとは適当な空き部屋を見繕って勝手に入らせて貰うとしよう。
このような時間。今更新たに誰かが部屋を取ることもないだろう――…

ご案内:「ゾス村」からクトゥワールさんが去りました。