2017/01/26 のログ
ミケ・ファムト > 腕立てをするだけでも回数をこなせば汗ばんでくる。
腕や、体に浮かぶ汗。 体は吐息と同じように湯気のように白い靄を上げる。
「…99、100.」
腕がプルプルと震えながらも、以前に比べれば時間も、疲れる度合いも変わってきた事を実感する。
「はぁ、はぁ、はぁ。」
乱れた息を整えながらベッドマットの上で仰向けになると腕立てと同じように今度は腹筋を同じように始めた。
「1,2,3」
同じように100までやれば体は汗でぐっしょりと濡れ、湯気立つ体のまま立ち上がり。タオルで汗を軽くぬぐい一息ついてから木の槍を手に取り、構える。
胸にあるのは以前村の危機を救ってくれた騎士の姿、冒険譚や物語で宝石のように輝く勇姿。。
自分もいつか、ああなれたらと、自分にできることを始め、今に至る。
我流であり、槍や剣を教えてくれる人もいない。だからこそ自分なりの強さを求めて。
今は木の枝からぶら下げた輪の中に極力鋭く無駄のない動きで、重りをつけ先を重くした木の槍の先を突き入れる。
そんな動作を最初はゆっくりと徐々にその速度を上げながら繰り返していく。

ミケ・ファムト > いつもと変わらない、修行内容。
ふと不安になるも、今の自分には繰り返す事しかできない。
師匠でもいればと考えるが、そう簡単に指導してくれるような人と出会える事もなく今は基礎だけでもと懸命に同じことを繰り返していく。
どれほど突きを繰り出していたか、今度は上から下に切りつける動きを始める。
本で読んだ武術入門にあるページの一ページをまた何度も繰り返し始める。

ミケ・ファムト > 日課をの中に組み込んだ徒手空拳。
やはり徒手空拳もできなければと、意気込んで作ってみた木人の前に立つと、木の槍の柄を地面につきたて、迷いながらパンチやキックを繰り出していく。
が、そこはやはり我流。 体の動かし方や拳や足の角度を考えながら体を動かしていく。
少年が体を動かしていくたびに足元はざっざっと規則的な音を生みだしていく。
拳を突き出せば少年のしなやかな腕が伸び、腰が入り、木人に拳が当たればギッと木の軋んだ音を響かせていく。

ミケ・ファムト > そして一日の訓練の日課を終える。
乱れた吐息を整える様に胸を上下に動かしながら、
ナップザックの前に戻るとタオルを手に取り汗を拭き。

あぁ 今日はそういえば昼間に走り足りなかったなそう思い出すと、ランタンを手に取り、修行場所からもう一つ作った獣道を通り街道に出て、目印の下にランタンの明かりを消し木の槍を背中に括り付け、街道を走り始める。
「はっはっはっ…」
ランタンの明かりは置いてきた。頼れるのは夜目と青白く道を照らす月光。

ミケ・ファムト > 慣れ親しんだ道を少年は軽快な足音を響かせながら走っていく。この時間であれば悪党もいないだろうと考え、そして、家で待つ両親を心配させたくないため、修行の時間を皆が寝静まった時間にしていて。
「明日はそういえば、王都まで買い出しを頼まれてたんだっけ」
飼っている馬と一緒に王都までの買い物。楽しみだなぁとか考えながら、買い物を終えたら何を見てこようか。 等と考えながら足を前に前に振りだしていく。

ご案内:「ゾス村」にカルムさんが現れました。
ミケ・ファムト > 月光に照らし出された街道、軽やかな足音が響き消えていく。
その音の主はすでに走り始めて一時間、速度もいまだ落ちることなく走り続けている

カルム > 「……あれ?
 明かりが見えたから、家があるかと思ったんだけど……?」

 夜というのは得てして道に迷いやすい。
 冒険をし、王都への帰路の途中、夜になったので近くに有る村にひと晩の宿を借りようと思っていた。
 明かりが見えたのでこちらか、とやってきてみれば、村ではなさそうな雰囲気。
 あれまぁ、と思いながら、男は草を分けて森の中の広場に入ってくる。

 そして……急に明かりが消えたので、あれ、まずったかなと首をかしげた。

 まあ、時間が時間だ、誰もいなくても仕方がない。
 そして、周囲を見回せばそれなりに開けてはいるし。
 ここで、休憩して朝を待つべきだろうかと考える、森の中は暗いし、土地勘がなければ彷徨う。
 そう考えれば、ここで休息するのは悪くないだろうなと。

 さて、と木の枝にランタンを掲げて、中央辺りに薪でも用意するかなと、もう一度周囲を見回す。

ミケ・ファムト > 相手が入り込んだ広場には屋根は無いものの焚き火用の場所や、防水の布をまくれば乾燥したマキヤ着火剤、マットレスなどが完備されている。


その広場の主は誰かがそこにいるとは露とも知らずに戻り始める。
「さってと、そろそろ訓練は終わりにして帰ろうかな…」
途中で引き返してきたのか、ランタンを隠した場所でランタンを取り一度自分の修行場に戻る道を歩き始める。
相手が聞くのは夜の森がらがさがさと木々や下草の重なり合う音。
その音の主が獣でないことを知るのは少年が持つランタンの明かりだろう。
そしてもうすぐ修行場所。というところで少年は異変に気付く。
あの場所にはないはずの明かり。
胸は不安でドキドキと早鐘のようになり始める。
念のためにと、背中に括り付けていた木の槍に手をかけながら声をかける
「そこにいるのは誰…です?」
その声の主は声変わり前の子供の声そしてなにより、不安そうな声色が混じっていた

カルム > 「ふむ?
 誰かが使っている……な、ここ。」

 周囲を見回してみれば、準備されている薪。
 最近使われたと思しき形跡がいくつもある。

 狩猟者の休憩所というわけではなさそうだが、さてどういう事だろう。
 男は首をかしげながらも、しかし、あるのなら使わせてもらうべきだな、と。
 もし、誰か来たら理由を話せば、多分大体は大丈夫だろうと。

「……?」

 そして、聞こえてくる草の音に男は警戒をする。
 まず取り出すのはなれた武器のバトルアクス。
 それを構えながら、草の踏みしめる音のほうを見れば……ランタンの灯り。
 相手からも、こちらのランタンの灯りが見えるだろう。
 近くの木に引っ掛けたので、消すわけにも行かない。

「―――子供?
  驚かせて済まない、冒険者なんだけどな、近くの村で休もうと思ったが道に迷ってここにたどり着いたんだ。
 夜も遅いし、焚き火もできそうだからここで休息を取ろうと思ってたところだ。
 君は、ここの関係者か?」

 この時間に、こんな場所に子供。
 疑問が沸く場所と時間ゆえに、男は警戒を解くことはなく、おのを構えながらも事情を説明する。
 子供が出歩いているというには少し遅すぎる、ゆえに、魔族とか山賊の罠を警戒してのこと。

ミケ・ファムト > 修行場から聞こえてくるのは男の声。
どうにも道に迷ったという言葉。
「その場所は─」
ここで修行場というのと秘密基地というのどっちにするかふと考えるのは子供の考えか…
「その場所は僕の秘密基地。」

ここは子供らしく秘密基地と言っておけば、大人も信用しやすいだろうという打算も働いた。

「その場所の事を秘密にするなら使ってもいいし、街に案内してもいいけど、近くの村の宿なら閉まってるよ…?」
最初に響いた声に比べればいくぶんにも落ち着いた声色。
相手に敵意がないことを見せるようにランタンを持つ手ともう片手。
相手の前に姿を現したのは十代前半の子供であった。
この時間以外に不思議な所は汗だくなことや、手製の木の槍を背中に括り付けていることなど、確かに不信感はぬぐえないであろう姿。

「あなたは本当に冒険者?」

好奇心には勝てない。ワクワクとぬぐい切れない不安感が混ざった複雑な表情と共に質問を相手に投げかけた。

カルム >  10代の子供。子供というだけでは油断はできないがその敵意のなさと。
 次の一言で疑問と警戒が氷解する。

「秘密基地。」

 ああ、懐かしい響きだと男は思う。
 自分も幼い頃に友達とともに作り上げたのを思い出す。
 ここまで立派なものではなかったし、時間も手間もかかっていなかった。
 それを思えば、男も武器を下ろし、警戒を緩める。

「秘密基地なら仕方がない、誰にも言わないようにしよう。
 街、か。
 王都まで案内できるなら、……と言いたいところだが、今からでは厳しくはないかな?
 ここを借りれるなら、ここでひと晩休んで、明日の朝一番で出たいところだが。」

 村の宿がしまっている、まあそうだろう。
 時間も時間だ、それなら冬は寒いが防寒具も寝袋もテントもしっかり持っている。
 焚き火があればなんとか過ごすことはできるだろう。
 なので、提案を。

「証拠か。
 これでいいか?」

 冒険者ギルド・エデンのギルド章そこに所属しているという証を見せてみよう。

「あと、なぜ、君はここに?
 普通ならもう寝ていてもいい時間だとは思うのだけど。」

 腑に落ちない点。
 村人ならもう寝ていていい時間だ。
 こんな時間に出歩くのは、野盗や魔獣、いろいろな危険もあるだろう。
 それなのに、ここにいるのか、と。

ミケ・ファムト > 「そう、秘密基地。」
相手の言葉に小さく頷きながら警戒を緩めるのを感じれば、内心ほっと胸をなでおろし。
「約束。 王都はあっち。
 明日なら買い出しに行くけどお昼過ぎだよ。
まぁ、この場所を内緒にしてくれるなら大丈夫。 大したものはないけど。」
子供らしくザックリ通した方向を指さし。
続く言葉に少年はわずかに微笑みながら答えた。

そして差し出される冒険者ギルドのエンブレム。

「わぁ!本物!」
つい漏れる言葉。目を輝かせながら証を見詰めて。
相手はどんなぼうけんっをしてきたのだろうかそれとも向かう途中なのか、でも王都に向かうという事はやはり帰り道なのだろうかと、思考はめぐっていく。
そして、現実に引き戻す相手の質問。
まぁ隠し事をしても今更仕方がないのも事実ながらも言葉を詰まらせた。

「うっ…。」

言葉に詰まる少年。相手の指摘はもっともで。

「えーと。あれ。 秘密基地で夜の修行…。」

さすがに恥ずかしくなったのかぽそりと。その言葉を示すように手作りの訓練用の器具を指さす。
木人やら、剣や槍を打ち込んだ後のある木の幹。

「昼は農作業で、さぼって修行するとお父ちゃんとかお母ちゃんに怒られるし…。だから村から近いところに秘密基地を作ったの。」

照れくさいような恥ずかしそうな表情をうかべた。

カルム > 「ああ、大丈夫だ。
 場所だけ借りれれば、道具はある。
 巻は借りる訳にもいかないし、コレで買おう。
 君の努力を貰う対価ということで。」

 荷物から小型のテントを取り出して、テキパキと組み立てていく。
 そして、薪を見て店で買うのと同じ値段の金貨を渡そう。
 受け取れないとは言わせないよ、と言わんばかりに笑いながら。

「ま、末端だけどな。」

 目を輝かせる相手に、俺はえらくありませんよ、と先に。
 英雄とかじゃない、ほそぼそとしている普通の冒険者だ。
 だからこそ、あまり憧れてほしくはないと思うのだ。
 自分の指摘に言葉を詰まらせる彼に、しばらく眺めて小さく苦笑。

 農家の息子かと。
 まさに自分の過去を見ているような気もする。
 自分は修行とすら考えてもいなかったのだけれど。
 そして、手作りの道具と武器と、指差された訓練の方法を見る。
 軽く口を開く。

「農作業をちゃんとしているのは関心だな。
 で……君は、一人っ子かい?」

 先達として。
 同じ農家の息子だったという所もあり。
 男は、少しだけ彼の背を押すべきか迷った。
 少年の答えしだいで、軽く手助けをしてやろうと。
 過去の自分にちょっとだけ重ねてしまったのかもしれない。
 
 感傷とも、言える感情。

ミケ・ファムト > 「あ、ありがとう。ございます。」
対価としてもらった金貨眼を輝かせる。
今使ってるお手製の剣や槍も、鉄製の何かにすることもできるだろう。思考はこれで次は何を買おうとか純粋に夢想するのは子供の特権か。

てきぱきと組み立てられるテントには流石!カッコいい! 等と目を輝かせながら手元を見詰め。
次はテントでも買おうかなとか少年の頭によぎった。

「あはは、大丈夫伝説みたいなすっごい冒険者様がこんな処に迷い込むことはないと思うし。そんな人がいっぱいいたら世の中も、もう退屈になってそうだし」

相手の言葉には少年は悪気なくそんな言葉を相手に向け、少年でも知っている、一部の話に尾ひれが着いた物語が伝えられていることを。
自身が普通であると伝える相手にはむしろ交換を抱き、くすくすと楽しそうに笑った。

「もうすぐ帰ってくるけど兄ちゃんたちは出稼ぎに行ってるからね。
僕がきちんと手伝わないと。
兄弟?大兄ちゃんと、中兄ちゃんの3人兄弟がいてね、いっつも偉ぶってるんだけど。 
二人はなんだかんだ僕を助けてくれるしいいお兄ちゃんたち。

でも、どうせならやさしいお姉ちゃんが欲しかったけどこればっかりは仕方ないから…。
まぁそうこういいながらも、お兄ちゃんたちが帰ってきたら僕が出稼ぎに行く番だし。」

勝手に家族紹介をしつつ、自分が一番下であることも、兄弟特有の絆を相手に伝えて。

まさか相手も同じような境遇であったことなど露とも知らなかった。

カルム > 自分のテントの設営を嬉しそうな目で見ている彼に小さな苦笑。
 きっと、小さな頃に冒険者に出会っていれば同じ目で見たのだろうかと。
 小型のハンマーで打ち付けた杭がしっかりと地面に食い込んでいるのを確認して、中に毛布と寝袋を放り込む。

 そして、彼から買った薪で、火をおこし、鍋を取り出し水袋から水を取り出して注ぎ。
 携帯食料と干し肉をいくつか放り込む。
 携帯しているさらにパンを置いて、沸騰した水で携帯食料をとかしてスープにしていく。

「だろうな。
 まあ、俺自身この国はきたばかりとも言えるしな。」

 彼の言葉は冒険者の心に100ポイントほどの大ダメージをぶち込んだ。
 わかっていても、傷つくことはあるのだ。
 笑う相手に、ほれ、と木の器に、溶かした固形食料と干し肉で作ったスープを差し出す。
 パンも食え、と。

「そうか。
 ……そうか。」

 上を見上げる。
 ここまで似ているとは。でも、同じではない。
 だけど、彼の境遇を聞いて、小さく目を閉じる。

「俺も、農家の三男坊でな。
 一家皆、食うに困っていたんだ、だから。
 俺が両親に言って家を出た。

 成人の時に家を出てから五年。
 未だに、冒険者としては、最低限のレベルだよ。

 だから、先輩から言えることはひとつだ。
 家を出るなら、ちゃんと両親と話し合って理解を求めな。」

 喧嘩別れほど悲しいものはないからな。
 男はスープをすすりながら言ってみせる。

「あと、訓練を見ることはできないけれど。
 筋力より体力だ。持久力をつけるほうがいい。
 一撃で倒す力があっても一撃で倒されちゃいけないし。
 逃げるのも、戦うのも体力が要る。

 秘密基地で訓練するなら、そうだな。
 薪を背負って走り回ったりして、荷物を持ちながら戦う。
 そういった訓練の方が身になる。」

 がんばれよ。
 男は、言葉にせず、自分の分のスープとパンを食べて思う。

ミケ・ファムト > 森の中に響くハンマーの音。
農作業の合間にやる薪割りなどを思い出すも、千龍の相手はもっと上手で。
やっぱり大人はすごいなと大人への憧れが胸に燃える。
自分もいつか騎士を目指せば、野営する事もあるだろう。その時に備えておくのも大事かもしれないと、テントに続き少年は頭のメモ帳にメモをした。

「そっか。 じゃぁ、仕方ないね…」
まさか相手の胸をえぐっているなんて言う事は思いもしておらず。
「でもでも、僕の秘密基地を見つけたんだから十分すごいよ!冒険者の嗅覚!」
等とつぶやくのは相手を褒めようとしている気持ちで。
ぐっとガッツポーズを作った。

そして差し出されたパンと固形食糧や干し肉で作られたスープを受け取れば、手元のそれと相手の顔を見て嬉しそうに微笑み。

「ありがとう。」
自分の身の上話を噺ながら走って訓練しておなかがすいていた少年は遠慮なくはふはふ美味しそうに食べていく。

そして、相手の身の上話に耳を傾けて。
まさか自分とそんなにも似た境遇だとは思いもせずに驚いていた。

「うん。 騎士になりたいっていってもなかなかいい顔してくれないけどもう少しちゃんと話すね。」
平民の子供が騎士になるなんて茨の道な上に危険であれば、親の心も理解できる。

そして話は実践のものへ。
見ることができないと聞けば寂しいながらも素直にうなずき。
体力と健脚であれという言葉に納得して。何度もコクコクと頷いた。
「やっぱり持久力と足が無いとね…。
うん もっと走り込むよ!
お兄ちゃん、ありがとう!」
相手の言葉に素直にうなずいた少年、少し方向が見えたようで嬉しそうに微笑みを浮かべた。
府t森の中の空気が徐々に変わってきていることに気づけば…
「お兄ちゃんごめん。
お父ちゃんとお母ちゃんが起きる時間。
そろそろ、ベッドに戻らないと。」
本当は相手からもっといろいろな国の話を聞きたかったりもしたかったのだが…

あまりベッドをあけばれてしまえば、親からの監視がきつくなってしまうと少し焦るも、せめてもの礼儀、そしてお礼にと、自分の持っているこの周囲の詳細な地図を渡す。少年の村と王都への道。 途中の隠し休憩所や少年の秘密基地に洞窟や、山賊の住処等が書きこまれた地図と共に休憩所のそばの水場で木の器を洗い地図と共に相手に押し付け、少年のナップザックを持ち上げ。
「パンと、スープのお礼! 美味しかったよお兄ちゃん。 今度街で会ったらいろんな話を聞かせてね!」
自分で持ってきたランタン片手にもう片手をバタバタとあわただしく振ってサヨナラの挨拶をすると、来た方向とは違う獣道へと姿を消していった。

カルム > 「はは。
 夜の森の中はなれていても迷うことあるから。
 それに、偶然だよ、偶然。」

 明かりが見えた気がしたから来ただけで。
 ここを目指したわけでもない、ちゃんとした秘密基地だったと彼に言おう。
 ガッツポーズにわかいなぁ、とそんな感想を。

「この時期だしな、体冷やすと良い事はない。
 体温めるなら、体の中からだ。
 あまり甘くないけどな。」

 保存食とは、保存第一なのでやはり普通の食事よりも数段劣る。
 それでも食べなければならないのだ、と男は軽く笑って。
 騎士になるという夢に関しては、何も言わない。
 何を言うべきかわからないことだから、騎士になるということを、考えたこともなかったし。

 あともう一つ。


「ああ、おつかれさん。
 朝になったら、ここを片付けて出るからな。
 こっちこそ、いろいろありがとうな。」

 地図を受け取り、男は笑ってみせる。
 夢を追うのもいいし、ああいう子供は見ていて眩しい。
 頑張って欲しいと切に思う。


 少年が去って行き、男は息を吐き出す。
 本当に良かったのだろうかという思いが残る。
 彼の家の事情に踏み込むつもりはないが、食うに困っている様子ではなさそうだった。
 余計なことをしたのかという一抹の不安を持ちながら。
 いなくなったのを見て、食事を終え、焚き火を砂で消して。

 テントで休み、朝になって、男はテントを片付けて去っていく。

ご案内:「ゾス村」からカルムさんが去りました。
ミケ・ファムト > ちゃんとした秘密基地だったといわれれば嬉しそうに胸を張り。ちょっと照れくさそうに微笑んで

「ありがとう」

体の中から温める様にとの言葉も素直にうなずき。
「甘いのはあまり好きじゃないから好き。」
言葉を返し。
相手からもお礼を言われれば擽ったそうに微笑み。

大人から応援されたりするのはやはりうれしかったようでニコニコと手を振りながら夜の森へと消えていいった。

相手の言葉は少年にとっておそらくいい影響を与えるであろう。
だが少年のこの先を知るものは誰一人としていない…。

ご案内:「ゾス村」からミケ・ファムトさんが去りました。