2016/11/24 のログ
■ノア > 「 なんだ って、 する.. から っ..... はや く、 っ.. はや くし てっ... もぅ、 や だぁ.. イきた い、 の..... っ.. イき、 た ぃ.. っ 」
動きを止めた触手をくわえ込んだまま、触手も待てず今にも腰が揺れてしまいそうで。片手は自ら強く胸を掴み、もう片方の手は手の甲で口元を覆っていた。其れは、はしたない懇願する自分への羞恥からか、はたまた認めたくないという内に残る抵抗心か.. いずれにしても漏らした言葉は変わらず、まともな思考が働いていないもの。
焦れに焦れた二人に、何も具体的な事を口にしない女。其の狂気に満ちた瞳に気付いていたとしても、其の漠然とした提案にどんな地獄が待っていたとしても.. 口から漏れた言葉は、やっぱり変わらなくて ──
「 ぃ、 か せ........ イかせ て、 っ.. 」
■イルマ > 「んっ、あっ……いい、のっ、はやくっ、……イきたい、っ…イき、た、ぃ…」
互いに触手を咥えこみ、此方は友人の背に緩く片手を回した体勢で、はしたなく女に向けて懇願する。
最早自尊心の欠片もなく、ただ楽になりたいが為に。まともに思考も働かない中、本能に突き動かされているようで…
狂気の漂う瞳を見据えながら、しかし一度放った言葉が変わることはなく―
友人と声を合わせ、同じことを願った。
「……ん、っも、…っ、……イき、た…い、っ」
■ハイドリア > 「契約成立ねぇ?ふふ…いいわぁ」
ゆっくりとほほ笑んだ。
最後の盤上へ、アリジゴクのような場所へ転げ落ちた獲物を
抱擁するような笑みを浮かべる。
「じゃぁ、先にご褒美をあげないとねぇ?
先ず与えよっていうじゃなぁぃ?」
指先に赤い光がともる。
それはゆっくりと小さな石となり、口元に差し出された。
「飲み込みなさぁぃ?気持ちヨクなれるようにシテあげる」
飲み込むように指示をする。
それは複数の呪文を内包したもの。
一つは解呪、体内に張り巡らせた楔を解き、存分に旅立てるようするもの。
一つは感覚を共有させるもの。多少時差があるものの二人の感覚を共有し、相手の欲求と快楽を自身に与えていく。
一つは吸精の呪文。絶頂すればするほど生命力を相手に奪われ、相手をより高ぶらせていく。
そのどれも一つ一つが単体では珍しい物ではない。
けれど彼女はその組み合わせに少し手を加えていた。
それがまさか最後の罠だとは気が付きもしないだろうけれど。
そしてずっと記録していた物を別にその手に宿らせる。
記憶し始めた時からずっと、貯められ続けてきた彼女らの”マテ”の記憶。
快楽を与えられなかった時の記憶、そしてやっと手に入れた焼ききれるような快楽…
どちらにしようか?そうね、この子にしよう。
この子は素直だったもの。ずっと我慢していた天国に逝かせてあげなくては。
そう笑みを浮かべ、商人の娘のお腹に触れゆっくりと神経に埋め込み…接続する。
この二人は何回耐えられるかしら?
「それじゃぁ…イッテラッシャイ?」
そして全ての呪文を一瞬で解放した。
■ノア > 友人に幻滅されるかもしれない なんて不安は、直ぐに払拭された。彼女もほぼ同時に、同じ願いを口にしたのだから..
こうして快楽の渦に、そして女の手中に嵌まりまるで機能しなくなった脳は、まともな働きもみせず即答。疑念や後悔など考える余地もなく、契約を結び ──
「 んぁ......... っ、」
野良猫のように、舌先が出るほど口を素直に開けて "其れ" を飲み込む。飴玉のような、宝石のような其れを、躊躇なく飲み込むと.. 間もなく
「 !! ─── っ、 にゃ あっ.. ん、あぁっ !! やっ.. ら め、── ン、ンっ.. !! 」
びくんっと激しく、大袈裟なくらいに身体が跳ねた。術より解き放たれると同時に これまで受け続けていた快感が一気に襲い、ずっと、ずっと待ちわびていた絶頂を迎えた。極太の動かぬ触手をくわえ込んでいてもなお秘裂より透明な飛沫を上げ、太股と触手を伝いベッドを濡らし..
■イルマ > 疑念などを考える余裕は、とうの昔に溶け落ちた。抱擁の笑みを浮かべる女との契約を結んで、与えられたのは――
「ぁ、………んっ」
赤い小さな石。宝石か、それとも飴玉か。そんな形状をしたそれを舌に乗せ、飲み込んだ。
そして女の掌が、己の下腹に触れる。知らず神経に接続される。そして――
「―――!! っ、あ、あぁぁっ!!……っ、く、んんっ、――ん、ぅ!」
身体の跳ね方は友人以上だったろうか。びくん、と腰を激しく跳ねさせ、待ちわびていた絶頂を迎える。
ほぼ同時に秘部から飛沫を上げて、ベッドをこれ以上ないほど盛大に濡らしていく。
■ハイドリア > 「いらっしゃい。私という名の天上の庭へ
そこは誰もが啼き(歌い)踊る場所よぉ」
既に獲物は逃れようのない罠にかかった。
感覚の共有…これはすなわち限界までため込まれたものを急に倍にされるのに等しい。
ぎりぎりまで追い込んでいるのだ、到底耐えられるはずもない。
そしてどれだけ意識が塗り替えられるような快楽を与えられても、何度思考を焼かれても
共感の時差によって相手の絶頂前の欲求を意識に叩き込まれる。そしてそのあとに続くであろう絶頂もまた然り。
そうして膨れ上がった”ご褒美”は何度もお互いの体を交互に巡り、その度に倍に膨れ上がりながら二人を終わりのない
欲求と絶頂の地獄へと引きずり込んでいく。
気絶などで逃がさない。快楽で飛んだ意識をより強い快楽で無理やり引き戻し
その快楽でまた高ぶっていく。
その間隔は生み出される絶頂の余韻をも伴ってどんどんと短くなる。
しまいには声も出す余裕も暇もなくなってただ快楽を蓄積する人形となる。
この逃げようのない嵐に捕まってしまえばお互いに絶頂するたびに生命力を相食み、
やがてどちらか一方が息絶えるまでその規模を膨らませながら生命力の奪い合いが続く。
それははじめこそ張り合うだろうけれど均衡が崩れればそれはあっという間に傾くだろう。
数時間も待てば息絶えた死体と二人の間で濃縮され続けた快楽に脳を灼かれ
死体を相手にただ空腰を続ける人形が出来上がる。
あとは生き残った一方から濃縮された生命力と快楽を奪い楽しむだけだ。
種の限界まで虐めきった快楽と生命力はどれほど美味だろう?
…もっとも妖魔は独占欲が強い。既に二人は私のもの。
どちらかが息絶えるギリギリ前にそれを止めるつもりではいる。
「ほらぁ…愛して愛して愛して愛してどうしようもない程愛して壊してしまうといいわぁ?
自身の欲望に従って、大事な…大事なものをその手で滅茶苦茶にして…ねぇ?」
言葉ではそれを煽る。
それを知らせるつもりもない。
相手が死んだと思った時こそ最後の楽しみが待っているのだから。
さて…どちらが残るだろうか?
予想では女商人の方が生命力はなさそうだ。
だからこそあの記憶を叩き込んだのだけれど。
ただその時を待ちわびながら勝利の酒を喉へと流し込んだ。
■ノア > 「 いや、 っ.. やめ ── ン、 んあっ.. あっ ─ も.. むり、 っ.. !! んんっ ─── !! 」
ドレスの女が仕組んだ罠だという事に、気付いていた筈だった。それなのに屈してしまったのは何故か ── 其れは、屈してでも手を伸ばさずにはいられないものがあったから。
しかし、其れが与えられてしまった途端.. 悲しみと、恐怖と、怒りとが、じりじりと沸き上がった。悪魔の契約を結んでしまった事も、友人を巻き込んでしまった後悔も、気付かずにいたかった事ばかり次々と理解させられて。それでもなお、身体は許容を越えた快楽に襲われ ──
「 やめ、 てっ.. も ─ ゆる し、て..... っ !! ぁ.. あっ、 い ゃ..... や、 ンっ.. んんっ ── !! 」
達しても達しても、何故か直ぐに次の波が襲う。触手も自分も動いてもいないのに、制止の言葉を遮るようにまた全身が震え、絶頂へ..
いくら焦らされていたとしても あり得ない快楽の波に泣き叫びながらも、秘部の内壁はひくつき不規則な痙攣を繰り返し。
「 ちが ─── っ、 ン.. んあっ、 あ.. んっ ── こんな の、 っ.. こん なの い ゃ、 っ ── 」
■イルマ > 「んっ、――や、あっ!!これ、ダメッ――…あぁぁっ――!」
最早逃れようのない罠にかかり、引きずり込まれた絶頂の地獄でただ翻弄される。
湧き上がってくる恐怖や怒りなども霧消するように快楽が脳髄を支配し、何度となく友人との間で巡る褒美に生命力を根こそぎ奪われていく感覚。
「や、あぁ、ぁっ―――も、っ、く、んんっ、んぅ…――!!」
二人して、下手をすれば宿の外に響いてしまうほどの嬌声を上げ、全身を幾度となく震わせて等間隔で迎える絶頂。
やがて快楽が己が身を食い尽くし、散々ベッドを濡らしてしまった後。
「―――!! …っ、――― ―…」
一際大きく、揺さぶられるように身体が痙攣した。
そのままベッドに崩れ落ち、ひくひくと声もなく震える。女の予想通り、友人より先に限界を迎えたようだった。
■ハイドリア > 「あらぁ…予想通りかしらぁ。この子もうすぐ死ぬわねぇ?」
倒れた女商人を面白げに眺め、女盗賊を煽るように痙攣を繰り返す女商人の体に愛撫を施す。
そうして無理やり意識だけは引きずり戻しながら。
自身には影響がない上にすでにこの娘の体の隅々は把握している。
限界を迎えてもなお、死地に向かう体に快楽を刻み続ける。
勿論その感覚を共有する相手にそれは伝わっていくだろう。
「でもねぇ?感謝されこそすれ、嫌と言われるような覚えはないのだけれどぉ?」
それは痙攣を繰り返す体を残酷に弄びながら美しく無邪気に笑う。
「望み通りぃぜぇんぶ言うとおりにしてあげたじゃなぁぃ
酔って困っていたから酔いを醒ましてあげてぇ、動きにくそうだったから動きやすくしてあげたぁ。
体の疼きが止まらないようだったから目の前で盛っても見ててあげたしぃ…それで興奮してたでしょぉ?貴方達ぃ?
イケない貴方達にいろいろ尽くしてもあげたでしょぉ?
そうしてどうしてもイキたいというから思う存分味わえるようにもしてあげたわぁ。
先に対価をもらってもよかったのにねーぇ?
むしろ親切にしてあげたじゃなぁぃ。何が不満なのぉ?」
美しい髪を片手で解き、流すようにばさりと音を立てて広げた。
それはさながら歪な翼のように一瞬吹いた風に舞い、強大なものがその姿を目前に現したような印象さえ与える。瞳に浮かぶのは超越者の愉悦。
「それに…ね?」
形良い唇を半月にゆがめ、じわじわと心を折って行く。
「選んだのはすべて貴方達、私は選択肢を提示してあげただけ
ぜぇんぶ自分の心と体に従った結果じゃなぁぃ?」
彼女は決して逃がさない。
真実は一つ足りえない。見方の数だけ真実がある。
だからこそ最も心が軋み、忌避される真実を与えていく。
精神が弱った相手の真実をねじ伏せ、残酷な事実を心に刻み込んでいく。
■ノア > 「 ちが ぅ、 っ.. こんな の違..... っ、 ン.. んっ ── !! いや、っ.. ぁ あっ、あぁ っ.. !! ── 」
何度目のことだっただろう、其れが共に快楽に狂う二人の身体を "交互に" 行き来していると気付いたのは。そして.. 彼女がびくびくと全身を震わせる度、熱い何かが流れ込んでくると気付いたのは。
抵抗する事も逃がれる事も不可能。快楽だけを繰り返し何度も与えられる身体も、ベッドに付いた手で支えているのがやっとの状態で.. やがて、目の前の友人が力無く崩れ落ち ──
「 イル マ、っ.. ?! ── や、だっ.. 死ぬっ、て 何っ.. ─ ン、 んん っ ── !! 嫌.. イル、 マっ.. イル マ、 っ..... !! 」
其の光景に、女の言葉に、涙溢れさせ発狂しそうになるも.. 友人の命が尽きてしまいそうなこの状況でさえ、順番に回ってくる絶頂に抗えず。
■イルマ > 遠くなりかけた意識が、再び引き戻される。
未だ小刻みに痙攣を繰り返しつつ、うっすらと肌の上を這い回る女の手指の感触を覚えて…
「――っ、……ぁ、―――ぁ、っ…」
言葉を発することもできず、噴き出した汗がベッドに流れ落ちた。
友人の声すらも聞こえていないのか、ただ身体を震わせ続ける人形のような肢体が其処にあって。
■ハイドリア > 「よぉーく思い出して御覧なさぁぃ?
選んだのは誰だったかしらぁ?望んだのは誰だったかしらぁ?
…思い出してごらんなさぁぃ?私は一言も、こうしなさいなんてぇ言ってないわよぉ?」
これこそが彼女の好む毒。精神を蝕む劇薬。
それを注ぎ込みながら生命力の流れを一方的に切り、一方通行へ。
あとはこの娘をもう少し可愛がってあげればはれてこの娘は文字通り天国逝き。
「仕方が無かったなんて言わせないわぁ?その職を選び、誰かに追われ、この宿にたどり着き、ドアを開け今に至るまで、ぜぇんぶ貴女の選択だものぉ
仕組まれていたぁ?違うわぁ。そうならない方法は無数にあったはずよぉ?
警戒していればぁ、我慢できていればぁ…この子はこうなっていないはずでしょう?」
汗か愛液かわからなくなるほど全身を濡らした体を弄びながら悪魔の笑みを浮かべる。
それはまるで美しい人形で遊ぶ卑猥な人形遊び。
けれどその口が紡ぐのは反論しがたい理論と客観的事実。所謂正論。
人が好み、人が他者をねじ伏せる際に使う言葉の暴力。
だからこそ人が最も理解でき、人に最も効力を発揮する。
何一つ嘘は言っていない。そもそも真実さえ曖昧なこの状況下では嘘が嘘たりえないのだから。
「だから契約もぉ…ほらぁ、この死にかけている子も…ぜぇんぶ」
耳元に口を近づけ優しい微笑みかけるような声色で囁く。
「”誰のせいか わかるでしょぉ?”」
選ばせ続け、最後にその結果を叩きつける。
全部仕組まれていたという最後の逃げ道を自身の思考で潰させていく。
「ならぁ…責任は取らなくちゃぁ、ねぇ?」
そう、もう一度この体が絶頂を迎えればこの商人の娘は死ぬだろう。
ならその前にたった一つ、彼女には自身から差し出せるものがある。
だからこそ先に対価を受け取らなかったのだから。
誰かの命と対価となりうるものはたった一つだけ。
断罪の怪物の前に泣きながら差し出されるのは己か友のどちらかの心臓。
しっかりと聞かせなければならない。理解させなければならない。
お互いに、自身が何を、誰から奪うのか。
…冷静にそれに気が付いた時二人は正気でいられるだろうか?
■ノア > 「 いや..... 嫌、っ.. 嫌っ... 」
幼馴染みなんかじゃない、出逢ったばかりの友人だけれど。彼女の雰囲気が好きだった。もっとお喋りをして、何が好きで、何が嫌いで とか。もっと彼女を知りたかった、知る筈だった、のに ──
確実に、目の前の彼女から生気がなくなってゆく。其の生気を奪っているのはそう、ドレスの女ではなく.. 自分自身で。そんな あまりに残酷な事実を突き付けられ、同時に自身の死まで覚悟させられると ── ベッドに付いていた手が悔しげにシーツを掴んだ、
其の時 ───
「 ............... ッ、」
指先まで過敏にさせられているのだから、直ぐにわかった。シーツを握り締めた際微かに触れた冷たさの正体が、ベッドに残されていたものである事に。
これまで経験してきたどの場面よりも、怖くてたまらない。其れでも、このままでは友人の命も自身の命も救える保証はなく。何もせず殺されるくらいならと、シーツから離れた拳を振りかざし ─
「 .....っ、この.. 悪魔 ── 」
纏めて6本の毒針を握り締めた手を、女目掛けて振り下ろした。当然、思うよりずっと其の腕も言葉も弱々しく.. 呆気なくかわされるか、運良く掠るか程度。いずれにしても、強敵相手にはあまりに頼りなく、効果を期待できる攻撃ではなくて。
■イルマ > 女の容赦ない正論、もとい言葉による攻撃を浴びつつ、生気を友人に吸い取られていく。
薄れていく意識の中。死を此処まで間近に感じたことは今までなかった。
このまま死ぬのか、と呆気ない思いが過った、その時。
「―――、 ……ぇ」
視界の端で動きがあった。
友人が毒針を手にし、女目掛けて振り下ろしたその動作。
それがどのような結果をもたらすかも知らず、ただ二人をぼやけた視界の中見つめる。
■ハイドリア > 「…くふ」
避けもしなかった。
そう、その為に武器を残しておいたのだもの。
極大の絶望を、自身で掴んだ希望に縋る一瞬を砕かれるその顔が見たくて
その為に残しておいた儚い対抗策。
振り下ろされた腕は目の前で微笑むそれの首元に狙い違わず吸い込まれていた。
けれどその手応えは硬質。そして毒針の切っ先に見えるものは血の滴ではなく
…淡い明りに美しい反射を返す、真珠色の鱗。
攻撃したからこそ分かってしまう。
それが明らかなる人外で、人の攻撃など歯牙にもかけていないことを。
人用の毒などまるで意味のない存在だということを。
「ぅふ…、ふ…くふふ…あは、あははは…あははははははははははははは!」
それは肩を揺らし哄笑した。そう、そうでなくては。
獲物は牙も爪もあるからこそ美しい。
そして残酷に告げた。
「チェックメイトぉ」
そして生命力の接続を切り、商人の意識に再度彼女自身の絶頂の記憶を送り込み
生命力を目の前の女盗賊に少量送り込む。
送り込まれた生命力の意味は…きっと誰よりも本人が理解するだろう。
同時に瞳を覗き込む。絶望に塗れていることを期待して。
それは獲物を縛る瞳。
そうしてゆっくりと手を伸ばし、喉をつかむ。
「最期に教えてあげるわねぇ?さっきの契約の対価…あれは貴方達の人生、
命そのものよぉ。だから、それを対価に差し出しても無駄だったのよぉ?
それじゃぁ…最後に貰っていくわねぇ?」
二人の意識を急速に奪い去っていく。
触手にも指示を出し蠕動を開始させる。
先ほど絶頂により生命力を奪った結果どうなるか知った彼女のこと
自身がこれからどんな目に合うかは薄れゆく意識の中、想像できるだろう。
■ノア > 友人への想いは勿論ある.. が、たった一度逢っただけの友人の為だけに命を懸けられる程、正義感に満ち溢れている訳でも、善人でもない。このあまりに無謀な行動を取ったのは、女の言葉に一つも言い返せない悔しさと自分自身への強い怒りからか、はたまた、生への執念か ── 其の切っ先を迷うことなく、女の首筋へ振り下ろすも..
「 ............... 、 !! 」
もう、声すらも出なかった。6本纏めて振り下ろした針は、いとも容易く折れ.. 絶望に瞬きも忘れた琥珀色の瞳が映したのは、恐ろしい程美しい、鱗。
だらん と力の抜けた腕は、其の手から ぱらぱらと折れた針を落とし..
「 ぃ、 や..... 嫌.. やめ、 ── !! い や、ぁぁ.. ぁ ! あ、 あっ... !! 」
送り込まれる生命力、強制的に全身を襲う快楽 ── 悲痛な叫び声を上げようと、誰も、誰も助けてくれない。もう、どうにも.. 絶望に濡れた其の瞳は、喉元を強く掴まれようが苦しげに細める事もなく。ただ真っ直ぐに友人の姿に向けられ、見開いたまま..
「 いやっ.. も、 やめ.. てっ !! ぁ、 あっ.. あ、 んあっ.. いや、っ... あ、ぁ っ.. ン、 ンっ !! く、 んっ.. ! ら め、っ... ぁ あっ、 んぁ.. あっ ──
─── ── ─ 」
契約の対価を知らされる。そして再び、動き出した触手によって心身ともに犯される。やがて其の動きに狂わされる度、徐々に薄れてゆく、意識。
■イルマ > 友人の無謀な行動もかくや、人外の鱗に阻まれる。
そして再度、流し込まれたのは絶頂の記憶。蠕動する触手も合わせてその身に快楽を刻みつけていく。
「――っ、ぁ …っや、あ、ぁっ…! ―――… ――」
瞳は友人すら映すことなく、虚空へ向けられていた。
薄れてゆく意識、遠くなる意識。終わりか、と他人事のように思った。
声も発されず、ぐったりとベッド上に身を沈めながら…
■ハイドリア > 「ああ…面白かったわぁ」
数刻後、意識を失った二人の間で穏やかな表情を見せる。
指の間で彼女らの生命力と快楽を結晶化したものを弄びながら一人呟いた。
元より命を奪うつもりはない。殺してしまってはつまらないもの。
既に二人の魂と人生に消えない傷は刻み込んだ。
この後目を覚まし、自身が生きていることにほっとしながらも
この先この経験を思い出し、快感を思い出しながら
最後に貰って行くという言葉に怯え続けるだろう。
生かされていることこそが罠なのではとおびえるだろう。
それだけの恐怖を刻み込んだはずだ。
何かをするたびにその細部に彼女の姿を見る。
あの怪物ならいつ気まぐれに奪いに来てもおかしくないと。
そして疑心暗鬼に捕らわれる。何度確認しても隷属の証など見つからないというのに
それがどこかにあるといつまでもその影に怯え続けるだろう。
それこそが彼女にとっての対価。
魔法など、道具など使わなくても繋がり続ける枷。
魔術による従属なども無粋。魔術など所詮道具に過ぎない。
一度捉えてしまえば居場所などは把握できる。
道具を使わなければ心を縛り続けられないなど三流のやることだ。
…とはいえこれは私のもの。
個人的な交友関係に口を出す気はないが、支配者としては玩具が憲兵に捕まって刈り取られてしまっては面白くない。これではもっと遊ぶのだから。
もっとと餌をねだる触手を煩げに払い、早々に片付け使い魔を呼び出す。
「今王都で指名手配になってる子がいるでしょぉ?
もみ消しなさぁい。王侯貴族として圧力をかければ簡単なはずよぉ?
三日以内にできなければ…ふふ。
適当に別の情報にすり替えて犯人を仕立て上げるなりすきにしなさいなぁ。
え?それにこだわる五月蠅い子がいたら?そうねぇ…
”喰い殺していいわよ”
あと盗品は全部こっちの娘の店に流しておいてぇ?
足を残すような真似をしたらアレ千切っちゃうからぁ」
有難いことに王都は腐敗の温床だ。
三日もすれば簡単にもみ消せる。
とりあえずはこんなところだろう。
「ああ、忘れてたわぁ」
二人の記憶を探り、操作していく。
意識を失っている対象なら操作などたやすい。
自身に対する恐怖は残したまま、彼女に関する記憶をぼやけさせておく。
隠蔽ではなく、いつか撒き餌や他の手段として利用するために。
その為に生かしておく価値は十分あるだろう。
「まぁあの場で自分の命をーなんてキレイゴト言い出したら纏めて殺したかもしれないけどねぇ」
独り言ちながら微笑む。
あの場で歯向かうなんて本当に期待通りに踊ってくれた。
この商人の娘も面白いほど舞台で踊ってくれた。
二人とも数日の間激しい頭痛と全身を襲う倦怠感に悩まされるだろうけれど…
おとなしくしていれば捕まることも無いように手配しておこう。
支配者は配下には寛大であるものだ。
彼女の遊戯はひと先ず終わった。
良い舞台の後にはカーテンコールと…アンコールがある。
「ふふぅ…アンコールは…また今度…ねぇ?」
意識を失っている二人に囁いた後、妖魔は空に円を描き闇に消えていく。
残されたのは二人の娘と、ほかの部屋に泊まっていて彼女の影響を受けてしまった狂人、
一か月程度の宿泊費、そして空になったグラスとボトル。
その横には虹色にランタンの光を照り返す真珠色の大きな鱗が一枚…落ちているだけだった。
…もっとも彼女らが正気を保っているかは定かではないけれど。
■ノア > 小さな村の小さな宿、ベッドの上に横たわる二人の女 ── 意識を失ってはいるものの、かろうじて生きている。一糸纏わぬ姿のまま眠り、目が覚めるのは数時間後か.. あるいは数日後か..
意識が戻った時、瞼を開け真っ先に視界に捉えるのは友人の姿。慌てて手を伸ばし其の身体に触れたなら、生きている者の体温を感じ、すぐに視界は涙で滲んでしまうのだろう。
辺りを見渡してもドレスの女の姿はなく、おぞましい触手さえ、現実だったのかと疑う程一つも形跡が残っていない.. けれど ──
「 ............... 」
身体は覚えていた。何度も狂わされたあの快楽地獄を.. あの恐怖と屈辱を...
震える指に無理矢理力を込め、ぎゅっと拳を握り締めた。あの女が何を考え、何を思い、何を残したかなど知る由もない。ただ、生かされているという意味や、最悪のシナリオが、ずきずきと痛む頭の中を巡る。
やがて目を覚ました彼女に抱き寄せられると、互いの体温を感じながら生きている実感に喜び、同時に、生かされている恐怖に脅えるのだろう。其れでも..
びくびく震えているだけでは生きてゆけない。二人は共に、あるいは別々にでも、忌々しい記憶が鮮明に残るこの村を出ていく筈で。
身体を清め衣服を纏い、身支度を済ませた女盗賊が部屋を出る間際 ── 床にたった一枚残された、女の痕跡。美しく光る其れを拾い上げては、強く、強く握り締め宿屋を後にした。
■イルマ > 女が消えてもなお、死んだ様に眠り続けるベッド上の二人。
数時間後か数日後か、ともかく友人が目を覚まして間もなく瞼は開く。
重たいその身をゆっくりと起こすと、まず目に入ったのは友人の姿。何を考えるより先、腕を伸ばして彼女を抱き寄せようとする。
成功したならばその温もりを直に感じて、ホッと安堵するのだろう。
「…………ノア。…ノア、アタシ…っ」
記憶に刻みつけられた恐怖。身悶え、狂い続けた快楽地獄を思い起こしてその身を震わせた。
激しい頭痛に歯を食いしばりながらも、今は生きているという実感を友人と共に嚙み締める。
女が何を残していったかに考えを巡らせる余裕もなく。
■ハイドリア > 「すみませーん」
若い女性の声が入り口から響き、ノックされる。
偶然にもノックの感覚は記憶に染み付いた恐怖と同じ感覚。
それもそうだ、ノックの感覚というのはそう独特なものではない。
「お客さんにお手紙が…すみません、お父さんじゃなくて…。お父さんちょっとおかしくなってしまって…」
そこに立っていたのは若い娘。日焼けやソバカスからして村の娘だろう。
その手には上質な封筒が握られており、送り主の名前はない。
「部屋指定だったのでたぶんあってると思うんですけど…貴重品が入っているので必ず本人たちに渡すようにと言われていて…」
そういい差し出すだろう。
貴方たちがそれを受け取り、便箋を開くとそこには一言
「アンコール楽しみにしているわ」
そしていつしか飲み込んだものとよく似た赤い石がはまった指輪が二つ。
それは宛ら赤い瞳のような宝石だった。
貴方たちがそれをどうするかはわからない。
けれど貴方たちは悟っただろう。
自身が目覚めたタイミングに、丁度に届くことの意味を…。
遊戯はまだ…続いているのだと。
ご案内:「ゾス村」からハイドリアさんが去りました。
ご案内:「ゾス村」からイルマさんが去りました。
ご案内:「ゾス村」からノアさんが去りました。