2016/11/18 のログ
■セイバー > わざと魔剣の使い手の心を煽るように相手の攻め手を封じるように抜き身の刃を持つ手に手首に触手を絡めたが、それをして手の代わりの触手を振り払ったり刃を突き立てる事もしない事に正直嬉しくなる。
見た目が見た目だけあって、触れてからの交流が酷く難しく、繋がる事が出来ても振り払われて切り捨てられる事なんて良くある事で……。
一先ず次のステップに進んだ事に安堵しつつも悪育成が顔を覗かせ始めてもいる。
そして唐突に魔剣の主の手首、其処からスルとより深く、肘の辺りまで触手を這わせて絡ませて、つるりと丸い触手の先端でその二の腕を撫でようと……。
(……なんせ私?僕?セイバー?は最強の武具になる元だからネ!使い手が望めば剣だろうが、ハルバートだろうが……いやいや、今はこんなサイズだからネ、あんまり大きな武具は無理なんだ……でもローブやバックラーくらいなら……。)
自らの一人称に戸惑うほどにまだ知識は完全ではないし、会話の経験も多くは無い。適当に言葉を単語を並べテレパスを送り、対話を重ねようと……。
ただ言葉とは別に多少悪戯めいた音も混ざってしまうが。
(――ああ、探す専門なのか……残念。でもローブにもマントにも盾にもなるから便利だヨ?)
言葉で言えば矢継ぎ早に思考した言葉を直ぐにテレパスにして魔剣の使い手に返していく。
空気を読む
これを会得できて居らず、相手との距離感もまた理解できていない、その為に言葉がつい矢継ぎ早の言葉になってしまうのだ。
すまし顔の女に対してすました表層ながら、楽しげにテレパスを送り続ける未来の聖剣か魔剣の元になる為に生み出された魔法生物。
傍から見るとそれはそれは不思議な光景かもしれない
■クラーラ > 手首を掴まれても、下手なことをすれば魔剣が離せと電撃を放つというのもあり、悪意があるかを確かめるためにも掴ませた…というのもある。
けれど、やはりここを掴まれるのはあまり安心できず、淡い不安が心に立ち込めていく。
「セイバー…貴方の名前? 形が変わる…だから、こんな状態?」
触ってくると、今度は二の腕へと先端が触れてくる。
何でそんなところをと思いつつも、手首じゃなくなっただけマシと思うことにする。
子供のようにマシンガントークを浴びせる水飴に、小さく何度か頷きながら耳を傾けるのは、元々聞き手に回るほうが楽な性分だからだろう。
それにしても随分と使わせたがる変な魔剣と思うと同時に、それだけの理由は気になっていく。
「……この子は、私に恐れないこと、慢心しないことを求めた。私がそうなったら…この子は私を焼き殺すと思う」
自在に変化できる武器、それは一つで攻防を一体化させる素晴らしいものだろうと思う。
それに意思があるなら、連携するという考えだって出来る。
だからこそ不思議で仕方ないことがあり、軽く首を傾ける。
「……貴方は私に何を求めるの?」
力を交わす対価、それが彼にも在るはずと思うと、そこまでして自分に握らせたい理由を問う。
彼が欲する対価、それが大きすぎるなら…自分には二つも背負えない。
触る触手の動きは自由にさせつつ、彼の言葉に静かに問い返した。
■セイバー > ――何を求めるか、魔剣の主が問う言葉に使い手の使い方次第で聖なる武具にも呪われた武具にもなる不安定で未完成な武具は躊躇いもなく答える。
(――必要とされる事、必要とする事、強さを求めるが為に振るわれる事、弱いが故にその牙として振るわれる事。……それにしても焼き殺すなんて魔剣は恐ろしいネ。)
言葉はあくまでも純粋で嘘偽りなく、求める事と己の存在価値を弾む音色で魔剣の主に伝える。
――しかし、己が返答の更なる答えを聞く前に魔剣の主の二の腕より触手を解くと、離れる際に地面に触手で「マタネ」と器用に描く。
唐突な対話の終了、理由はひとつ、宿の主人や宿に宿泊予定の客が、水飴の塊りと対話する人影に奇異の視線を向け始めたからだ。
気にしない、ときっと魔剣の主は言うだろう
あんなに力を持つ魔剣を携えても尚、自分を保っていられるのだから。
だがかと言って迷惑をかけるのは人の手に使われる身としては恥じるべき事と感じ、今宵は是で離れる事にした。
しかし、一度紡いだ縁は容易くは切れないと、またきっと出会えるのではないか、と言う希望を含めて
彼女に向けて「マタネ」と残し、ゆっくり、ゆっくりと後ずさり何処かへ消えていく。
そこに残していったのは触手の触感の名残と、静寂で……。
ご案内:「ゾス村」からセイバーさんが去りました。
ご案内:「ゾス村」からクラーラさんが去りました。