2016/11/17 のログ
ご案内:「ゾス村」にセイバーさんが現れました。
■セイバー > ニュルニュル……と人影を避けるようにして透明度の高い塊りのような球体のようなモノが物陰から物陰に少しコミカルな音共に這いずり移動している。
それは一見して洞窟などに居そうなスライムに見えるのだが、それを言うと本人は怒る、くらいに全く違うもの。
どちらかと言えばモンスターよりも魔法の武具に近い存在。
今は酒樽くらいの体積を球体に変え、己の使い手となる者を探すべく、闇から闇へ村から村へ、そして都市へと移動をしている最中である。
今宵はその途中、一度必要の無い球形を取ろうと人間が程ほど居そうな村に立ち寄ったのだ。
若しかしたら、使い手と為る資格を持つ人間が居るかもしれない、と言う淡い期待と共に。
出切れば凛々しく美しい人に扱ってほしいと思うが、そうでなくても必要としてくれる者が居れば……等、人と同じように夢を見る。
しかし現実はどうだろうか、小さな村で未知なる遭遇に恐慌に陥らず立ち向かえるだけの勇士は居るのだろうか、思い返せば歴代の持ち主は……と、為るべく人目につかない、けれど全く人が通りかかる事もない、微妙な場所に佇んでいた。
ご案内:「ゾス村」にクラーラさんが現れました。
■クラーラ > オークションでの騒ぎに乗じてエルフの母子を外へ放ったものの、それ以上の関与は身を危うくする。
後は運良く生き延びてほしいとチャンスを与えたが、あの後彼女達を見たことはなく、あの男が持っていた魔剣の揺らぎから、何かしたのかもしれないと思うことにしていた。
そうしないと、良心の呵責というのが自分を責め立てる。
嫌な考えを振り切るように、山へと散策に入った帰り、一晩の宿を求めて村へと辿り着くと、明かりの溢れる宿屋の前で馬を止めた。
すとんと静かに降り立つと、手綱を馬止めへと括り付けていく中、魔剣が共鳴するような反応を起こし、訝しげに首を傾げる。
「……こんなところで?」
来る時は反応が何もなかった。
軽く首を傾けながらあたりを見渡し、それらしい姿を探そうとする。
とは言え、夜で宿の前となれば、客の誰かが魔剣を持っているのかもしれない。
この間の男か、若しくは太陽の剣の彼か。
「偶然?」
変なめぐり合わせが来たのかなと苦笑いを浮かべつつも、夜闇に姿と気配を感じられなければ、宿の中へと入ろうとするだろう。
■セイバー > ――新たな使い手を捜して彷徨い幾数年、久方ぶりに感じた衝撃は怖気立つような共鳴。
誰かに見られたか、感づかれたか、理解の範疇外であり、感じたものはあまり良いモノではなかった。
単純に判別すると帯びた属性に寄り感じる物なのだが、今感じたのは呪われているのか出生が魔を帯びているのかはわからないが、魔剣に属する物。
(………あまり良くない感ジ?それとも………。)
共鳴に感応し、透明で水飴に良く似た体色の身体をぶるっと身震いさせると、共鳴したモノを探し自ら行動を始める。
とはいえ、あまり広いつくりの村ではないらしく、直ぐに目当ての共鳴するだけの力をもった剣と持ち主を見つけ、身体をゆさゆさと左右に揺すりながら、苦笑いを浮かべる人影の背後に這い寄るとヌプと音をたたせ、身体の一部を触手の如く長く伸ばし、宿へ入ろうとする人物の腰を柔らかい弾力でツンツンと2回振り向いてもらう為に突く。
宿の窓から零れる灯りに反射して煌く身体は魔物に見間違えてもおかしくないが、今宵は一先ず共鳴と言う縁を得た人と言葉を交わすなりして、その力を見極めようと考えた。
■クラーラ > 暗がりに人の姿と気配もない、吹き抜ける風が人為らざる者の音をかき消してしまったのだろう。
やはり宿の中かなとドアへと向かい、手を伸ばそうとした瞬間だった。
「……?」
腰のあたりを突っつく感触、やはり魔剣の持ち主かとそちらへと振り返った瞬間……澄まし顔がそのまま凍てつく。
大きな水飴状の物体が何故かこっちを突っついている、何でこんなところにこんなものがいるのか。
ただ、凍りついたのはほんの一瞬で、本能的に危険というよりは不気味さから逃れようとサイドステップと同時に剣の柄に手をかける。
バチンッ!と電気の音を響かせて、反応速度と俊敏性を強化すると、一足飛びで数mの距離は取ったものの、攻撃はしなかった。
「……なに、これ?」
魔剣は同族に近いというような反応を強め、そして、魔物なら既に襲われていたのに何故か自分を突っついた敵対性の少なさも、距離を取って落ち着き始めると理解し始める。
異質という言葉が最も相応しい相手に、眉を少し潜め、訝しげにじっと様子を見やる。
■セイバー > 魔剣を携えた人が浮かべる澄まし顔が凍てつく姿までも水飴に良く似た透き通るガラスの如き身体の表面層がハッキリと映し、夜風に揺れてか表面がたわみ揺れる。
刹那、魔力か何かか判別の付き難い力で対話を試みようとした人物が凄まじい速度で自分との間合いを開けた事に表情と言うモノがあればきっと困り顔を浮かべるであろう……くらい戸惑う。
接触によるテレパスを用いた会話方法が難しくなったからだ。
しかし、対話を求める相手は魔剣を携えて見事な動きを見せた程の実力者。
色々な意味合いを含めて俄然やる気は湧いてくる。
訝しげな視線、返すのは透明な身体の中心に浮かべた半透明のビー玉サイズの球体が生み出す視線に似た相手を見るという意思の有る何か。
そして、触れる為に一瞬でも触れる事が出来た透明な触手を同じものをボコボコと鈍い音色を響かせ、身体の表面からもう1本伸ばすと、二本の触手を掲げて揺らしながら、次なる接触を求めて緩慢な動作で相手の方に近づいていく。
ニュルニュルニュルと為るべく相手が敵対意思と取らないように慎重に慎重に……同時に、距離が縮まれば直ぐに触れて言葉を交わせるようにと、二本の触手も掲げた状態で何時でも伸ばせるように構えている。
―契約と行かずとも武器としてもってもらいたい
その武具として生まれた欲望を満たす為に。
■クラーラ > 距離を取った途端、スライムのような何かが、何処か戸惑ったように揺れた感じを覚える。
そんなものもあってか、魔物と叩き切る気にはなれず、どうしたものかと水飴のような何かの様子を確かめていた。
「……っ」
ふと、目玉らしき球体が浮かび上がると、それがこちらへと視線を向けてくる。
なんというか、生まれた場所もあって、気色悪いと少しぞわりと悪寒を覚えて顔色が青くなる。
それから更に触手を伸ばしながら近づいてくると……腰に下げていた鞘を外し、眼前に掲げるようにすると、少しだけ刃を晒す。
「……怒ってない」
あの水飴に邪な気配があれば、剣が持ち主たる自分を守るべく、電気を迸らせるけれど、それもない。
そのまま刃を引き抜いたものの、切っ先は魔物に向けずに下へと向けていき、ゆっくりと近づいてくるスライムに自ら一歩踏み出す。
「何か悪いことしたら……この子が貴方を焼く、そうじゃないなら…いい」
流石に得体のしれぬ相手に無防備を晒すのは心許なく、何かあったときの備えと抜き身にした刃を携えて、こちらからも近づいていく。
触手で触れようとするなら、触られたくないような場所でなければ、相手のしようとするままにするだろう。
「……」
■セイバー > 言葉を発するにはまだ声帯を作るだけの力の無い存在としては、相手の言葉を理解するだけの知能があっても、その返答方法は限られている。
一先ず球体を生み出し、動かした際の魔剣の所有者の反応は少し楽しかったが、それ以上は今のところ止め湧き上がる悪戯本能とも呼ぶべき好奇心を押さえ込み、抜き身の刃を近づけ、それでも切りつけてこない相手に透明なる触手を伸ばす。
にゅる
触り心地はすべすべのゼリーか寒天か触れる肌に吸い付くような感触を与える不思議な触感の触手で、まずは抜き身の刃を持つ手首に、つん、と一度尋ねるように触れながら、直ぐにヌメっと一重に巻きついて、握手のように触手を上下に揺らして見せる。
(――焼かれたくないので悪戯は今は止めておくよ。やぁこんばんは魔剣の使い手。新しい武器に興味はないかイ?)
と触れ合わせることで可能になったテレパスで、直接魔剣の主の心に言葉を伝えようとする。
拒めば音はノイズとなり、拒まなければ僅かな安堵と楽しげな音を含む、声を伝える事ができる。
さて、どうだろうか?とじぃと体の中に浮かんだ球体をむけて伺うような眼差しを。
■クラーラ > 手首に柔らかくも肌触りの滑らかな触手が絡みついていく。
本来なら剣を握った手首を抑えられるのは、戦う力を大きく削がれかねないもので、赦したりはしない。
けれど、魔剣は彼を焼こうとしないのも事実で、怪訝そうな様子でじっと触手を見やっていると、それが上下へと揺らされていく。
何がしたいのやらと首を傾げると、同時に脳裏に響くような音に、ビクリと身体を跳ね上がらせ、澄まし顔は僅かに破顔した。
驚きを見せつつも、音の主と思われる水飴の固まりに視線を戻すと、口角が僅かに上がっていく。
「…こんばんわ。いきなり武器って……妙な問いね」
挨拶の次が、まるで自分が剣を探し回っているのを知っていたかのようなタイミングのよさ。
何かのめぐり合わせなのかもしれないと思いつつ、小さく頷いた。
「新しい武器…というか、魔剣を探してる。見つけたら、正しい持ち主を探して…届けるのが仕事」
王国に益がある人に限るけどと言葉を付け加えて、彼の言葉を肯定する。
しかし、こんな魔物みたいなのが武器を売り歩いているとでも言うのかと思うところで、未だに謎は深まるばかり。
あまり変化のない澄まし顔になりながらも、じっと様子を見つめている。