【イベント『王都から騎士団・冒険者等への緊急要請 「血の旅団」討伐依頼』開催中】
現在、「血の旅団」によってゾス村は占拠されており、盗賊たちの悪逆な振る舞いにより治安が悪化している。略奪や陵辱なども日常茶飯事となっている。
娼館や酒場は盗賊たちによって無理やり営業させられているような状況である。
城塞都市「アスピダ」のような厳重な守りが設けられているわけではないため、王国側が取り返すことは容易ではあるものの、ゾス村に対して大規模な駐留部隊をおいておくわけにもいかず、また別の「血の旅団」の一団によって再度占拠されるということが繰り返されていた。
【4/28日以降】
現在は王国側によって解放され、アスピダ攻略のための基地として扱われている。
酒場や娼館については、駐留する騎士団や冒険者に向けたものとして引き続き営業がなされている。
盗賊団から解放はされたものの、一部の騎士団員や冒険者による村人への物資の違法な徴用がなされており、問題となっている。盗賊団とかわらない、と嘆く村人の姿も見られる。
村内の物資を狙っての散発的な襲撃は繰り返されている。
※イベント非参加者は当イベントとは別時間軸の平常通りのゾス村として遊ぶこともできます。その際は補足欄にイベント非参加などの意思表示を明示してください。イベント参加者もその場合は略奪や襲撃はご遠慮ください。
郊外にいくつも存在する小さな村の一つ。
かつては豊かであったものの、戦闘などに巻き込まれることが多く、荒れ始めている。
何もなければ穏やかな村であるのだが、最近では欲望のタガを外し始めている村人も存在する。
時折傭兵団による略奪や、魔物の襲撃などに遭うこともあり、その場合被害に遭うのは女性などが多い。
村人全てがそうではないものの、よそ者には警戒心を抱く村人が多い。
宿やなどの基本的な施設は旅人のために設けられている。
※小さな村が舞台になります。
略奪や魔物の襲来なども起こるような場所ですが、壊滅までには至りません。
●この部屋には固定パスワードが設定されています。
参加者(0):ROM(1)
Time:00:34:50 更新
ご案内:「◆ゾス村(イベント開催中)」からルスカさんが去りました。
ご案内:「◆ゾス村(イベント開催中)」からルイトさんが去りました。
■ルイト > 「そっか。まぁ褒められるのが嫌な奴はそんなにいねェよな。……その髪も綺麗だし。手入れ大変じゃね?」
相手の母親について今はまだ知る由もないが…褒めることについて遠慮はない。明け透けに褒める。
何だかんだ、人懐っこい性格が功を奏しているのかもしれず。
さておき、了承に対して目を丸くする彼を見ると、
「そっちから提案してきた癖に何だよ」と思わず突っ込んで笑った。
その裏でぐるぐると渦巻く理性やら感情やら。内心忙しなくなっていることは流石にわからない。
心の裡を読む術は不得手だ。
「一緒の部屋にしてみて、もし邪魔だって思ったらいつでも言えよ」
初対面。そしてクライアントでもある。
いきなりガツガツと不躾に詰めていくのは流石に憚られる。
──最も、この会話の中で割かしグッと距離は削れた方だとも思うが。
もう夜も遅い。
一先ずは戻ろうと連れ立って村まで。そして宿に到着し次第、主人に交渉して彼と一緒の部屋にしてもらう手筈。
その道中も、これまでの話だったり旅の話だったりと色々花咲かせ、少しずつお互いの距離を詰めていく心算だ。
■ルスカ > 「うん、……褒められるのは、嫌じゃない。 顔とか、髪とか」
具体的には、母親に似ている、と言われる部分、全てについて。
誰かに褒められると、大切な母親のことを褒められているような気がして、嬉しくなってしまうのだ。
だからと言って、女の代用品にされるのは御免だ、と考える程度には、プライドもあるのだけれど。
護衛が必要な身として、さほど変ではなかった筈だが、
それでも、初対面でいきなり同室をねだるのはやり過ぎか、と、
冗談だよと誤魔化したつもりだった、その話題に。
さすがに少しは迷ったようだが、OK、の答えが返ってくれば、
今度はこちらが目を丸くする番だった。
「ぇ、―――――――――…」
えっと。
これはつまり、どう考えれば良いのだろう。
もしかして、最後の確認事項を実地で確かめるチャンスか、なぞと考えかけて、
すんでのところで理性を取り戻す。
いやいや、おかしくない、真面目に考えれば良いのだ。
護衛をする、ということを、しごく真面目に考えてくれた結果なのだ。
落ち着け、落ち着け僕―――――そこまで思考を巡らせて、うん、とひとり頷き、
「あ、うん。 ルイトがそれで良いなら、僕もその方が安心、だから」
どうしよう、この男、本当に真面目で親切な、良いひと、なのかも知れない。
『あのひと』に差し出してしまうのは、少し、気が咎めるような―――――いや、いや。
取り敢えず、今は未だ、その時では無い。
何はともあれ、王都まで旅をして、じっくり相手を知ってからでも構わない筈だ。
そんな思考を免罪符に、まずは彼と連れ立って、村へ戻ることにしよう。
そのあとのことは、―――――まだ、考えない。
今はまだ、明日からの旅の話などして、屈託なく、笑っていたかった、ので。
■ルイト > 「美人だと思う。──そう言われるのは、満更でもないんだな」
嬉しそうな、面映げな笑顔を見てつられるように此方も微笑が浮く。
自分だって、それこそ幼い頃は女に間違われた経験もある。
男なのに性別を取り違えられ、もやもやと胸の内に浮かぶ微妙な心地は理解できなくもなかった。
「うーん……確かに、いざという時に金が無いっていう事態は避けたいけど…。
──それはまぁ、護衛を引き受けた身だからな。幾らでも頼りにしてくれて俺は構わねェが」
そして。
同部屋の提案が来るとは思わなかったのか、少々意外そうに瞬く。
果たしてこの厚意めいた言葉に乗ってしまって良いものか。
冗談っぽく笑い、手を離す相手を前に少し考えを巡らせる。──そして、出した結論としては…
「───そうだな。俺は別に嫌じゃねェよ。
何なら、一緒の部屋の方が護衛としても良いか。不埒な輩が押し入ってきた時、駆けつける手間も省けるしな」
了承に意志が傾いた。
「宿の親父に言って金返してもらわねェと」等と早くも戻った時の算段を練り始めている。
──ルイトもその実、距離を詰める時はグッと一気に詰めるのだ。
ということは、初対面では中々図りづらい点かもしれない…
■ルスカ > 人探し、ならばまだマシというものだろう。
この少年がしようとしているのは、母親のための『ご飯』探しなのだから。
もちろん今は未だ、彼に対してだって、明かすつもりの無い真実だが―――――
「―――――――美人だと、思う?」
女と間違われるのは嫌そうな顔をしたくせに、美人だと言われると、嬉しそうに、面映ゆげに笑顔を見せる。
大好きな母親に良く似たこの顔を、褒めて貰えるのはやはり嬉しいのだ。
すこぶる上機嫌で、握られた手をしっかり握り返して、弾むように揺らし、
「だけどルイト、お金は、あるに越したこと無いだろう?
何しろ初の一人旅なんだ、どこでどう、ルイトの手を煩わせるか知れないんだし、
荒事に向いてないのも本当だからね、本気で、めちゃくちゃ、頼りにするから……、」
だから。
そう、もしも。
「だから、うん……ルイトが嫌じゃなければ、僕としては別に、一緒の部屋でも構わない、というか、
その方が安心出来る、という気もするけども」
それはさすがに、一気に距離を詰め過ぎか。
怪しまれては元も子もないので、ここはこちらも、冗談っぽく笑って済ませてしまおう。
握り返したその手も、不自然にならない程度にタイミングを計って、そっと離すつもりである。
■ルイト > 真面目に思案する横顔を眺めながら、人探しでもするのだろうか、と想像する。
自身を値踏みするような眼差しからも感じていたが──
何かしらの思惑はあるらしい。最も…王都に集まる輩は、大抵腹に一物抱えていることが多いのだ。
「──へぇ。でも確かに…美人だもんな、あんた。
俺も割と女寄りの顔だけど、大体この身体を見て察してくれるし。…ま、舐められて喧嘩売られることも少なくないけどさ」
肩を竦める。語尾を逃がす真意は窺えない。
さておき…提示した金額について諸々と返ってくる言葉に、首筋を擦りながら口を開く。
「まぁ色つけて吹っ掛けることだってできるけど、俺も別に懐寂しいわけじゃねェから。
流石に今日の宿代まで払ってもらうわけにはいかねェよ。
俺があんたと一緒の部屋で寝泊りするってんなら話は別だけど」
冗談めかして笑う。
足を止め、再び此方に差し出される右手を今度は拒まない。
此方からも右手を伸ばし、しっかりと握手をする。契約、というべきか。
「ルスカね。よろしく。大船に乗ったつもりでいいぜ……ってのは、ちょっと大言が過ぎるか」
■ルスカ > 「そう、か……そうだね」
ほんの少しだけ、真面目に思案顔。
とすれば、『あのひと』好みの強い男を集めるとしたら、
ある程度の期間、腰を落ち着けて探る必要があるだろうか。
ともあれ、まずは無事、王都に辿り着けなければ意味が無い。
見た目よりは頑丈に出来ている身ではあるけれど―――――やはり、護衛は、必要だ。
うん、と一人頷いて、それから思い出したように。
「……手始めに、部屋の前まで護衛してくれると嬉しいな。
宿のご主人は良い人そうだったんだけど、下で飲んでた客の中に、
どうも、僕を女だと思ってる奴が居たみたいでね……ちょっと、うん……」
いかにも言い難そうに語尾を濁したのは、演技半分、気恥ずかしさ半分。
相手が提示した金額は、こちらが考えていたより、幾らか安いようだったので、
本当にそれでいいのか、という顔で彼を窺い見ながら。
「もう少し、色を付けるくらいのお金はあるよ?
あ、もちろん、食事代なんかは別で、今夜の宿代も何なら僕が……、
―――――… と、そうか、そうだった。 僕も、まだ名乗ってなかったね」
村へ戻りかけた足を止め、改めて彼に向き直って。
今度こそ、取って貰おうと右手を差し出し、
「僕のことは、ルスカ、と呼んでほしい。
よろしく、ルイト、………頼りにしてるよ」
逃げないでね。
―――――そんなお願い事は、こっそり、胸のうちだけで。
■ルイト > 「探せばそりゃ腕に覚えのある奴だっているけど…数が多い程、外れを引く確率だって上がるだろ。
まして王都は情勢不穏だし、口だけ達者な連中が集まりやすいんだと思う」
だからといって他に、強者ばかり集まりやすい場があるかというとそんなことは無いのだが。
村の方を一瞥し、再び彼へ視線を戻す。
己が身をかき抱くような仕草を見つめ、その衣が相手にとって大切なものなのだと理解して。
「……金持ってなきゃ身ぐるみ剥がす、ってのが連中のやり口だしな。
一人旅なんかは格好の標的なんじゃねェか。王都だと護衛も募集できるけど…生憎こんな村だと中々拾えなさそうだ」
等と言っていると、今度は雇う際の費用について話が出た。
戻りながら相談──という点については異論ないが、さて相場はどのくらいだったか。
自身も何かしらの指標に従っているわけではなく、勝手に自分で決めているだけなので…
「宿は俺と同じか。あまり広くなさそうだったし、部屋だって近いのかもな。
で、相場……知り合いの冒険者から聞いた話だと、大体…」
と、又聞き情報ではあるがおおよその護衛任務の相場を口にする。
──そこでふと、未だお互いに名も知らぬ間柄だったことを思い出した。
「っと。先に名前だけでも言っといた方がいいか。俺はルイト。よろしく」
■ルスカ > この村に辿り着いてからも、本物の『見掛け倒し』を何人か見ている。
『あのひと』のお眼鏡にかなう男など、そう容易く見つかるものではないと、
取り敢えずは諦めて、王都にでも向かうかと思っていたところだ。
しかし彼によれば、王都こそ、期待薄であるらしい。
ほんの少し、眉間に縦皺を寄せながら、
「そうなのか、王都ならもっと、人材は豊富なのかと思っていたけど……、
数は多くても、質が良いとは限らないのか、やっぱり」
ならばやはり、現状、第一候補は目の前の彼だろうか。
何より若い、見た目は合格、腕っぷしは強い―――――あとひとつの要素は、さて、どう確かめれば良いだろう、なぞと、
不穏な思考を頭の片隅に転がしつつ。
格好について『危ない』と評されると、ぱちぱちと忙しなく瞬いて、
「お金……まあ、持っていない、とは、言わないけど。
そんなにたくさんは持ってないよ、この服は、母親のおさがりだしね」
安いものではないだろうが、実際、幾らぐらいするものかは知らない。
ただ、大切な母親からの賜りものなので、山賊に奪われたりするのは避けたかった。
無意識に、両腕でぎゅう、と我が身を抱き締めるような格好になりながら、
「ああ、うん、さっきの村の、あの、酒場の上が宿になっているところだよ。
一人でひと部屋確保させてくれるところ、あそこしか無かったから、
―――――…て、そうだ、ねぇ、やっぱり、幾らか前払いした方が良いよね?
相場とか、良く分からないんだけど……戻りながら、そのあたり、相談させてくれるかな?」
人を雇うのも初めてだというのは、もう、言うまでもないだろう。
彼がふっかけてきても、多分、気づかずに言い値を支払ってしまいそうだった。
■ルイト > 目の前で微笑む少年は、それこそ外面だけで言えば──一風変わった装いをした、未だどこか幼さ残る振舞いをする者。
少なくとも己の目にはそれ以上の情報はない。物腰柔らかい風情は好感。
だから怪しむ云々は無く、ひいては頼み事を断る理由もなかった。
「一丁前に身なりばかり揃えて、実際の腕っ節はからっきし…なんて奴は珍しくねェな。
特に王都ともなれば尚更だ」
実際、差し伸べられた手を疑うような心算はさらさら無かった。
だから了承すると大袈裟に肩を上下させ、大きく息を吐く安堵の音が彼から聞こえれば不思議そうに瞬いてみせる。
次いで、からりとおかしそうに笑ってみせる様はどこか大人になりきれていない幼さを相手に感じさせるかもしれない。
この青年もまた、然程歳を重ねている方ではないのだ。
「成る程。──確かに、この村から王都までの道のりは…少し物騒かな。
山賊は金持ってそうな奴をよく狙うから──あんたのその装いは、少し危ないかも」
気品のある衣を身につけている彼は、もしかするとターゲットになり得るかもしれない。
そう口にしながら見遣れば、口ごもり俯いて頬を赤らめる様が目に入った。
顔立ちも相まって可愛らしさを感じる仕草に、思わず微笑が滲む。
「王都か。明日の朝な、了解。
──というか、あんたどこに泊まってるんだ? あの村の宿? それなら俺もそうだけど」
■ルスカ > 「――――……本当に」
微笑んで、ひとつ、静かに頷く。
この出会いが縁だとするなら、相手にとってはとんだ悪縁だろうに、
―――――少年にとっては、今のところ真逆だ。
この青年ならきっと、『あのひと』も気に入ってくれる筈。
「でかい得物ぶら下げてても、見掛け倒しの男も居るからね。
そもそも、こんな風に、実際、腕を振るっているところを見てから
誘える機会って、意外と無いもんだし……」
そういう意味でも、こちらにとっては幸運だったのだ。
差し伸べた掌を、取って貰える確率は、果たしてどれくらいか。
疑われるような要素は、少なくとも、誘い文句には無かった筈だけれど、
―――――彼が思案する間、翠玉の瞳は瞬きもせず、じ、と彼を見つめていた。
意識せず、呼吸すら止めていたかも知れない。
だから彼が頷いてくれた時、薄っぺらい肩は大袈裟なほど上下して、
ほう、と息を吐く音さえ聞こえてしまうくらい、安堵を露わに。
「本当に、良いのかい?
ああ、嬉しい、良かった…… 実は僕、一人で旅をするのはこれが初めてなんだ。
ここまでは特に危険な目にも遭わなかったけど、この村にもちらほら物騒な人種が居るようだし、
街道を使っても、山賊に襲われたりするらしいじゃないか、だから、」
やや早口で、心なしか身も乗り出し気味に言い募る姿は、最初の印象より、子供っぽく見えるかもしれない。
自分でも、はた、と気づいて口ごもり、微かに頬を赤らめる。
ぎこちなく俯いて、しばし、口をパクパク動かしてから、
「……と、取り敢えず、王都に行こうと思ってるんだ、けど。
今夜はもう遅いから、早くても出発は明日の朝……
けど、もし、そっちの仕事の都合とかあるなら、何日かは待てるから」
良いかな、と語尾を上げて、上目に彼の反応を窺い。
■ルイト > 「だな。……どこに出会いの種が転がってるのかわからんもんだ」
少なくとも喧嘩を売ってきたごろつきに感謝する気持ちこそないが、
それを買ったことで生まれた縁といえよう。
どこか妖艶さも垣間見える容姿を眺めながら、いわく"仕事"の話に耳傾ける。
「偶に鍛錬も兼ねて冒険者の真似事をしてるけどな。
…随分一目置かれちまったね。でもま、人から良く思われるのは悪い気分じゃねェか」
まさか彼が失言寸前だったなんて知る由もない。
そっぽ向いての空咳に、怪訝そうな表情を一瞬浮かべるも──
そのまま、片手を差し伸べられるとはたと瞬く。少し視線を落とせば、そこには掌。
「ふぅん」
提案を受け、少し思案する。
護衛。仕事としては中々面白そうだ。腕を磨くチャンスでもある。
酒場の用心棒で酔客ばかり相手にしていても、伸びしろはあまり無いと感じていた故の。
「──ま、いいよ。あんたが一体どこに行くのか、どこを旅するのかまだ知らねェけど…
護衛、受けてやってもいいぜ」
組んでいた腕を解き、笑み混じりに頷いてみせる。
任せろというようにぽん、と腰に下げた木刀を軽く叩いてみせた。
■ルスカ > 「……まあ、もしあんたがそうしていたら、僕に絡まれることも無かったかも」
『目をつけられることも』無かっただろう、と言ってしまうのは、さすがに避けた。
この段階で、警戒されて良いことなどまるで無いのだから。
あくまで、そう、あくまでも―――――今は『仕事』の話をしているだけだ。
困っている、というのも、あながち嘘ではないのだし。
「用心棒ね、なるほど、それでさっきのあの腕か。
ますます気に入ったよ、……是非とも、僕を助けて欲しいものだ」
語調にいささか熱が籠る、そして今度も、危うくあるひと言を呑み込んだ。
『ますます欲しくなった』だなんて言ったら、それこそあらぬ誤解を生みそうだ。
こほん、とひとつ、そっぽを向いて空咳をすることで、失言寸前だった自身を戒めてから。
組んだ両手を再び解き、掌を上にして、彼の方へそっと差し伸ばし、
「荒事になる可能性は、そうだね、大分高いと思う。
だけどあんたさえ良ければ、……取り敢えず、何日かで良いんだ。
僕の護衛を、やってくれないかい?」
一人旅の用心に、人を雇おうとは思っていた。
だからこの依頼は、半分は真実で―――――けれど半分は、嘘っぱちだ。
そっと仕掛けた罠に、相手がかかってくれるかどうか。
表情は、眼差しは、媚びすぎていないだろうか―――。
■ルイト > 無論、魔法を駆使できる者であれば魔力の有無等、もう少し深く探れたかもしれないが。
生憎この少年は剣術・体術しか出来ない。だからあくまで連想・推測で物を言っているだけだ。
水をぶっかけて、という言葉に笑う。袖無しの上着から剥き出しの肩が揺れる。
「ま、店の中で揉めるのは面倒だ…つって此処に連れてきちまったけど、
いざその場で冷水でもぶっかけて目を覚ましてやれば手っ取り早かったかもな」
さておき。出会ったばかりの彼に値踏みされているのをしっかり感じながら、
続けての直截的な問いにちらりと視線が腰の木刀に落ちる。
「別に構わねェよ。王都での仕事は、そうだな。これと似たようなもんだ。
酒場とか、人が集まる所の用心棒。それで、暴れるような輩がいりゃ叩き出す」
とまで言った所で"困っている"という彼の言葉にはたと口を噤む。
仕事の誘いか。まぁ今は暇といえば暇だし、応えられないというわけではないが。
「仕事ね。別にいいけど……先に内容を教えてくれよ。俺を見て誘うってことは──荒事か?」