2023/07/09 のログ
ご案内:「ハテグの主戦場」にバティスタさんが現れました。
■バティスタ >
───聖堂騎士団の一陣は、本来進む予定ではないルートを進行していた
大規模な巡礼の一団を守護し、新生都市へと帰還する…その最中
そう遠くないハテグの戦場より王都に伝令に向かう途中であった兵士と擦れ違うことっとなる
曰く、手筈通りの作戦が上手く行かず手詰まりである、と
曰く、このままでは敗走は必至である、と
曰く、王都から本隊が到着するまで保つかは賭けである、と
「(──まぁ、王国軍に恩を売っとくのもいいでしょ)」
双頭の竜の紋が幌に掲げられた馬車
その中で揺られながら、バティスタは目を細める
目的の場所、敗走中の王国軍の部隊の一つが展開するエリアを遠目に見据えて
■バティスタ >
「…さて」
足を止めた馬車から地に降り立つ
吹く風が運ぶ、戦場の匂い
本来ならば聖堂騎士団にはそうそう縁のない場所だ
しかし今回は、王国軍に恩を売るという大義名分がある
「──では、指揮は任せますよ」
聖女モード・オン
穏やかな表情と声色を作り、その手に一冊の本を携える
■バティスタ >
少女自身戦えぬわけではない
しかしこんな戦場で十字剣を構え突撃していくような、そんなイメージを持たれるのはお断りである
あくまでもイメージは『聖女様』であらねばならない
それでいて、戦場での役割が皆無というわけでもはない
そう…聖女は奇跡を起こす者
「我らが主神ヤルダバオートよ…」
欺きの神の名を口にし
「剣携えし戦士達に…困難を打ち払う力をお与えください」
意味のない祈りの言葉を口にする
ふわりと少女の手の甲に刻まれた聖刻が光を帯び、手にした本から戦場の風に乗って夥しい枚数の頁が舞い上がる
それらは虚空に溶けるように消え、そして……
『『『オォォォォ───ッッ!!!』』』
聖堂騎士団、そして敗残となりかけた軍の部隊からすらも、怒号と雄叫びがあがる
「(仕組みは簡単な魔法なのよね、鼓舞化<ウォークライ>って)」
内心で単純な戦士達を小馬鹿にするような笑みを浮かべて───、一気呵成、反転攻勢が始まった
■バティスタ >
救援を受け気勢を取り戻した軍の部隊と
聖女の為であれば恐怖など微塵も感じぬ狂信者の集団でもあるゾハル聖堂騎士団
形勢を立て直せば本軍の増援も見込める状況となったのだから、勝利を目前にしていた相手の軍からすればたまったものではない
「…それで、お相手はどちら様なのですか?」
近くにいた軍の兵士に静静とそう尋ねる
こんな場所でも嫋やかさと淑やかさの雰囲気は崩さない、聖女の鑑
そしてその兵の口からは諸外国の中で小競り合いを続けている国の名前が出て来るのだが
「(そんな国あったっけ……ま、どうでもいっか……)」
お教え頂いてありがとうございます、と笑みで返しながら、内心はそんなものである
■バティスタ >
「(…まぁ、王国軍に恩を着せるにはこれで十分だけど)」
せっかく自ら寄り道をしてきたのだ
どうせならこの場にいる兵士や戦士達に聖女の奇跡をもっと見せておこう
なんなら入信者が増えるかもしれないし
「(禁呪の力を借りて大規模化してるだけただの魔法なんだけどね)」
治癒、快復、増強、増幅、瞬鋭──あらゆる効果を次々と戦士達に与えてゆく
「戦士達に、神のご加護のあらんことを」
そう言って、ぱたりと本を閉じる
そして紅蒼の眼の前に広がってゆく光景は、大幅な強化魔法を受けた兵達が相手の軍を食い潰す勢いで駆逐してゆく光景
‥ちょっと効きすぎて狂戦士化してる人もいるみたいだけど…細かいことは置いておこう
「──大勢は決しましたね。
では、我々聖堂騎士団は新生都市へと帰還しますので、これで…」
■バティスタ >
とりあえずこれを機に王国の方にももっともっと布教と…神の塩粒の流通を図る
そのいい足がかりになるかもね、と
帰路の道を馬車に揺られ、くすくすと人知れず笑みを零していた
ご案内:「ハテグの主戦場」からバティスタさんが去りました。