2023/04/09 のログ
ご案内:「ハテグの主戦場」にテイファーさんが現れました。
■テイファー > (魔族の国でひとしきり、手に入れた新たな力や異能を奮った災害。
但し、魔王には未だ及ばぬ力量となると根無し草の魔族の未来はそこまで明るい物でもない。ましてや己は特定の勢力に属さず、気ままに略奪を繰り返したのだから。
得られる物は多くとも、リスクが高すぎると判断して一端恩寵の向こう側。魔王でも自由に振舞えない土地で静かに噂の鎮静化を待ちつつ。
新たな母胎、新たな知恵、力を求めるのだった。
自らの尾は2本にまで減り、鱗粉を纏わぬ毛皮は獣特有の弾力を持つ程度だ。刃も槍も弓矢も魔力を軽く付与するだけで貫通できる強度にまで落ちている。
例えるなら自分の身体に見えない無数の鎖や呪符で弱体化を無理矢理にさせられている状況。)
「……ク、ハハ。やり合ってろやり合ってろ。」
(物陰に隠れている己が求めているのは人の死体や捕縛するのに苦労しない負傷した冒険者や騎士と言った存在だ。
物陰に引き込んでは【収納庫】の中に収める事で中にいる自分の手駒達に与えていた。
戦場と言うのは良い。血生臭い上に其処に魔力の痕跡があっても中々潜んでいる事に気が付かれる事が無く。
餌や母胎と言った存在を手に入れやすいのだから。此方側はリスクがやや下がる反面、リターンもまた薄くなるのだが。
人間は母体として優秀であり、エルフは魔力が高く、ミレーは特殊な母胎としても使える。捨てる物が無いのが此方の世界の生き物で、それらが取り放題にも近いならば足を運ばない理由も薄いのだった。
今は――己は崩された岩場の影に潜み、迷彩魔法で自分の存在が認識されにくい様にしている。他から見れば、気付かれない限り、死体として認識される状況。
丁度戦闘も終わった後。そろそろ自分の活動を本格的にする時間が迫っていた。)
■テイファー > (日は沈む。対峙している軍勢がどことどこの物か知った事ではない。
だが、煌々と篝火が焚かれている辺り、魔族同士ではなく夜目の利きにくい種族同士と見るのが妥当だろう。周囲一帯を巻き込む様な大魔法を使われるでもなく、ただただ武器を振り回し、対個人の魔法を主体とした魔法ばかりが飛び交っていた。この戦場ならば、もう少し大胆に動く事も出来るだろう。
篝火と言うのは風の加減一つで光の向きや量も変わる。近寄って来る相手を確実に捉え、離れた相手には大雑把に軍の動きを見るための物である事も多い。そして自分がいるのは戦場の丁度中央付近。
死体でも、まだ息のある存在でも。1人1人。或いは1匹1匹。自分の収納庫に仕舞い込み、余すことなく活用していくことにした。)
「(とはいえ妙な大物がいても面倒だ。転移陣はまだ生きてるな?)」
(不確定要素は人間の世界でも強烈な個の力を持つ存在がいる。それがこの戦場で将としているかどうか、だ。ここまで被害が広がっているなら両軍にいない。もしくはいるとしても、両軍ともに数が少なく、力量等しい場合。万が一そういった存在が此処に足を踏み入れた場合は逃げる準備である転移陣。つまり、タナール近郊の洞窟に逃げるための準備だけはしてある。誘い込んでの撃破と言うのも不可能ではない、だろうが。
出来る限りリスクは少なくしておきたいのが本音だった。上位と言うのは最強でもなんでもない。己が恩寵の中ですべてを出し切ってもたかが知れよう。
ずぶり、と。己の影に飲まれる様にまた1人の人間を収納していく。収納先で行われている行為は宴、と呼ぶにふさわしい物と言えた)
■テイファー > (ぞぶん、という音は人狼の口からだ。影で死体か生死不明の人間を飲み込み、人狼の口は貪欲に自らを維持するための餌を食していた。
こういう戦場に集まるのは何も騎士や国に忠誠を誓う連中ばかりではない。己の様な略奪者は他にもいる。彼らにとって不幸だったのは、全くの無警戒で背中を己に見せていたり、或いは自分を死体と誤認して近付いてきたことだった。
騎士の様な重装備ではなく、死体から装備品を剥ぎ取る連中の装備品は身軽になるための非金属製が多い。
それならば――まるでリンゴを齧るように容易く喉笛を喰い裂き、悲鳴を上げさせる前に絶命をさせる。
その命の雫を飲み干し、肉の塊を必要な分量齧った後に自分の影に投げ込む。地面に落ちる前に音も無く影に食われていく死体には目もくれない。)
「良いねぇ、こうも、思い通りに進むなら。」
(魔族の国では手に入り難い【食料】も【孕み袋】も。此方側ではこうも容易く手に入る。質にさえ拘らないならローリスクでリターンは得られやすい。ただ、その思考を声に出したのが拙かった。)
ヒゥン――。
(その音は風を切る音。音に敏感な自分の耳にはその正体と向かう先が正確に聞き分けられた。風切りの音は矢が向かって来ている事。そしてそれは真っ直ぐに己の方へ飛来してくる。闇夜でも視界が利く己がとっさに後に跳ぶ。数メートルほど後ろに跳ぶと、先ほどまで自分がいた場所を高速で通過していく矢があった。
耳の利く種族がいる様だ。となると――逃げに徹した方が無難だろう。矢は鋭く、十分な殺意と威力を以て正確に自分の声を出した口元を狙っていた軌道。腕利きがいる。)
■テイファー > (物を食べる音には反応せず、声に反応したなら。死体を漁る獣には用がなく、人ではありえない音の重なり方と声に寄り敵だと判断されたといった所か。剥ぎ取りや獣には矢を向けなかったとなれば、明らかに戦場の異物と認識された可能性が高い。
となると、少なくとも状況は悪化したのだ。自分が飛びのいた後の着地点にも続けざまに矢が飛んでくる。鋭く、射抜く為の殺意と敵意が込められた矢だ。着地点を予測され始めた頃にようやく転移陣に到着し――逃げる様にその陣の中に飛び込んだ。)
ト、トトッ、トトトッ。
(転移陣の中に入り込んだ直後に地面に無数の矢が突き立てられていた。恐らく逡巡していれば死なないまでも痛手は負っただろう。
更に、矢が打ち抜いた事で陣は破壊されている。これではもう同じ陣は使えないだろう。名も知れぬ弓手を称賛しつつ、狩場を奪われた事による逆恨みを確りと心底に焚き付け。魔族はこの戦場から姿を消すのだった)
ご案内:「ハテグの主戦場」からテイファーさんが去りました。