2022/02/18 のログ
ご案内:「ハテグの主戦場」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
メイラ・ダンタリオ > それは雨の中だった
雪が降り積もり、戦場が閉ざされていれば
あるいはこのハテグは全てが白に包まれて 且つての妖精の地
それを再現していたかもしれない

しかし現実は違った
戦場を続ければ 女を買い 薬を買い 麻の草を買い 武器を買う
戦場は躯とゴルドと物資が回り続ける場所と化しているだけながら
それを維持する力がどこかで働いていたのか

どれだけ凍えようと
どれだけ震えようと
どれだけ耐えようと

戦場が白くならない限り 動き続ける


「……。」


ハテグ
意味のない戦場と周知されながら、互いに退かず血を注ぎ続ける場所
小競り合いだろうと なんだろうと
互いが意思を以てぶつかっている限り 休戦も糞もない

そこに、メイラを含む そのメイラの狂気が浸透し 影響された隊が現れる
自国と他国が争い合う場 魔以外と殺し合う場
タナールやアスピダに比べれば意味が薄い戦場にメイラが現れた理由は
決して気まぐれではなく、その小競り合いの場所で
一方の戦力の一部に角が立っていた 太く鋭い角が 欠けない角が
それに対し、メイラが現れている。同じ角となる為に。
背中に巨剣を背負い、それに耐えうる馬を携えて。

周りからすれば ギョッ と目を向けるような
戦装束に身を包んだ おとぎ話でもよく見る類だろう “首無し馬” を連れて。

「いつもと違って、こちら側の血の臭いが濃いこと。」

細かな ハラハラと降る静か雨の中で、メイラは黒い雲に覆われた昼間
髪を濡らし 貌を濡らし ギザ歯を見せる三日月笑みの口端に雨を伝わせながら、その角を見やった。

メイラ・ダンタリオ > 身軽さよりも筋力を
軽やかな足よりも毛深く太い脚を
鎧に身を包んだ剣士を背に乗せて運ぶのに、相応しい武骨な馬
顔立ちや瞳はいったいどうだったのだろうと 空想するかのような 首無し馬

それに跨る黒真銀に全身を覆う、メイラ・ダンタリオが筆頭となって
魚鱗のような形で隊が全身する 目の前で前進する狂気の塊の背中と その大剣擬きを見て
何かに触れて 何かに突き動かされて 怯みも淀みも恐れも消えて 狂気に浸かる
俺も 私もと 剣を 槍を 握りしめて

一角が、鉄の悲鳴と喉笛を鳴らす
弩の一斉打ち込みにひるまず 肩に刺さる者がいようと 目の前のメイラが、スリットマントを生かし
片側を引いて跳ねまわすことで、叩き落としていく姿
矢がちりばめられながら、前進が続く 濡れた地面の飛沫と蹄の音は、ぐちゃぐちゃと 音を鳴らす
他国兵は喉を鳴らす その蹄が慣らす音が 地面で無くなるのは 瞬きを5度するほどでもう変わると。


「―――■■■■■っ!!!」

言葉ではなく声 声ではなく吠
跨る馬に対し、巨剣を背中から抜き放つ片手抜き
シルエットの一部が伸びたことで、騎馬の群れと騎馬の群れ
それが激突しあう瞬間が生まれた

傭兵ではなく馬持ち勢 有力な戦士か 貴族か お抱えの騎士団か
それが、イカれの塊と対峙した瞬間、首無し馬という特性を生かし、馬の両側面ではなく、真正面も込みで剣が横薙ぎに振るわれた。

鉄の撓んだ音 鉄と鉄が激突した音
そして、斬り込みしながらぶつかり合うことで 先端半ばで切り落とされた者ら
根本近くの鈍らでひしゃげ潰れて、堕ちていく者らが生まれていく

メイラの大剣擬きが、右から左へ 左から右へ
腰から回し、剣を振るう上半身運動

上がちぎれて飛ぶ影が 叩き落とされて地面の音に紛れた影が
それにはチェスの駒のように、馬の首まで影となって増えていく

      ガァンッ   ゴォンッ  メギンッ 

幾つもの鉄の声が生まれる

その姿を見て、そのメイラに追従する者らが、俺もと 私もと 剣を首や胴の繋ぎ目
脇の隙間と狙っていきながら 叩き落とし 斬りつけていく。
ダンタリオの狂気巡り 伝染するイカれと脳内麻薬分泌という高ぶりから起こる痛みの消失
全員が狂えば 正気に戻るまで そのままなように。

ご案内:「ハテグの主戦場」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。