2019/08/14 のログ
アマーリエ > 「……――魔物は特に念入りに皆殺しだけど、手頃な捕虜でも取ってないかしら」

鍋で空炒りされる豆のような心地を得る暑気の巷の戦場だ。
直ぐに屍も腐って干からびそうな具合の中で、好んで死にたいという兵は要るまい。
見目の良い魔族であれば兎も角、増えれば倍々計算で増えそうな亜人の類は衛生のためにも念入りに屠る。
こんな有様であれば、生命を惜しんで降伏するものも皆無ではないろう。
敗残の兵の最期は無残だが、媚を売れば慰め物になりながら生きる目を拾おうとするものは居る。
理解はできるけれども、共感はし難い境地であるが。嘯きながら、自分のために宛がわれた幕舎の方へと歩もう。

途中、すれ違う部下達には夜の警戒の備えと暑気に自棄すら混じった自軍の体制を整えるよう、命じる。
例え色事の最中でも、不意に備えられる心構えを得たものばかりではないのだ。

アマーリエ > 「……お楽しみがないならないで良いけど、早めに朝が来て欲しいわ」

どの道、その手のお楽しみに興じていられる暇はない。
即時の招集として雇った傭兵の指揮系統を保つためにも、同じ境地と趣味に走ってはいられないからだ。
誰かが動かなければ、誰かがそのかわりをしなければならない。
そして、将たる自分以外の誰にも重要な権限を掌握し、手放すわけにはいかない。
己の幕舎に入れば、一先ず軽食を取って夜明かしの気構えを整えよう。
少なくとも、朝を迎えれば他の師団等が到着し次第、戦域の維持を委任できる。そう考えながら――。

ご案内:「ハテグの主戦場」からアマーリエさんが去りました。
ご案内:「ハテグの主戦場」にギュンター・ホーレルヴァッハさんが現れました。
ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「……戦の指揮、というのは存外楽しいものだな。戦争に嵌まる者達の気分が、少し理解出来たやも知れぬ」

地平線に沈みつつある夕日が、大地を埋め尽くす屍と武具の残骸を照らす。

辺境の反乱に乗じて攻め入った小国の軍団は、丘陵の一角に陣取った王国軍と相まみえた。
兵の練度や総数こそ平均的なものであったが、特筆すべきは潤沢に行き届いた装備や兵站、兵器の数々。
磨き上げられた長剣。傷一つない騎士鎧。ずらりと並べられた大砲。撃ち止まぬ弩弓。
それを纏う兵士達は栄養価の高い食事を十二分に得て士気も高いとくれば、小国の軍勢など敵になる筈も無かった。

「……女子供まで戦場に駆り出すくらいなら、戦など仕掛けずに大人しくしていれば良いと思うがね。まあ、兵達への褒賞を出す手間が省けたとも言えるか」

今は、捕虜にした敵の兵士達を検分している真っ最中。
と言えば聞こえは良いが、将官は捕虜へ。健康な男は奴隷へ。そして少なくない数の女兵士は――

戦の後だというのに元気な事だ、と苦笑しつつ、兵士達を労いながら狂乱の宴の狭間を縫う様に歩いていた。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 王国軍師団の新規編成に備え、兵法だの軍の指揮だのを体験する為に率いた借り物の部隊。
とはいえ、戦を指揮した経験など無い自分が出来る事は、戦闘の前にあらゆる準備を整える事。

存分に資金を注ぎ込み、上手い飯を用意し、優れた武具を用意し、戦功を上げた者への褒賞を確約する。

それだけでも、兵士達は良く戦ってくれた。
練度は並、と聞いていたが、どうして中々。終わってみれば完勝と言っても良い結果であった。

「とはいえ、何時までもそんな戦い方が出来る訳も無し。此方の被害を減らせる様な戦い方を学ばねばならぬが…」

そういう事に詳しい者がいたかな、と思いながら歩いていれば、虜囚を抱く兵士達から喝采と感謝の言葉が投げかけられる。
荒くれぞろいの兵達は女を抱いたまま、肉にかぶりついたまま言葉をかけてくるが、それを気にしても仕方がない。
流石に、己の配下になる者にはもう少し礼儀を覚えて欲しいものだが。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > そんな思いを胸に陣地を見回っていれば、同じ様に兵士達に声を掛けていた隊長格の兵士達と出会う。
宴に交じらず、こうして兵士の苦労を労っているというのは中々に良い心掛けだ。

「…折角だ。まだ夕食を済ませていないのなら、天幕で共にどうかね?良い酒を持ち込んでいるからな」

こうして、兵士達と過ごす夜が更けていくのであった。

ご案内:「ハテグの主戦場」からギュンター・ホーレルヴァッハさんが去りました。