2019/01/16 のログ
ご案内:「ハテグの主戦場」にジナイアさんが現れました。
■ジナイア > 鬨の声と血風、または魔道による熱や嵐が所々で巻き起こっている、人間同士の争いの舞台となっている丘陵。
曇天で妙に気温が高く、冬にしては湿って温い風の吹く今日は絶好の争い日和とでもいうように、一段と激しい戦いが繰り広げられている―――
その丘陵から少し外れた平原、雑木林傍にある小さな小川。澄んだ流れとは言い難い、黒っぽく見える流れを湛えた其処へ、黒毛の馬を駆って来る灰色の影が一つ。
全力疾走してきたらしい、鼻息荒い牝馬を何とか馬上の人物は宥めようとする。中々その脚は止まらない。
「―――どうどう、もう、大丈夫だよ…」
丘から続く平原から大分雑木林へ駈け込んで、ようやく『彼女』の足が緩み始める。
ご案内:「ハテグの主戦場」にキニスさんが現れました。
■キニス > 「はぁ…はぁ…!」
人間同士の争いが繰り広げられてい地より走る男が一人。
息を切らし、肩で呼吸をしつつ、雑木林へと足を踏み入れれば、木に手をつき一息つく。
頭からは赤い液体が右目の上を通り、彼の視界を赤く染め、遮る。
「クソが…死んでも大丈夫だからって、死にたいわけじゃねぇんだぜ…!」
その血を服の袖で拭いつつ、洗い流せる場所がないか探す
しばらく歩けば黒い淀みを持った河川へと到着する
汚い、でも今の自分に比べればこっちの川の方が綺麗だ
こういうのは環境破壊になるのだろうか?と思案しつつも顔を洗い、一息つけば……
「……!」
川の向かい側に居る黒馬とそれに跨る女を視認する。
気付かなかった。視界が遮られて、川に気を取られたせいだ。
周囲に気を付けているならば相手の方が先に反応しているだろう
■ジナイア > 川沿いを駆脚から速足、並足となるまで進んでいく。
やっと落ち着きつつある『彼女』の、汗びっしょりの首筋を撫でてやりながら、馬上の人物は辺りを見回す。雑木林が広がるばかりで、丘からは随分と離れてしまったようだ…馬上の人物――灰色の外套を纏った、赤銅色の肌の背の高い女は、その熟れた唇に苦笑を浮かべる。
「――仕方ないな。キミが生き残るためだものな…」
そう言ってまた『彼女』に視線を戻そうとして、斜め先、小川の対岸に、白髪の人影を見止めて翠の双眸を細める…
(敵…か?)
思わずその言葉が脳裏を掠めてから、今の自分にはどうでもいい事だと思い出してまた、苦笑いを浮かべる。
そうして馬をそのまま並足で進めて、対岸の彼の前でゆっくりと止める。
「やあ…大丈夫かな?怪我をしている様だが…」
女自身には何も印は無いが、馬には王国側の紋章が鞍に下がっている。反応は…どちらだろう…取り澄ました表情で、彼を伺う…
ご案内:「ハテグの主戦場」からキニスさんが去りました。
ご案内:「ハテグの主戦場」にキニスさんが現れました。
■キニス > 「あ、おう…いや、まぁ、大丈夫ではないが…」
まさか冷静に話しかけられるとは思わず、少し言葉に詰まりながら返す
正直なところ、さっきから身体のそこらじゅうが痛いし、疲労困憊の状態
彼女の愛馬であろうその馬を多少羨ましく思いつつ、彼女と愛馬の様相を一瞥する
「アンタこそ大丈夫なのかよ?その紋章…王国の騎士様か何かだろ?あそこの丘でやり合ってるのにこんなところで油売ってよ」
彼女の愛馬と紋章、その並々ならぬ雰囲気から王国側の騎士だと予想を立て、自分には敵意がないことを示すかのように告げる。
敵か、味方か。あえてそのようなことを名乗ることはしないが、殺気を放ったり、剣に手を付けてないことから、敵意がないことは読み取れるだろう。
実際、彼自身もそのように心がけて話していた。
■ジナイア > 多少戸惑った様子に、くすりと熟れた唇が笑みこぼす。口調も視線も正直そうで、彼を見る翠の瞳の奥には好感めいた光が宿った。
そうしてまだ呼吸の荒い馬の首を再度撫でてやってから、するりと地に降り立つ。
「ああ…これは借り物というか…目の前で放り出されてしまったのでね。置き去りにしては可哀そうだと思って、攫ってきてしまったんだ」
言いながらその黒い鼻面を撫でれば、馬の方も甘えたような嘶きを漏らす。
「丘の方はまあ、戻った方が良いのかもしれないな…頼んで、混ぜてもらった訳だし…」
その丘は恐らく向こうだろう、と翠の双眸を向ける――彼の背後の遠く、鬨の声が微かに、混じって聞こえて来る。
「それよりも…キミが大丈夫ではないというのなら、何か手を貸そうか?」
視線を彼に戻して少し首を傾げると、黒髪がさらりと前に零れ落ちて来る。
■キニス > 「む…」
笑みをこぼす彼女に不思議そうに首を傾げ、一応は警戒は解けたと安堵する
地面へと両足を付け、赤胴色の肌を光に反射させ、大人びた唇と綺麗な瞳を持つ彼女にドキッとする。
「あ、あぁ…そうかい。ってことは王国側の騎士様でもなんでもねーんだな。戦場で可哀想なんて思える余裕があるなんて、立派だなアンタ」
戦場において、自分以外の命のことなど考える余裕はない。
無限に蘇生できると言っても死にたいわけではない。痛いのは嫌だ。
なので当然、蹴落としたり見捨てたりなどする。でも自分とは違って一つしかない命で何かを救った彼女に純粋に驚く。自分にはできないことだ
「あぁ…手、ね。出来ればその胸に顔を埋めたり、膝枕でもして欲しいところだけど、初対面でそれはハードルが高いか。…そうだな。さぞ立派な戦士さんって事で一つ頼みたいんだが…」
下心を剥き出しの要望を冗談交じりに告げつつも、咳払いして本題へと移る
未だに戦乱の怒号が聞こえるこの場所で少し真剣みを帯びた顔をして
この提案は彼女も驚くかもしれないが…話せばわかるだろうか
「俺を殺せ」
■ジナイア > 楽しそうにくすくすと笑いながら、黒毛の鼻面を撫でて頬を寄せる。
「立派、というなら『彼女』の方だな…純粋で、奇麗で美しい」
馬に頬を寄せたまま、目線だけで彼を見遣る。軽口に『もの好きだな』という色を浮かべた後、真剣みを帯びた声で放たれた言葉には流石に…そのアーモンド形の眼を軽く見開いた。
「…どういうことかな?」
方法はいくつか、あると思うが…などと取り澄ました顔で言葉を次ぎながら、説明を促すように、灰色の瞳をじっと見つめる…
■キニス > 馬が好きなのか、と彼女が見捨てることができなかった黒馬を見て勝手にそう決定づける
自分も動物は嫌いな方じゃない。馬や犬は素直で可愛いし、人間よりも忠誠心がある。人間関係に疲れた時は頼りになると心の中で頷く。
「簡単に説明すると、俺は死んでも蘇る魔法がかけられててな。蘇ったら傷は治るから、殺せってことで…」
そんな怖い顔するなよ。と付け加え説明を始める。
彼女ほどの戦士であるならば自分も苦しめることなく即死させるなど容易だろう
自分としては痛みもなく死ねるなら本望だ
「嫌なら断っても良いんだ。あんまし気分良くないだろうしな」
未だに痛む身体を無理やり動かし、苦笑いを作る
正直、この痛みから解放されるならいっそのことすぐ殺されて復活した方がいい
彼女はどう返答するだろうか…とその綺麗な瞳を覗き込む
■ジナイア > 「……あまり、趣味の良い魔法ではないな…」
少し首を傾げて彼の言葉を咀嚼したあと、翠の双眸を下に落とす。そうして腰に吊るしていた、折りたたんだ穂先の付いた三節混を手にすると、腕を一振りする動作で音も立てず1本の長槍へと変形させた。長さは、彼女の背丈と同じくらいだ…
「生憎と私には経験がないから、どちらが楽なのかは解らないんだが…首を撥ねるのと、心臓を一突き、どちらが好みかな?」
また右腕のひと動作で槍を彼の胸元へ突きつける。お望みなら、火の魔人に消し炭にしてもらう事も出来る…そう言う女の表情は、取り澄ましたまま何の感情も浮かんでいない…ただ静かな翠の双眸を彼にひた、と据え付ける。
■キニス > 「俺も好きでこの魔法の餌食になったわけじゃないさ」
頭を抱え、彼女の言葉と武器を取り出す動作を見れば、安心したように頷く。
彼女の獲物は槍か。背丈ほどの槍を巧みに操り、自身の胸に突きつける様子を見れば、殺生をしておらずとも優秀な槍使いだとわかる。
「てっきり歴戦の英雄かと思ったけど、違うんだな…首を刎ねた方が早いかもしれないな。一思いにバッサリとやってくれ」
冷たい彼女の表情とは正反対の苦笑いのような笑顔を浮かべて告げる
経験上、心臓を抜かれるよりも首をはねてもらった方がすぐ死ぬし、痛くない
一番辛かった死に方はなんだったかな…と思いだそうとしつつも、彼女にさらに付け加えて発言をする。
「生き返ったら何かお礼をしてやるさ。マッサージとかどうだ?なんてな、ははは!」
これまた下心見え見えの冗談を放ち彼女に少しでも罪悪感や、嫌悪感が軽くなるように気を遣っている。
つもりなのだが、彼女に対しては逆効果だったろうか?と発言した後に顔をそーっと覗き込む
■ジナイア > 女の表情が奇妙に歪むと、突きつけた槍を軽々反転させて足元にとん、と付く。それに寄り掛かるようにして、対岸の彼を上目に見る。
「キミ…本当に死なねばならないほど…私が手を下さなければならないほど、重症なのか?手を下すのはやぶさかではないが…」
首を転がす趣味がある訳ではないし、と付け足して
「…飛ばした首にマッサージされるなど、ぞっとしないな…」
明らかに呆れた表情。気付けば殺気が失せてしまっていることに、彼は気付いたろうか…
■キニス > 「やっぱり、ダメか。ま、たしかに視界がぼやけるとか本当に動けないわけじゃあないから、お前が思うように大した傷ではない、な」
数ヶ月の休養は必要になるだろうが、と補足しつつ彼女に答える
実際、なぜこのような提案をしたかと言われたら、彼自身も今から数ヶ月間にも及ぶ痛みに耐え、傷を治す生活に耐えきれないからだ。それならばここで彼女に殺されてすっきり治った方がやりやすい。
痛みにも耐えられない彼は自殺する勇気もない。そのため、手練れである彼女へと頼ったのだ。
自分のヘタレ具合に頭を抱えつつ、「すまない」と小声で告げる。
自分の発言に対しての彼女の表情と殺気が失われた様子を見れば、焦ったように別の提案をしようとする
「わ、わかったよ!殺しは無しだ!…そうだな。それじゃ別の提案だ。傷の手当てとか、頼めるかい?」
空気が悪くなったのを察すれば別の頼みをする
応急処置は済ませたがしっかりとした手当ては済んでいないため、それを彼女にやってもらおうとする。
包帯の巻き方はグチャグチャ、自分の血と返り血が混じっており衛生的に悪い。それらを改善するのを手伝ってくれないかと、彼女に聞く
■ジナイア > 「……済まないな、期待した様な殺人嗜好を持合せていなくて…」
翠の瞳は半眼で、本気なのか冗談なのか、取り澄ました表情でそう、謝罪の言葉を口にした。
また、顔を寄せてきた黒毛の馬の鼻面を撫でる。その彼女に囁きかけてから再びするりと騎乗して、ゆっくり小川を渡って対岸の彼の傍らで降りた。馬の手綱を捕まえたまま、彼の傷の様子を少し眺めて、手ぶりで座っている様に示す。
「まあ、私も器用な方では無いが…ましには出来るだろう」
ひたと翠の双眸で見つめてから、馬の手綱を近くの木に巻き付けて、鞍に付いていたらしい小さな荷物と共に戻って来る。
「…どこが一番気になるんだ?」
■キニス > 「いや、頼んだ俺が悪いんだ。気にすんな」
真面目そうな彼女の言葉に少し苦笑いを浮かべる
というかそんな殺人嗜好求めてないから!とツッコミを心の中でさらっと入れておく
自身の傍に降り立った彼女を眺める
綺麗なカラスの濡れ羽色の髪に赤胴色の健康的な肌。熟れた唇と翠の瞳の綺麗さを間近で見て、鼓動が少し早くなる
どこが気になるか。真面目そうな彼女にここは少しイタズラでもしてやろうかと、自分の下腹部の方…股に目をやる
「ズボンの中がちと蒸れててな…色々と、スッキリさせてくれないか?」
ニヤリと笑って彼女に向けて明確なセクハラを始める
■ジナイア > 「………そうか」
言うなり、まだ槍の形状のまま手にしていた刃をざん!と彼の足元、股間のごく近くに突き刺す。
「余計な出来物でもあるようだな?」
翠の双眸と熟れた唇を、これまで見せてきた中でも極上の笑顔の形にして微笑んで屈みこみ、手際よく血で汚れた包帯を解いていく。
「そこの川は色は悪いが…毒という事ではなさそうだから」
器用に包帯を片付けつつ、使っても構わないか?としれっとした顔で問うた。首を傾げると、金の輪の耳飾りが少し揺れる。
■キニス > 「ひっ!」
股のすぐ近くに刃が落ちれば、青ざめた顔となり、自分の息子が無事であるか確認する
一気に血の気が引き、なんなら大きかなりつつあったソレも一気にしぼんでしまった
極上の笑顔を見せる彼女に冷や汗をダラダラと流しながら彼女に身を任せ余計なことは言わないようにする。
「あ、あぁ…構わんぞ。美人さんに身体拭いてもらうだけでこれ以上ない贅沢だしな。川の汚れくらいなんともないさ」
調子のいいことを言いつつも、彼女が美人ということに偽りはなく、その手に身を委ねる
まさか初対面でここまで良くしてもらえるとは、この後に自分ができるお礼は何があるか、と考え始める
■ジナイア > 了承を得ると頷きを返して、立ち上がって小川へ行き、布を浸し、少し革袋にも入れて戻って来る。
大人しく身をゆだねる姿に、少し声に出して笑みが零れた。
「まあ、私も大概だが…キミも無駄な危険には近付くまいよ。死なないとはいえ、痛みはあるのだろう?」
水にぬらした布で身体を拭って行く。汚れが酷くなれば革袋の水で少し洗って奇麗にして…取り敢えず、見える範囲、背中、胸、二の腕辺りから血糊は消えていった。
「ほかに痛みはあるか?」
まさか2度目はあるまいな、と視線で釘を刺しながら、手元に奇麗な包帯を用意してくるくると広げ始めている。
■キニス > なんで彼女が笑っているのか謎であり、首をかしげる。
大人の男が大人しくじっとしてる様子がそんなにおかしいのだろうか?
あまり彼女が経験したことないことなのだろうか、っと勝手に決め付け自己解決しておく。
「あぁ、そうだな。剣で切ったり刺されたり、かなり痛いぜアレ。でもまぁ、俺もご飯食べないとダメだし、金は欲しいから戦わないとよ。一応、剣は少し上手いんだぜ?」
血糊をどんどん消していく彼女にありがとうと付け加える。
こんな美人に体を拭いてもらえるなら、怪我を負うのも悪くはないとか思い始めるも、体の痛みがその考えをすぐに引き戻した
「あ、や…とりあえず包帯巻き直してくれれば大丈夫です…」
その視線にビクッと体を動かし、冷や汗をかきつつ敬語になってしまう。
次同じことを言ったらまた傷が増えてしまいそうで、ビクビクしつつも余計なことは言わないように心掛ける
■ジナイア > 「戦い以外の金儲け方法でも、考えてはどうかね…」
そう呟きを返してみるが、彼女自身もそんな才覚はないので、少し言葉が薄っぺらだ…だが、憧れでもある。
彼の敬語の回答に、すこし人の悪い笑みをくすりと漏らして、器用に包帯を巻きなおしていく。
巻き終わると、動かしづらくないか?と様子を見てから大変満足気に頷いて立ち上がる。
「さて…私は戦場に戻るが、キミは離れた方が良いだろうね…『彼女』に頼むといい」
そう言って黒毛の馬を指した。馬はすっかり大人しくなっており、彼が乗ったとしても振り落としたりはしないだろう…
■キニス > 「それもそうだな…」
頭を抱えて、なにか天職でもあればと思うがそう簡単にはいかない。
その日を食べていくには金が必要だし、それを稼ぐためには戦わないといけない。
他のスキルを磨く時間が欲しいが確保も難しいのだ
動きづらくもないし、むしろ自分より綺麗な巻き方に体を少し動かしてこちらも立ち上がる。
色々してもらった悪いと思いつつ、礼を言おうとした時に彼女からの提案が飛び込んできて
「マジかよ…いや、それでいいならいいけどよ。…無茶すんなよ」
そう言って黒毛の馬に乗り、その首筋を撫でれば手綱を握りしめる。
「アンタには貸しがあるしな。それを是非返させてくれ。…俺の名前はキニスだ。アンタの名前は?」
馬に跨り、彼女を見下げる形でそう聞く
彼女の名前を聞けば満足そうなら笑顔を浮かべて「次は王都で会おう」とでも言うだろうか
そのまま、馬の手綱を引き、彼女の名と恩を心に留めて駆け出せば王都へと帰っていったーーー
■ジナイア > 彼の驚愕の声にくすりと笑みこぼして、また首を傾げれば黒髪が零れ落ち、金の輪が耳元で揺れる。
「私は『ジナイア』だ。よろしく、キニス」
また、王都で。そう言って熟れた唇をうっそりと微笑ませる。黒毛の馬と彼が消えるまで見送ってまた、笑みを零す。
槍を握り直し、血の匂いのする方へと、踵を返す―――
ご案内:「ハテグの主戦場」からジナイアさんが去りました。
ご案内:「ハテグの主戦場」からキニスさんが去りました。
ご案内:「ハテグの主戦場(流血表現注意)」にエルディアさんが現れました。