2018/09/29 のログ
ご案内:「ハテグの主戦場」にレナーテさんが現れました。
レナーテ > 砦の一戦で意識を失い、気づけばベッドの上だった。
その夜の内に見舞いに来た組合長が異形の力を用い、呪いを調べた結果はなかなかに不味い事になっていた。
命懸けで放たれた魔眼の呪いは、魂に根深く食い込んでおり、取り除くには、少しずつ枝分かれして食い込んだ力を切り取っていく必要があるらしい。
呪いも、魔族へ対する精神のプロテクトが弱まる……平たく言えば絆されやすくなるという、致命的なもの。
暫くは砦から引き離されることとなり、今日は魔族の気配が無いであろう主戦場の後方で仕事につく。
散発的に襲いかかるシェンヤンの軍勢と、彼等が持ち込んだという人形達を駆逐すべく兵が集まる駐屯地だ。
そこらに立てられたテントは数多く、気休め程度の木製の柵が防壁代わりといったところか。
とはいえ、最前線から大分離れているのもあり、敵が攻め込んでくることはないだろう。
そんな中でこちらが熟す仕事は兵站と慰安。
砦のときと同じく、大掛かりな調理器具を持ち込んでは大量の暖かな食事を振る舞うのも勿論だが、慰安のほうが大きいかも知れない。

「死が近いと……催すとは聞きますが」

受付となったテントの中で、椅子に腰掛け、書類にペンを走らせながら呟く。
呆れたような表情で小さく溜息を零すのも、そこらかしこで響く甘ったるい嬌声のせいだ。
戦いで血に滾り、命尽きるスレスレを駆ける男達は普段以上に雄々しくなる。
それが周囲の村へ波及すれば、徴収といった名目で略奪や乱暴が行われる事になる。
――今は亡きに等しい退魔の軍が、当たり前に行ったことだ。
それを防ぎ、ガス抜きをすべく、集落でも娼婦の仕事につく少女達がここへ集められている。
だが、好き勝手犯していいとは言わず、乱暴はするなという制約は付きまとうが。
それでも、身なりも仕草も整った少女達は、男達に寄り添い甘ったるく交わりながら、精を求める囀りを耳元に囁く。
プロならではといった手法で強姦まがいな事はないが……まるで春先の盛った猫の群れに放り込まれた心地だ。

「……そろそろお風呂、準備しましょうか」

ペンを置くと、テントの外へと抜けていき、少し離れたところにある開けた場所へと向かう。
簡易的な仕切りが幾つか掛けられたそこには、大きな樽状の風呂釜が置かれていた。
組み立て式の背の低い櫓の上、そこに置かれた大きな樽からは動物の腸を使って作ったチューブが伸びている。
それを手に取ると、仕切りの中へと入っていき、樽へその先端を向けていく。
重力で流れ出る水で7割ほど満たしていくと、先端を摘んで水を関止める。
それをひたすらに繰り返すだけだが、こうして風呂の準備をしなければ、男達はドロドロに汗臭くなるし、少女達も精の匂いで塗りつぶされてしまう。
衛生も非常に良くないと、戦場に風呂を準備するのも拠点維持に必要な大切な要素だ。
まずは水を張り終えると、相棒たる大きなマシコを口笛で呼び出し水くみをお願いする。
一瞬、嫌な顔をしたように目を伏せていたが、渋々と殻になった貯水樽を両足で捕まえると、ゆっくりと空気を叩いて川へと向かっていった。

レナーテ > それが終わると今度は魔石を入れて熱し、湯に変えて…何処からか響く声に呼応して、その姿は離れていった。
ご案内:「ハテグの主戦場」からレナーテさんが去りました。