2017/11/09 のログ
ご案内:「ハテグの主戦場」にエレノアさんが現れました。
■エレノア > 如何に隣国との最前線といえど、四六時中戦闘状態にある訳ではない。
視界の悪い夜間等は見張りと警邏の兵を残し、殆どは野営地へと引っ込んでしまう。
王国の騎士や指揮権を持つ貴族達とは違い、高い地位を持たない傭兵達は各々の隊章旗を掲げたテントを設置し、其処で休養を取るのだ。
王冠を被った蜥蜴人が描かれた盾というデザインの隊章。
それこそが傭兵部隊『バスキア門の守人』の隊章である。
「ああ、心配はいらない。少し夜風に当たるだけだ。」
そんなテント群から一人離れたのは、部隊の隊長である女である。
今の今まで部隊の幹部達とカードゲームに興じていたのだ。
勿論、其処には酒もある。酔いが回り始めたところで、一度リセットしようという魂胆だ。
外に出てみれば、同じような目的なのだろうか、何人かの傭兵と擦れ違った。
様々な隊章旗を掲げたテント群からは楽し気な声や、はたまた商売女を連れ込んだか嬌声等も聞こえてくる。
■エレノア > はしゃぐ声はともかく、漏れ聞こえてくる女の矯正には、よくもまあやるもんだ、と軽く呆れを覚えた。
日中は陣の強化や補修、敵軍との小競り合いがあって疲れている筈なのに、だ。
男の性というものか。
そも、一つのテントは数人で使うものだ。そこから聞こえる女の声。
つまりまあ、そういう事なのだろう。
女である自身が商売女を買う事は先ずないし、自らの部下達にしても幹部連中は同じテントで過ごしている。
それ以外の部隊員に関しては……夜ぐらいは好きにさせてやる方針だ。
「さて、この辺で良いか。」
騒がしいテント群から少し離れた所、一本だけある太い幹を持つ木の根元に腰を下ろした。
続いて、ギャンベゾンを脱ぐ。
鎧から体を守る為の衣服だけあって、蒸れるのだ。
上半身だけでも肌着姿になれば、随分と涼しいものだった。
酒精も回っていれば尚更の事である。
■エレノア > 今夜は思いの外、カード勝負に熱が入り、ついつい酒も進んでしまった。
大勝とまではいかないものの、古くから付き合いのある5人の幹部達からはある程度の金額を巻き上げてやった。
これに今回の報酬を合わせれば僅かばかりの贅沢も出来ようものだ。
思わず笑みを浮かべた。
王都に戻ってから、たまには甘い焼菓子でも頬張ってみようか。
途中、神聖都市で軽く観光をしてみても良いかもしれない。
魔族に神聖都市とは、冗談も良いところではあるが。
遠出してダイラスで海産物に舌鼓を打つのも捨てがたい。
とにかく、金があれば娯楽が増えるのだ。
「うむ、考えれば考えるほどに、だな。」
金の使い道が多すぎて目移りしてしまう。
大半は食に対するものではある為か、少し小腹まで空いてくる始末だ。
しかし、野営地の食糧事情を考えれば無駄飯を食うわけにはいかない。
補給路が確立しているとはいえ、それなりに距離はあるのだから。
■エレノア > 食に関していえば、考えれば考える程に欲が出てくるものだ。
一旦思考を変える為に左右に頭を振った。
もっと、これからの事を考えよう。
明日になればまた、陣地の警邏や補強作業に追われるのだ。
順番的に、そろそろ敵軍との小競り合いに随行する可能性だってある。
娯楽の時間もあまり遅くならないうちにお開きにするよう、部下達に声をかけて回るのも良いかもしれない。
女を抱いていたら?その時は剣でも抜いて襲撃してやろう。
そして言ってやるのだ。さっさと寝ろ、バカ共め。と。
「まあ、後一戦ぐらいが良い頃合いか。」
カードの話だ。
体の火照りも殆ど冷めた頃だ。立ち上がれば、外套の様にギャンベゾンを羽織った。
己らのテントに戻り、部下達ともう少し酒を飲みながら娯楽に興じるとしよう。
うんと伸びをすれば、自身の隊章旗がはためくテントに向かって歩き始めた。
ご案内:「ハテグの主戦場」からエレノアさんが去りました。