2016/05/29 のログ
ご案内:「ハテグの主戦場 王国軍野営地」にフォーク・ルースさんが現れました。
■フォーク・ルース > 「そしたらよ、監査役がなんて言ったと思う?『これが本当に人間だったんですか?』だぜ!」
夜の王国軍陣地にて。
とぼけた口調で語る男の言葉に、兵士一同は湧いた。
男の背負袋には、風貌にふさわしくない豪華な貴金属がいっぱいに詰まっている。それを担ぐ腕はまだ、完璧に血を落としきれておらず、乾いた血の跡が残っていた。
「俺もちょいとやり過ぎたと思ったんだが、手加減ができる相手じゃなかったからな。でもよ、そいつが敵軍の副司令だったってんだから、俺ってラッキーボーイよのぉー!」
男は傭兵として、数日の間だけ戦に参加していた。
決して食い詰めたわけではなく、たまに戦場の匂いを嗅いでおかないと、傭兵としての勘が鈍くなるからだ。
戦場に出た男は、なるべく自分が殺した兵士をジョークのネタにする。
生来の性格もあるが、ネタにでもしてやらなければ、奪った命が無駄になるからだ。
本当の死は、誰の記憶からもその存在が消えた瞬間にやってくると男は考えている。
なのでジョークとして皆に触れ回り、誰かの記憶にその死が残れば、まだ本当に死んだわけではないのだ。
あと男はボーイと言うような年ではない。
「これだけ手柄を立てたらよ、もしかしたらオンナの捕虜を報奨として貰えるかもしれねえな。期待しちゃうな、俺」
男がよだれを拭うような素振りを見せると、兵士たちはまた楽しそうな笑い声を上げた。
昼間、敵の血と臓腑にまみれた男は、肉欲に飢えていた。
不思議と食欲はない。ただ女の肉にありつきたいだけだった。
戦場に女戦士や女騎士の姿は珍しくない。敵の捕虜だけでなく、不手際による懲罰として捕虜に貶される味方もいると聞いていた。
■フォーク・ルース > 「結局、報酬は貴金属品だけか……ま、しょうがあるめえ」
女捕虜はこちらまでには行き渡らなかったようである。そう都合よく物事がうまく進むわけはない。
男は貴金属品の詰まった背負袋を担ぎ、自分の寝床に戻ることにした。
「しかしやっぱり体が火照るな」
どうにも肉体の収まりが悪い。
男は貴金属の一部を金に換えて、近くの娼館へと向かったのである。
ご案内:「ハテグの主戦場 王国軍野営地」からフォーク・ルースさんが去りました。