2015/11/27 のログ
マリー > 「ああ、そんな事言ってたっけ。細かい操作は出来ないんだよね」

様々な操作を得意とするマリーとは、ある意味で真逆。
単純だが強力。それがルカの能力であるようだ。

「……でも、優しいんだね。しっかり弔ってあげるなんて。私なんて、殺したらそのまんまだったよ」

そこまでしてやる必要がない、と言うのもある。
街中なら処理するための連中が処理するし、そうでなければ放っておいて問題はない。
何より、そこまでしてやる義理がない。魔族と人は、敵対しているのだから。

ルカ > 「そだね。消したりとかも出来ないから、燃え移る危険があるときはさっきみたいに動かしてから燃やさないといけないし。」

たまに不便なんだよね、と少し笑う。
その巨大な刃を再び鋏の形へ戻し、背中へ担ぎ直す。

「……趣味みたいなものだよ。」
そう言って、その場にしゃがみこんで手を組み、軽い祈りを始めた。
これは、教義などで定められているものではない。ルカ個人の癖のようなものである。
目の前で魔族に親を殺され、その魔族が目の前で教団の人間たちに殺された。
人も魔族も、死ぬときは死ぬ。ならば、その命の重さに何の違いがあるのだろうか。
そんな経験が、彼女の『死ねば仏』という精神を育ててきたのだった。

マリー > 「ボクの雷撃も、距離が離れすぎると細かい制御できなくなるから気を付けないとね。ボクの方がサポート向けかな?」

言いながら、手を合わせるルカの横にしゃがみ込む。
祈りはしない。が、優しい目でルカの横顔を見る。

「……やっぱさ、ルカって優しいよ」

趣味なだけで怨敵を弔う者がいるものか。
多分、性根が本当に優しいんだろう。優しくて、強い。
……なんとなく、その姿に、母を重ねた。
優しくて、家事が出来て(ここは似てない!)、ふんわりしていた大事な母親。
今は、どうしているだろうか。生きているだろうか。

ルカ > 「そうなんだ。やっぱり万能能力っていうのもなかなか無いもんだね。
 どうせならもっと小回り効くような能力が欲しかったなぁ。」

祈りが終わったのか、すっと立ち上がる。
その顔は、先ほどの少し険しい顔ではなく、いつもの優しい顔に戻っていた。

「……そうかな?」

優しい、なんて。そんな事を言われたのはいつ以来か。
ふふっ、と軽く笑って、目の前のパートナーの顔を見つめる。
少し、家族を思い出した。
小さいころの記憶だから、曖昧なところもあるけれど…
優しい母親、豪快な父親、楽しい兄弟たち。優しい記憶が、少しだけ蘇った。

「…………。」
自然、その顔も優しくほころぶ。

マリー > 「どうだろ。ロザリア=Ⅳ=キルフリート……アイツの能力は、かなり万能に見えたよ」

少し表情を硬くする。
蝙蝠になっての回避能力や、根本的な不死性。そして金属魔術。全てが高次元で、隙が無い。
二度退治したマリーには、その強さは身にしみてわかっていた。

「だってほら、笑顔が優しいじゃん」

でも、ルカの顔を見てにかっと笑う。
眩しい笑顔だ。心が落ち着くような、そんな笑顔。
それにつられて、自分も笑ってしまう。不思議な人だ。

ルカ > 「ん、吸血姫…だっけ。たまに噂は聞くね。
 ……不当に人を傷付けるなら、許しちゃおけない相手だけどさ。」

そういうルカの顔にも、強い決意が宿っていた。
別に、ロザリアだけではない。この世に存在する、不当な暴力を無くしたい。
そんな夢物語が、ルカの原動力の一つだった。

「ふふ、ありがと。そういうマリーの笑顔も可愛いと思うけど。」
眩しい笑顔に、そんな軽口を返す。
しかし、軽口とはいえ虚言ではない。可愛いと思ったのは本心である。

マリー > 「一応、ボクの最大火力をぶつけてやったんだけどね……それでも生きてるんだから、大したもんだよ」

マリーの最大火力『天雷一鳴』。
自然発生する雷を誘導し、対象を打ち滅ぼすこの技をロザリアはその身に受けて、倒れはしたものの生きていた。
つまり……自然の猛威ですら殺しきれない不死性。それがロザリアの持つ一つの特性なのだ。

「じゃ、可愛い同士でおあいこ、なんてね?」

にへ、と笑う。
うん、なんだか心地よい。こういう雰囲気も、悪くない。
そこで、あ、と思い出す。

「……そーだ。ルカさ、能力応用して、熱を発生させ続けるって出来るかな?」

ルカ > 「んんー……雷の最大火力、ってことは熱もあるのかな。
 それでも焼き滅ぼせないってことは、火はあんまり役に立たないかもなぁ…」

雷の威力の大半は電熱。
それを耐えきられるとなると、単純な炎の熱程度では恐らく効かないだろう。
魔力特攻能力があるとはいえ、それほどの実力を持つ存在にめまぐるしい効果が有るかどうかは不安なところだった。

「…そだね。はは、なんかこう……マリーと居ると楽しいな。妹か何かみたいで。」

どちらかと言うと、ルカのほうが手のかかる妹なのだが、そこは多分自覚しているだろう。
多分。

「…ん、熱?やろうと思えばできるけど。どうして?キャンプファイヤーでもする?」

マリー > 「正直、必殺のつもりの技だったんだけどね……また、必要なら対策考えないと」

とは言え、結局単純火力で『天雷一鳴』を越える技を編み出せてはいないのだが。

「えー、ボクのお姉ちゃんのハードルは高いよ?寧ろルカの方が妹だよ」

わかっていて、敢えてそんな事を口にする。どちらかと言えば姉ぶるよりは、妹としている方が好みではあるのだが。
そして、キャンプファイアー、と言う言葉には首を横に振る。

「いやさ、ボクの切り札……『天雷一鳴』は、自然雷なんだ。
雲を発生させて、そこに電気を通して雷を発生させて、それを誘導する。それがボクの最大火力。
なんだけど、雲を作るのに必要な熱がネックで使い辛くてさ……ルカに、そこサポートして貰えないかな、って思って」

ルカ > 「いやいや、普通なら必殺どころか威力過多だと思うんだけど。向こうが規格外だっただけでしょ。」

いくら魔族とはいえ、雷の直撃に特化レジストも無しで耐えきれるような存在が雑兵レベルでゴロゴロ居るとは考えにくい。
というか、考えたくはなかった。

「うっ……そ、それを言われるとちょっと痛いかも。
 いやこう、一応年齢的には私のほうが上だし?ね?」
どっちにしろ、だらしない妹がだらしない姉になるだけの話だった。
むしろ後者のほうがダメっぷりに拍車がかかっている気もする。

「なるほど、自然雷を利用すれば小さな魔力で大きな力を生み出せるってわけね。なるほどなるほど。
 ……確かに、そういうことなら手っ取り早く火を起こせる私の能力はうってつけなわけだ。」

マリー > 「まあ、普通に考えれば必殺なんだけどね……アイツがホント規格外って言うか」

だが、その場のほぼ全員に『天雷一鳴』は通じていなかった。
完全に信頼のおける技とはいいがたいだろう。

「んー、じゃあそんなお姉ちゃんをボクがお世話してあげないとね」

にへっと笑いつつ、その後の言葉に笑みを深める。

「そーゆーこと。もしルカが雲を作ってくれるなら……ボクは、天雷一鳴で大体の敵を打ち倒せるはずだよ」

ルカ > 「となると、専用対策技でも考える?相手の能力によっても変わるだろうし。」
例えば、電気を地面に逃がせるような利用方法のある能力であれば、その威力は大きく落ちてしまうだろう。
その対策も、考えねばならない。

「……お願いしまーす。」

そう言って、苦笑いを浮かべる。
恥ずかしいやら嬉しいやら情けないやら、どんな表情を作ればいいかよく分からなくなったらしい。

「んー……となると、水とかも必要になるか。
 他にも、周囲の気温とかで変わってくるだろうし……。」
ぶつぶつと考え込む。
しかし、すぐにその顔を上げて。

「……そうだ。一緒にご飯食べに行こうよ。
 その技についての話し合いもしたいし、なによりパートナーとして親睦を深めるいい機会でしょ?」

マリー > 「うん、色々考えてみてるんだけど、これって言うのがねー……」

どれも決定打に欠ける……と言うより、あの不死を突破できる気がしない。やはり、聖属性でも付与しないと駄目なのだろうか。

「んー、水もそうだし気温とか……正直、かなり限定的なんだよね。
……そだね、ごはん食べよっか。どーせだし、一緒の部屋に泊まる?」

お世話してあげないとだし、と笑いかける。
折角のパートナーだ。しっかり仲良くするに越したことはないだろう。

ルカ > 「うーん……退魔能力のある武器に帯電して、とか……?」
なかなか難しい。雷といえば、電気属性の最大出力である。
逆にいえば、それで仕留め切れないということは何かと複合しなければならないということ。

「ん、行こう行こう。おごるよ?小難しいことはきっちり栄養とってから、ね。
 ……あはは、それはいいかも。」

よろしくお願いね、パートナーさん?と笑い、ちょうどやってきた馬車に手を振る。
二人分の代金とチップを弾いて手渡し、馬車に一足先に乗り込んだ。

マリー > 「ああ、一応それは出来るね。ルカの鋏を帯電させるのも出来るよ」

紫電聖槍、と呼んでいる技だ。とは言え、武器が雷光に耐えられないと意味がないので、中々使いどころのない技だったが……ルカの鋏であれば、大丈夫だろう。

「わ、じゃあ御馳走になろっかな。よろしくね、ルカ」

笑顔で一緒に馬車に乗る。これからの時間が楽しみだ、気が急くけどそれもなんだか心地よい。
楽しいな、と、久々に心から感じていた。

ルカ > 「あ、出来るんだ。そりゃまた便利……。
 それならガントレットの素材をゴムか何かにしておかなきゃ。」
ルカの服、聖装デカローグには銀を織り込んである。
そのため、伝導率が高く、電気を地面に逃がしてしまいかねない。
その対策も必要であった。

「任せときなさいって。こういう時は目一杯贅沢しなくちゃね。」

フフン、と笑ってドアを閉める。
二人の談笑は、轍と蹄のリズムをBGMに、街に着くまで続いていた。

ご案内:「ハテグの主戦場」からルカさんが去りました。
ご案内:「ハテグの主戦場」からマリーさんが去りました。