2015/11/26 のログ
ご案内:「ハテグの主戦場」にマリーさんが現れました。
マリー > 「んー、っと!ついたついた!」

バウンティハンターであるマリーの今日の仕事は、この主戦場での援軍……いわば傭兵のようなものである。
割はいいし、最近休みがちだったこともあり、二つ返事で引き受けて、現場に到着したところだ。

「しっかしまあ、こっからどうしようかな……」

とは言え、今は特に戦闘状態ではないらしい。どうしたものか、と周囲をきょろきょろと見まわしている。

ご案内:「ハテグの主戦場」にルカさんが現れました。
ルカ > 「……ふい。」
ひょい、と馬車から降りて、去っていくその乗り物を見つめる女性。
彼女の名はルカ。魔を狩る者である。そんな彼女が、なぜこんな戦場にいるのかというと…
ティルヒア戦役の国内の混乱に乗じて、魔物が各地の食料庫などを襲うという事件が、ちょこちょこと起こっているからである。
その捜索のために、ここに来たのだが……

「…んー?あれ、どっかで見たような後ろ姿だな。」

マリー > きょろきょろ。
周囲を見渡していると、見た事のある顔があった。
特徴的な銀色のポニーテールに眼帯。あの姿は……

「あれ、ルカじゃん。なんでこんなとこいるの?」

手を振って駆け寄って行く。以前一緒に食事をした相手だ。魔を狩る彼女だし、何かの仕事だろうか?

ルカ > 「やっぱりマリーだ。そっちこそ何でこんな辺鄙なところにいるのさ?
 賞金首でも逃げ込んだの?」
おいーす、と気さくに手を上げて歩いてくる。
その服装は、以前出会った平民じみたあっさりとした格好ではない。
夜闇のように黒い服の所々には美しく銀に輝く装飾が施され、しかしガントレットやレガースは力強く各部を守っている。
ぱっと見、ものすごく高そうな服だ。

「私はちょいとお仕事があってさ。ここ最近、魔物による食料庫とかの襲撃が多くなってるらしくて。」

マリー > 「んー、別口かな。傭兵っぽい仕事。趣味じゃないんだけど、割が良かったもんでさ」

へへ、と笑う。と同時に、目敏く相手の装備に目を配る。
以前の平民じみた服装ではない……しっかりとした、高級そうな装備だ。
正直……自分の稼ぎではこれを買えるか怪しいかも、と思うくらいの代物である。

「で、そのお仕事、結構マジなヤツ?思いっきり着こんじゃってさ」

興味本位で、そーっと装備に手を伸ばしてみる。

ルカ > 「なるほどね、そういう仕事。……でも、戦闘が起こりそうな気配はあんまりない気もするけど。」
キョロキョロと辺りを見回す。見晴らしのいい草原に風が吹いているだけで、何かが出てきそうな気配はあまりない。
風に、銀のポニーテールと黒い服が揺れる。

「……ん?あぁいや、着込んでるっていうか…私の戦闘用装備、これしかないしさ。一張羅なんだ。」
ほい、とその手に服の端を渡す。
普通の布とは違うような、しかし革でもないような不思議な感触がする。

マリー > 「なんだよね。何もないと楽でいいんだけど、お金出るのかな……?」

うーん、と首を捻る。
依頼の内容は「主戦場で次発生する戦闘で傭兵として参加して欲しい」と言う物である。
そんなに戦力がマズいのか、とも思ったが……そう言うわけでもなさそうだ。

「ま、取り敢えずその場その場で考えるかな、っと。……その装備、正直いくらくらいする?ボクもいい装備欲しくてさ……参考価格、と言うかなんというか」

ちょっとセコい事を考えつつ、布を撫でる……なんだか不思議な肌触り。特殊な素材なんだろうか?

ルカ > 「戦ったっていう証拠が必要なんだろうけど……どうなんだろうね?
 それでお金がもらえるならいい仕事だけど、騙されないようにね?」

マリーは可愛いからどこかに売られたりされちゃうかもよ、と軽口を叩く。
そんなことをして二人で待っていても、戦闘どころか兎一匹すら出てこない。

「そうだね。どうにかなるさ、多分。……んー、値段……値段かぁ……
 ごめん、ちょっと分かんないや。これ、うちの教団で秘密裏に作った一品物だから非売品なんだ。
 ……えーと、アレとアレで…銀がこの量で……うん、小屋くらいなら買える値段になるかも。」

さらっととんでもない値段を口にしつつ、真剣に布を撫でているマリーを微笑ましく見守る。

マリー > 「んー、最悪小旅行で終わりかな、これ……って、何言ってるのさ!?ボクは別に可愛くなんてないよ!」

ちょっとびっくりしつつ、顔を赤くする。可愛い、だなんて言われたのは初めてだ。子供の頃はドジでおっちょこちょい、と言う評価ばっかりだったし、戦うようになってからは男勝りとばかり言われてきた。

「あ、成程ね。そう言うのなら確かにきっかりした値段は……え?こ、や……?」

眼を見開く。
マリーの持っているゴーグル、これも中々の高級品だが……精々クローゼット一つくらいのものだ。
全身装備と言う差があれど、小屋一つとなると文字通り、単品ごとの値段も桁が違う。
もしかして凄いもの触ってるんじゃないか、と若干手を震わせながら、熱心に武装に目を走らせる。

ルカ > 「はっはー、うろたえすぎでしょ。言われ慣れてない?」
むふふ、と下世話な笑顔を浮かべながらにまにま。
男勝りなのはよく分かるが、そういう人物がこんなふうにうろたえたり、小動物のように目を輝かせながら服や武器を見るのはギャップがあって可愛いものである。

「材料が純銀に聖人の灰、それと高級布だからねぇ。……どこからそんな金捻出してきたんだか、うちのジジイ共。
 対魔力能力に特化した装備でね、これで敵の魔術の中を突っ切って叩くっていうのが基本戦法なんだ。」

どうにも脳筋くさいことを言いつつ、熱心なその様子を優しく見守って。
こうして見ると、眼の色も髪の色も違えど、少し年の離れた姉妹のようにも見えた。

マリー > 「お姉ちゃんは美人だ美人だって言われてたけど、その分ボクはドジなマリー、だよ……赤毛だしさ」

むす、っとしつつ布をなでなで。赤毛のマリー。今では姉を探すために積極的に名乗っているが、昔はこの赤毛が嫌だった。
姉のような、綺麗な金髪に憧れたものだ。
金髪碧眼、シニカルだけど何でもできる立派な姉。それと引き換え、赤毛でドジ、失敗ばかりのマリー。
何度周囲に比較されたか、最早記憶も定かでもないが。

「わ、すっご……対魔力特化か、これがあればボクももっと前に出れるかな……?」


マリーの基本戦術は、手に雷光を集めて刺突する「鳴神」を軸に、ヒット&アウェイを行う物である。
故に接近時の防御力の低さがネックではあるのだが、これがあればもしかして?と思いつつも、手が出ないお値段であることは言うまでもない。
ぐぬぬ、と二重の意味で拗ねたように、じーっと鎧を見ながら布を撫でる。
ほしい。

ルカ > 「んー?赤毛は嫌い?私は好きだよ、綺麗でさ。
 それに、完璧な人なんて居ないって。ドジでも赤毛でも、マリーはマリー。でしょ?」
はははー、と笑い飛ばす。
ルカにも家族が居た。しかし、今は居ない。
旅の商人だった両親と兄は、道中で魔物の群れに襲われ、命を落とした。ルカもその時に陵辱を受け、浅くない傷を心に受けた。
会えるものなら会いたいと、何度も思ったものだ。似合わないな、と思いつつもそんな事を思い出す。

「……はは、流石にあげられないよ?
 あぁ、でも店で売ってるような装備なら買ってあげられるかも。そういうのを揃えてる店、知ってるんだ。
 今度連れてってあげるよ。」

そう言って、行きつけの骨董品店までの地図を書いて渡す。

読めたものではないほど、ものすごく汚い地図だった。

マリー > 「そーいってくれるのは嬉しいけどさぁ……。
後、ボクの知る限り、お姉ちゃんは完璧だったよ。何でもかんでもうまくこなしちゃうんだ、器用にさ。ボクの出来ないことだって全部出来たんだ」

照れたような拗ねたような、そんな顔をしながら姉の事を口にする。
その声は、誇らしげであり、寂しげでもあった。

「え?いいの……?仕事を手伝うくらいしかお返しできないよ?」

言いながら地図を受け取る。さて、どこかn

……

「御免ルカ、読めない」

読めたもんじゃなかった。

ルカ > 「へぇ、すごい人だったんだ。……あ、えーと……
 ………ちょっとマズイ事聞いちゃった?」

マリーの様子を見て、故人か、行方不明者だと思ったのだろう。
恐る恐る、怯えながら様子を見てみる。

「いいのいいの、知り合いがやってるお店だからさ。マリーにも紹介しておきたいと思って。
 きっとスーも喜ぶよ。」
ははー、とかるーく笑う。恐らくスーというのは、店員か店主の名前なのだろう。


「……えっ、嘘!?」

そう言って、自分で書いた地図をひったくって読んでみる。ひっくり返したり、傾けたり。

「うん、読めないね」
本人も読めなかった。

マリー > 「あ、いや……いいんだ。ボクの目的はさ、お姉ちゃんとママを探す事なんだ。だから、こうやってお姉ちゃんの事を話せば……決意が、強くなるから」

ぐ、と拳を握りしめ、しかし強い目でルカを見据える。
その目はルカを捉えているというより、どこかにいるはずの家族を捉えているようだった。

が。

「……流石に、自分では読めるの描こうよ」

その後のルカの姿を見て、気が抜けたように肩を落とす。
明るくていい人なんだけど、やっぱりここら辺がさつだなあ、などと言う失礼な感想を抱いていた。

ルカ > 「……そっか。家族か。
 ……おし、そういうことなら私も協力しようじゃないの。何が出来るってわけでもないけどさ。」

その鋭い決意を見つけ、なるほどと納得したように頷いて、そんな言葉を口にする。
家族を探す、というその姿に過去の自分を重ねたのかもしれない。

「……いやぁ、渡すまでは読めてたんだけどね。
 渡したら上下左右分からなくなっちゃって……あれぇ、おかしいなぁ」
そう言いつつ、ぐるぐると地図を回す。
あっちから見てこっちから見て、しかしどう頑張っても読めてはいないようだ。

マリー > 「……あんがと。よろしくね」

そっと手を差し出す。
家族を探す。そのマリーの至上命題に付き合ってくれる以上、彼女はパートナーと言っていい存在だ。
それを確かめる様に、握手をしようと。

「……で、ついでにボクの方は、ルカの生活力なんとかしてあげるよ」

そして……どうせだし、この人のだらしないところを、憧れの姉が自分にしてくれたように何とかしてあげよう、なんて思いながら。

ルカ > 「こっちこそよろしく。いい仕事仲間、兼パートナーってことで。」
その手を優しく握る。
その姿を見て、もしも自分の家族が生きていて、行方不明だったら自分も同じようなことをしていたかもしれないな、なんてことを考えて。
今更思っても詮なきことではあるが、それでも思わずにはいられなかった。

「……あぁ、そうなるのね。ぐぬぬ、注意する人が二人に増えた……」

今更直るのかなぁ、と似合わない弱気な言葉をつぶやきながら頭をぼりぼり。

マリー > 「どうせだし、ルカの仕事手伝おうか?ボクのはしばらく始まりそうにないしさ」

握られた手の感触を確かめながら口にする。
折角だし連携は深めておきたいし、パートナーになったのならば仲良くしたいものだ。
そのためにも、一緒に戦闘をこなすというのは手っ取り早いプランに思えた。

「ま、ダメダメな間はボクが面倒見たげるからさ。頑張ろうよ」

ドジっ子マリーだって、ある程度出来る様になったんだからさ。と明るく笑いかける。
なんだかんだ、自分だって出来たのだ。ルカだって出来る様になってもおかしくないさ。

ルカ > 「お、ほんと?そいつはありがたい。……って言っても、見当たらないねぇ……何も。」
ひゅう、と風が周囲を吹き抜ける。
やはり、何かが居そうな気配はない。……気配を消しているということも考えられるが。

「……うん、頑張る。……できるだけ頑張る。」
頑張らない奴の常套句だった。

マリー > 「見当たらないねぇ……テキトーなところでのんびりする?」

苦笑しながらそんな提案をする。
人はいても魔物はいそうにない、戦闘の始まる気配もない。
至って、平和だった。少なくとも表面上は。

「『貴女はいつもそう言うわ 明日はやるよ いつかはやるよ。やった試しが あるかしら?お口の前に手を動かして 頑張るべきは口じゃない 貴女の両手と その気持ち』」

誰かの真似をするように、普段のマリーとは違う口調で、普段のマリーらしからぬ、若干皮肉めいた言葉を口にする。

ルカ > 「……それ、お姉さんの受け売り?」
バツの悪そうな顔をして、頬を掻く。
マリーらしからぬ言葉は恐らく、昔のマリーが言われたことなのだろうと思いを巡らせる。

「そうしようかぁ……ん?」
がさり、と近くの草むらが動いた。
明らかに、普通の風の動きとは相反する動きを、ルカは見逃さなかった。

マリー > 「うん、お姉ちゃんってば変に韻を踏む癖があったんだ。で、とってもシニカル。でも、言ってることはキツいんだけど正論でさ、言い合いでも勝てたことがないんだ」

にへっと笑って、のんびりしようか……と、気を緩めようとした瞬間。

「……お邪魔虫、かな?」

ピリ、と体の表面に雷光を走らせる。
これでもバウンティハンターとして名を売ってきた、それこそ、あの吸血姫に一撃喰らわせたマリーだ。
草むらの動きに気付き、そして即座に電気の網を周囲に張る。
探知用の微弱な電波。それで正確な位置を探るつもりだ。

ルカ > 「はは、それは強い。私じゃ口で勝てなさそうだね。
 一度、直接会って話でもしてみたいところだよ。」
だから、早く見つけないとね、と口を動かした直後の事だった。

「みたいだね。それじゃ、お仕事しようか。」
背中の巨大な鋏を掴み、二つの刃に分離させる。
その美しく、しかし力強い刃は、太陽の光を鈍く反射している。
周囲の様子は、草で遮られてはいるが……ゴブリンほどの大きさの存在が、数体。その傍らには、電気をよく通す何かがある。
恐らく、略奪してきた貴金属の類だろう。

マリー > 「そうだね……じゃあ、早速だけどボクの能力を見せてあげる。『鳴神流し』!」

言うや否や、トン、と軽く爪先で地面を叩く。
そこを起点に、ゴブリンたちに向けて雷撃が地走りした。
ついでに、貴金属の類にも流しておく……掴んで逃げようとか、出来ない様に。

「動き止まると思うから、よろしくね?」

そう言って、ルカに笑いかけた。

ルカ > 「うわっと。」

ばりん、と地面に弾けるような音と光が走る。
その光は、地面を抉って近くの貴金属に流れ、その腕を伝って狼藉者の体を這い回る。

「……なるほど、凄いじゃないの。
 ……ルカ・マルテールの名において汝らの罪を滅す。安らかに。」

瞬間、ルカの姿がブレた。
視界の補足すら追い付かないほどの速度で、距離を縮める。
蹴り上げ、抉れた地面の土が再び地面に戻る頃には、既に狼藉者たちの首は、体と涙の生き別れをすることになっていた。

「願わくば、汝らを焼く炎に安らぎのあらんことを。」
その打ち上げられた首が、空中で青い炎を灯し、燃え尽きていく。

マリー > 「そう言うルカは……速いね。ボクも速度には自信がある方だったけど、追い切れないや」

素直な関心を込めて口にする。
雷速反射でも、そもそも知覚が間に合うか……それくらいの速度、急加速。
その速度に驚くと共に、その速度を持つ人がパートナーであることに心強さを覚える。

「……そっか、ルカは炎遣い、だっけ」

そして、燃えていく首を見て思い出す。
特殊体質になっている、とも言っていたような。

ルカ > 「身体能力には自信が……っと、マズイマズイ。」

得意気に自慢をしようとしたのをさっさと切り上げ、首の無くなったその体を空中に何個か蹴りあげる。
首が焼き切れているせいか、断面から血が出ることはない。

「悪いね、草に燃え移ったら大変だから……罰当たりだけど、上で燃やさせてもらうよ。」
そう言って、その体をまとめて叩き切る。
その体は更に強く大きく燃え上がり、地面に落ちる前に完全に燃え尽きて消滅した。

「使い、っていうか……操ったりは出来ないけどね。
 切ったら燃える。それだけ。」