2023/06/06 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にアスリーンさんが現れました。
■アスリーン > 広い神聖都市には教会や大聖堂、寺院といった宗教的建物が多く存在する。
通りを歩けば嫌でも人の目につく天使は普段は羽根をしまっているので、その服装や少女めいた顔立ちも含めて巨人族の血を引いた修道女のように見られることが多い。
天使が感じ取れる限りでは、この都市は色々な力が混在している。
敬虔な信者たちの祈りによって神聖さを感じる一方で、悪辣で醜悪な罪の気配を色濃く感じる。
光と闇が交じり合って、人であれ神であれ魔であれ、混沌としているこの地の空気は好ましいと感じるのではないかと考える。
何にせよ、天使は今日も人を愛し、幸福にする使命を果たすだけ。
行き交う人々の見上げる視線を感じながら、しかし視線を合わせるでもなく、何を囁くでもなく。
微かな良い香りを風に混ぜて、歩いた道ですれ違う人に気持ちのいい風を感じさせただけ。
────天使が行きついたのはとある寺院。
歴史的文化遺産の一つでもあるのか、観光名所として案内板がある。
そこの寺院からは地下へ続く秘された入口がある。と言っても、天使が入れる余地はない。大きすぎて。
「うぅん……地下からは、不幸なヒトの感情が伝わってくるのだけれど……」
流石に壊してしまうわけには、いかないのよねぇ…。
頬に手を当てて寺院の前に佇む巨女は、困ったような表情をしていた。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からアスリーンさんが去りました。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にラディエルさんが現れました。
■ラディエル > ―――――墓守小屋の扉を開ける手つきは、幾らか雑になっていた。
存外大きな音が響き、思わず首を竦ませたものの、幸い、見咎める眼は無い様子。
短く、鋭く息を吐いて、今度は慎重な手つきで扉を閉ざした。
いささか乱れていた僧衣の襟元を正しつつ、月明かりが照らす墓所をひとわたり眺め回し。
緩く握った右の拳を口許へ遣り、口端に出来たばかりの傷跡を手の甲で拭いながら、
心持ち、いつもよりも大股に向かう先は、廃墟同然の教会の建物。
開くべき扉も既に無い、雨曝しのがらんどうの中へ身を滑り込ませ、
ろくに光の届かぬ暗がりで、ようやく、肩から無用な力を抜いた。
「あー…… やっぱり、慣れないなぁ……」
呟く声が掠れているのは、先刻、少しばかり声を荒げた所為か。
臨時雇いと言えど、雇い主との揉め事は避けるべきなのだが、
どうにも、搾取する側の人間とは相性が、絶望的に悪い。
怒鳴り合いが相手から手を出されるに至ったところで、今夜は第三者の仲介が入った。
少し頭を冷やしたら、仕事に戻るつもりではあるが―――――、
「空気、悪いんだよな、あそこ。
人間なのは解ってるけど……アレな奴ばっかり、来るし」
この街に、祈る以外の目的で来る者など、皆そんなものか。
ふにふにと触れた拳を引いて、僅かに移った紅の色を、ちろ、と舐め取る。
『力』を使ったばかりの己の血は、いつも、微かに甘く感じられた。
■ラディエル > 「―――――――― さて、と」
暫しの後、暗がりで軽く頭を振って。
さて、と口に出してみることで、気分転換の最後の仕上げとした。
己がここに居るのは、あの薄汚い人間どもの為ではない。
奴らに搾取されている『彼女たち』の苦痛を、せめて、ひと時なりと緩和すること。
その為に、ここに居るのだ、と言い聞かせて、ようやく。
来た時よりも歩調は鈍く、表情はきっとほの暗い。
それでも戻るのは、―――――――――― の、為に。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からラディエルさんが去りました。