2022/11/03 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にネリさんが現れました。
■ネリ > 神聖都市に大小数ある中でも小さな教会のひとつ。
その日は礼拝に訪れる者の姿も無く、静まり返った礼拝堂に響くのは、一人分の微かな歌声。
「 ... ♪~ ... ♪ ♪ ... 」
この都市に身を置く者であれば恐らく耳馴染みのある、広く知られた聖歌のうちの一節。
他に人の気配の無い礼拝堂で背筋を伸ばし、伴奏も無く独り旋律を紡ぐ修道女の姿が其処にあった。
手許では件の聖歌の歌詞と楽譜の綴られた聖歌集の頁が開かれてはいたものの、其処へ視線を落とす事は無い。
修道女にとっては古くから馴染みのあるその旋律は、今となっては諳んじて歌う事の出来る聖歌のうちのひとつだった。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にヨアヒムさんが現れました。
■ヨアヒム > 「いや勿論、格の上下とか規模の大小という話はしておらぬ。御坊の説く神の愛、信徒の献身は疑いようもない。特に供儀の聖女、あの気高さ、尊さたるや……」
歌声のみが響く小さくも穏やかな教会に、いかにも柔和な中年男の声が入り込んだ。隣を歩く司祭へにこやかな笑みを向けつつ、両開きの扉へと歩を進める。
「つまり私が言いたいのは、御坊の仰る愛や威光を、もう少し分かりやすい形で恵まれぬ者たちにお示し頂きたいと……おや」
足を止めた中年王族が、独り聖歌を紡ぐ人物をその目に捉え、笑みを深める。
「これは、聖女様。お変わりありませんかな?」
■ネリ > 礼拝堂に響き渡る歌声はやがて、緩やかに歩みを止めるように終わりを告げる。
歌唱を終えた修道女は暫しその場に直立したまま、息を整えた後にこほん、とひとつ小さな咳払いを零して。
それから、手許の聖歌集の頁を捲り次の聖歌の歌詞と譜面を追おうとした矢先、
「 ............ 」
ふと、耳に届いた話し声にその動きを止める。
扉越しにくぐもったその声は、男性のものである事しか判断はつかなかったが、程無くして開かれた両開きの扉の向こう側に、笑みを深める男性の姿を認めると、修道女は深く頭を下げて見せた。
「 ... こんにちは ... カルネテル卿 ... はい、わたくしの方は、変わりなく ... 」
■ヨアヒム > 「それは何より。ところで今、お忙しくなければよいのですが……覚えていらっしゃるかと思いますが、あの問題は未だ調査中でしてな。もし聖女様さえ、差し支えなければ……」
中年王族が隣に立つ司祭を見つめる。しばらくした後、教会の主は男と、聖女を一瞥した後、視線を外した。その様子を目にして、満足げに頷いた。
「また場所を変えて、改めて色々とお訊ねしたい。……勿論、聖女様の存念次第ですが。如何ですかな?」
にじり寄りつつ語尾を持ち上げる。表面上は敬意を払っているが、男の立場を考えれば、これがただの頼みごと以上の圧力を持っているのは明らかだろう。
■ネリ > 「 ...... ッ ...... 」
挨拶を終えるや否や、目の前の男性から投げ掛けられた言葉に息を呑む。
彼の傍らに立つ教会の主が修道女の方を一瞥した後、静かに視線を外したのは―――つまりはそういう事なのだろう。
「 ...... かしこまりました ...... 」
穏やかな口調での問い掛けに反して、己にそれを断る権利など持ち合わせていない事を、この場に居る全員が知っていた。
故に、修道女はただ静かに彼の言葉に頷いては、その後に大人しく付き従うより他に無く―――
■ヨアヒム > 【移動します】
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からヨアヒムさんが去りました。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からネリさんが去りました。