2021/06/03 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート・宗教施設」にバティスタさんが現れました。
■バティスタ >
神聖都市の宗教施設の一つ
大きな長机を囲む、大きな部屋の一つに少女はいた
長机につく者達はみな法衣に身を包み、ノーシス主教の関係者であることがわかる
どの者も静かに席につき、少女の言葉に耳を傾けている──
「──と、いうわけで。
ここのところ"神の塩粒"の流通が滞っているようですので…
皆様、主神ヤルダバオートの神名の下、『布教』には努めて下さいますよう…」
"神の塩粒"
奇跡を歌うゾハル聖堂騎士団が主体となって流通を取り仕切る、高精製の麻薬である
敬虔で、従順な信徒を作り上げるのにも役立ち、聖堂騎士団の大きな収入減にもなっている
「…で、あれば。皆様への"供物"も恙無いというもの…宜しくお願いしますね──」
同時に、聖堂騎士団は此処神聖都市にとける娼婦の管理も一部行っていた
少女の、得も言えぬ"圧"に気圧されるように、それぞれが深く一礼をして席を立ち、その場を去ってゆく
やがてその場には少女だけが残され……
「──そんなに娼婦なんかを恵んで欲しいものかしら。
ふふ…肉欲に素直な聖職者なんて、本当にくだらない」
クス、クス…と
あどけない笑いが広い部屋に木霊する
ただただ愉快そうに、椅子にかける黒い聖女は嗤っていた
■バティスタ >
神聖都市だなんて名ばかり
腐敗の種があちこちに根付いたこの街は余りにも愉快な見世物である
ああやって、私欲のために信心を利用するような者達ばかりではなかろうが、
それでもまっとうな聖職者など一体どれほどいて、どれほど力を持っているのか
立ち上がり、大扉を開き部屋の外へと
華美な装飾品の並べられた、絨毯の敷かれた廊下
いかにこの宗教施設が金を巻き上げているかの象徴のような
そんな廊下へと歩みを進める
時折すれ違うシスターなどは、恭しく頭をさげ、少女へと祈りを捧げる
「(──フフ、何も知らないというのはそれだけで、本当に滑稽)」
無知は罪というが、まさにそうだと少女は思う
ただ何も知らないだけで、全ての行為が無駄と徒労に塗れたものになってしまう
そしてそれだけでなく…簡単に人の用意した道を疑いもせず歩んでしまう
「(──そういうお馬鹿がいるからこそ、私達がこの場所で遊べるのだけどね──♡)」
■バティスタ >
「シスター・マルグレーテ。
貴方のその祈りは神に届き…必ず世の救いとなるわ」
ぽぅ…。と少女の左手に紋様を象る青白い光が浮かぶ
リーディングの魔法によりシスターの名を看破
言葉をかけられたシスターは、名乗ってもいない名を言い当てられ、
聖痕を宿した黒い聖女への畏敬を更に深いものとする
──信心深い者を更に深みに嵌めるのは、余りにも容易い
にこりと笑ってシスターを見送って…口元に歪みな笑みを浮かべる
ああいった手合いでなくとも…
絶えない戦乱、貧富の差、政治の腐敗
不安は救いを求め、信者を生み出す
少しだけ、背中を押して…手を差し伸べてやればそれだけで、ころりと──
「──ん…♡ たーのしい♪」
■バティスタ >
「──やることもやったし、また王都のほうにでも遊びにいこうかしら…。
そうそう、九頭龍山脈の温泉にもまた浸かりたいし…──」
ふわりと法衣を翻し、
無邪気な黒の聖女は勝手気儘、足取り軽く宗教施設を後にするのだった
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート・宗教施設」からバティスタさんが去りました。