2021/05/06 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にフローレンスさんが現れました。
■フローレンス > 大叔父の命令で訪れた修道院で、お使い物の用事を済ませ、
是非にと勧められて一泊させて頂くことになった、その夜のこと。
就寝前に灯りを持ってきてくれたシスターが、ロザリオを落としていった。
明日の朝、誰かに言づけて返せば良かったのかもしれない、けれど、
珍しくすぐに後を追い駆けて渡そうと、積極性を発揮した結果。
彼女は驚くほど速足で、聖堂の裏手に回り込む。
そこにひっそりと、まるで隠すように設えられていた階段を下る、
彼女に声をかける勇気までは持てず、ただ必死に後を追って。
「え、………ここ………?」
薄暗い地下通路を進んだ先、重厚な扉を潜っていく彼女にやや遅れ、
そっと覗き込んでみた、その場所は。
礼拝堂がもうひとつあるのだと、最初は思った。
けれど、怪しい紫色の煙が立ち込めるその空間には、訳の分からない呪文めいたものが響き、
なにか、礼拝などよりずっと恐ろしい儀式が行われている、ような。
追い駆けてきた彼女の姿は、一際濃い煙の棚引く聖堂の中心部、
群がる人々の間に紛れてしまったようだ。
――――――逃げた方が良い、のだろうか。
声をかけられるような雰囲気では、とても、ない。
じり、と一歩、後ずさろうとして――――――かつん、と、高い踵が存外音を立てる。
びくりと身を竦ませ、反射的に目を瞑ってしまったが―――――。
■フローレンス > 響いていた詠唱の声が途切れ、ざわめきが彼方此方で。
今にも誰かの手が、此方へ伸びてきそうな気がして―――――――
靴の踵が折れたのも構わず、踵を返して走り出した。
後のことは考えられない、考えたくない。
ただ、一刻も早く、与えられた部屋のベッドへ飛び込んでしまおうと―――――――。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からフローレンスさんが去りました。