2020/06/12 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート 地下聖堂」にラディエルさんが現れました。
ラディエル > ―――また一人、修道衣姿の娘が聖堂の扉を押し開けて、冷たい石造りの細い通路へ飛び出してきた。
壁に凭れて佇んでいた己が腕を伸ばして抱き止めれば、もう抗う気力も無いのか、
震える華奢な身体は僅かに身動いだのみで、己の懐へ収まる。

「泣かないで、……そんなに、悲しむ事ではありません。
さあ、目を閉じて、―――ゆっくりと、息をなさい」

泣きじゃくる彼女の額へ、眦へ、そっと押し当てた唇から、先ずはほんの少しだけ。
其れから、彼女の涙を掬い舐めた舌先に、練り上げた『力』を纏わせ、送り込む。

たった今、何処ぞの薄汚れた男に奪われた純潔ごと、彼女の身体は癒されてゆく。
疲弊した精神までも癒すにはとても足りぬ、彼女は意識を失って腕の中に沈んだ。

――― 一拍、二拍、三拍。

もう直ぐ再び扉が開く、此度はきっと、此の聖堂を管理する『司祭』の手で。
癒されたばかりの乙女を抱き攫い、再び男の為だけの、身勝手な快楽の宴へ引き摺り込む為に。
そして己は当然の如く―――彼女を渡し、何事も無かったかの様に佇む姿勢に返るのだ。
胸糞悪い、とは百も承知だが、其れが今宵請け負った、己の仕事であったので。

ラディエル > 此度に限って、何故か『司祭』は現れない。
中に余程御執心の女でも居るのか、或いは何か不測の事態か。

暫く待っていたけれど、次第に腕が痺れてきた。
溜め息を吐いて、抱き込んでいた彼女の身体を俵担ぎに。
他の僧たちであれば、転がり込んできた獲物を喜び、
いそいそと自室へ引き摺り込むところかも知れないが。

己は取り敢えず、階段を上がった先の、本来の聖堂で一休みでもしようと―――――。

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート 地下聖堂」からラディエルさんが去りました。