2020/06/09 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にラディエルさんが現れました。
■ラディエル > 何度目かの死と蘇生の後、己はまた、神聖都市へ戻ってきていた。
幸い、と言うべきか否か、仕事は直ぐに見つかって――――其の夜。
見た目ばかりは少なくとも清楚な令嬢を、地下の施設へ送り届けた。
後は地下に居る男たちが朝まで楽しむだけのこと、己の仕事など無い筈だったが。
「―――は……?」
本来のつとめであるところの、祈り、に戻っていた己の許へ、地下から現れた男、曰く。
先刻送り届けたばかりの女が、もう動かなくなってしまった、などと。
「動かなく、とは…どういう意味ですか?」
単なる体力切れなのか、其れとも文字通り、全く動かないモノに成り果ててしまったのか。
後者だと答えが返ってくれば、己としては、呆れ顔で溜め息を吐くより無く。
「……流石に其れは、俺にはどうにも出来ませんよ。
玩具は生きていればこそ、修復の可能性もあるんですからね」
未だ未だ満足する気配の無い客たちに、新たな玩具を見つけねば、と焦る男を尻目に、
己は此れ以上、関わる気など無い、とばかり。
新しい女を調達してくるアテも無ければ、そもそも、其の気も無い。
嗚呼、と悪意たっぷりの笑顔を向けて。
「そんなに新しい女が御入用なら、貴方が魔術で女になっては如何です?
御持て成しなさりたいのなら、其の位の献身、朝飯前でしょうに」
■ラディエル > 勿論、其の提案が聞き入れられる筈など無いことは先刻承知。
目の前の男が女に姿を変えたとして―――容姿に相当の補正が掛からなければ、
食指の動く男は相当、特殊な性癖の持ち主に限られるだろう。
少なくとも、己が先刻送り届けた女の代わりになるとは思えない。
然し、目の前の男がふと此方を見つめて、何事か呟きかけたものだから。
己は直ぐ様、畳み掛ける様に声を張る。
「仕方無いですね、……其の辺で、新しい女を見繕って来ましょう。
其の代わり、今度は壊さない範囲で楽しんで下さいよ?」
今にも、己に降り掛かりそうだった火の粉を強引に払い落とし、
己は素早く聖堂を出て行く。
既に街をふらつく女の居る時間帯とは思えないから、何処かの修道院へ向かおうか。
兎も角も一人、代わりの女を調達して戻って来よう、と――――――。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からラディエルさんが去りました。