2020/04/21 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にビデラ・フォーランハルトさんが現れました。
ビデラ・フォーランハルト > 「はい。確実に荷物は娘さんに届きました。
とても喜んでいましたよ」

ゾハル聖堂騎士団が管理する聖堂の中。
ノーシス主教の神像の前で…老婆に優しく語り掛ける青年の姿があった。

『おお、そうですか…すっかり足を悪くしてしまって…
顔を視れない代わりにせめて贈り物でも、と…。村は遠く、ご苦労されたことでしょう』

老婆は、青年の言葉を聞いて安心したように胸をなでおろす。
今回、彼の所属する従士隊が請け負ったのはとある村へ向かう荷馬車の護衛。
本来は冒険者に頼むことが多い案件だが、比較的安価であり、更に宗教が根付いているこの街だからこそ…聖堂騎士団にもよく依頼が来る
その依頼料代わりの寄進を老婆から受け取って。

「敬虔な信徒である貴女のご息女が生まれた日を祝うことは当然です。
…お手伝いができるのであれば、それこそ我ら聖堂騎士団の望みです」

杖を突いていなければ歩くこともままならない老婆にも丁寧にお辞儀をし。
緩やかに微笑みながら、満足げに去っていく老婆を見送る。

「…さて。少しずつ街の外にも塩粒は広められていますね。
聖女と我等が主の御名をもっと多くの者に知ってもらわねば…」

嘲るでもなく、ただ当然のようにそう呟く。
荷物は、確かにその娘に届いた。
けれどその中には…騎士団の名と服用方法と共に『神の塩粒』が入っており。
名を売り始めた騎士団からの贈り物なら…この街の周辺の村人なら疑うことも無く摂取するだろう。
そして、また資金源が出来上がる。

(そうなれば、聖女も主もお喜びになるだろう…)

そんなことを考えながら、ゆったりと聖堂に佇み。
次なる依頼か…あるいは懺悔、布教や悩み相談をしにくる者か。
聖堂の扉を潜る者を待っている。

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にゾーイさんが現れました。
ゾーイ > 『同志ビデラよ』

大聖堂の扉を開け放つ音が響く。
しかしそれは依頼でもなく一般の信徒でもなく、彼と同じ聖堂騎士団の一員であった。
その側には、縄で捕らえられた小柄な少女を引き連れて。

『曲者だ。嘆かわしい事に、この神聖なる都市において盗みを働いていたようだ。ミレー族の小娘だ』

どさ、と猫耳と尻尾の生えた少女が床に転がされる。
その目は鋭く騎士を睨み、憎悪と憤怒に冥く燃えていた。

『異端者を「悔悛」させることは貴殿の務めであったな。済まんが、後のことは頼めるか?』

聖堂騎士は、少女の眼差しなど歯牙にもかけずに男へと問う。

ビデラ・フォーランハルト > 静かな時間を、少し祈りに使っていたところに。
扉の開く音と共に、顔見知り…同じ神を奉ずる聖堂騎士が入ってくる。
事情を聞けば…転がされた少女は盗みを働いたとのこと。

「ええ、承りました。ただ我等が同胞。床は聖女様もそのおみ足で踏む場所。
無暗に罪人を転がすことは遠慮いただきたい」

柔らかく微笑みながら、少女を連れてきた騎士に意見をする。
信徒ならまだしも…床すら、神と聖女のものなのだ。
決して、盗人が体の大部分を安易に触れさせていいものではない。
怒りは見せないが、忠告のような言葉を言って。

少女を連れてきた騎士を見送ってから…少女の襟を掴んで無理矢理に引き起こそう。

「さて…まずは罪を告白してもらいましょうか。
ミレー族の少女。貴女は盗みを働いたのですね?」

誰しも、過ちはある。
それを告白することで赦しを得る懺悔と言うシステムがあるからこそ。
青年もすぐに、少女に対して直接的な暴力は振るわない。
神像の方を向かせ…優しげな、閉じられた瞳で少女を見つめ、言葉を引き出そう。

ゾーイ > 『む…これはしたり。聖女様、我が過ちをお許し下さい』

聖堂騎士は跪いて懺悔を行なった。
彼もまた、男と同じ類の人間であった。狂信者である。

『では、よろしく頼むぞ』

軋んだ音を立て、聖堂の扉が再び閉じられる。
襟を捕み、無理矢理引き起こされれば、少女は顔を顰めつつも鋭く男を睨み。

「ふん。見ての通り、ボクは食べるのにも困ってる身なんだ。
 優雅な生活を送ってぶくぶく太ったブルジョワから、少し分けて貰っただけだよ」

細身の少女はそっぽを向き、吐き捨てるようにそう告げる。
男の目には、あくまで反省の色なし、と映るだろうか。

ビデラ・フォーランハルト > そう、過ちは誰でも犯す。
同じ聖堂騎士でも、そして自分自身も、また。
けれど、反省しないというのなら、それは…重大な背信だ。
主の導きのままに、と答えた後…少女の様子を見て、ふむ、と少し声を漏らす。

「なるほど。貧困もまた我らが主の尊き試練です。
ただ……このゾハル聖堂騎士団は、定期的に食料を希望者に多少とはいえ配っています。
それを受け取るという選択肢もあったのでは?」

実際に唾を吐かないのなら、特に彼がすぐに怒ることはない。
反省の色が無くとも、それを引き出すのが彼の仕事だ。

彼の言葉は真実であり…この街だけではなく、王都の貧民地区にまで聖女自ら食料を配っていたことは知られていることだ。
それを知らなかったのか、と彼は思い。食料さえあれば…このミレーの少女も悔い改めるだろうと。
しかし、扱いが少し乱暴なあたり、ミレーに対する偏見は彼にもあるようだ。

ゾーイ > 「そうだね、『神の塩粒』なんていう毒と一緒に!」

少女は怒りを露わにして声を荒げる。
歯を剥き出しにした憤怒の表情は、正に威嚇する猫のようで。

「あんなもの、ただの依存性のある薬物じゃないか。
 何が神の祝福を受けた塩だ、何が貧困も尊き試練だ、この金の亡者め!」

一度目は無料、ないし何かにつけて『神の塩粒』を摂取させ、二度目からは金をせしめる。
言ってしまえば彼らは麻薬のディーラーであり、少女はそこに怒りを覚えているようだ。
しかし、聖堂の男達と麻薬を売り捌くものには、決定的な違いがあった。
罪を働いているという自覚の有無だ。

ビデラ・フォーランハルト > 「ほう………」

毒、という言葉を聞いた瞬間。
少女の表情を見ていた青年の瞳がすう、と開く。
中から現れるのは、冷たさを感じさせる青の瞳。
その視線から…優しげな雰囲気は一瞬で霧散。
少女を視線で射殺しそうなほどの静かな、しかし強大な怒りを代わりに抱え。

「…我々は、神の御名において人々を救う義務があります。
塩粒はそれをよりよく広めるためのもの。決して、毒などではなく…金の亡者でもない」

声音もまた、子供が聴けば泣きだしそうなほど冷たく、重く。
少女に…彼の踏んではいけない箇所を踏んでしまったと伝えていこう。
麻薬であることは変わりなく、事実なのだが。
それを広める一助を担っているこの男に、罪悪感などはもちろん存在しない。
必要な事であり、それが心酔する神の助けとなるのなら、善悪など…考えるまでもなく『善』だ

「ああ……確かに同胞は優秀でした。このような不敬な盗人を捕えるとは。
……あなた…いや、お前は…私が悔悛させなければならない」

少女が口に出した塩粒が毒、という言葉は。
聖女が広めるようにと言っていた尊きモノを侮辱したことに他ならない。
それは、彼にとって許せるはずもないことで。

「それに、極悪な盗人がここで懺悔をできるはずもない」

そう言った彼は…怒りから自然に増した膂力で少女の襟首を掴んだままずんずん歩き出す。
例え少女が転ぼうとも引きずり、静止も聞かず。
連れていかれるのは…この聖堂の地下にある、とある部屋だ。

広さは王都平民地区の宿屋の一部屋ほど。
ただ…照明の火魔法石も最低限で、暗く。
よくよく見れば…壁には血痕が飛び散り、ありとあらゆる…痛み、あるいは快楽を与える器具がそろっており。

「ここならば最適でしょう。どうですか?頭を床に擦りつけ、先ほどの無礼を我らが神と聖女に懺悔するのなら…
私がまだ未届け人となりますが。」

一縷の…彼としては、この街に関わった者が聖堂騎士団を重んじないという可能性を否定したいがための、希望。
それを滲ませつつ、恐怖で必死に懺悔するのなら…軽い罰の後、赦しを与えるつもりでいた。

ゾーイ > 「あうっ!」

引き摺られ、拷問部屋と思しき場所に放り出されて。
周りの器具から、自分の受ける処遇を想像して。

「……はッ、あはははは、あははははははは!!」

少女は、嗤った。それは嘲りであり、罵りであり。
そして、呪いであった。

「そうやって、貧しい人から搾取しなければ成り立たない組織が神聖? 笑わせるな!
 何でこの世界がこんなにも不平等で、不公平かわかる?
 この苦難に満ちた世界は、ボクたちのための試練だから? 違うね!
 オマエの言う神やら聖女やらが無能だからだよ、このマヌケ!!」

一縷の希望を抱いた男に向けられた少女の言葉は、まさしく『呪詛』であった。
それは男にとって冒涜でしかなく、また、怒りの火に油を注ぐ行為となるだろう。

ビデラ・フォーランハルト > 「――――――ああ、神よ。
これも試練なのですね。…このままでは、この盗人は…聖女が興した騎士団にも害を為すかもしれない。
…それを排除することこそ、私の使命」

声を荒げることはしない。
ただ静かに…背信者に眼を向ける。

「―――…」

呪詛を吐いた少女をうつぶせにするように、脚を無造作に振り回して蹴りつけ、少女の背を踏みつける。
少女が向かされた方向には…神像が不気味なほど綺麗なまま置かれており。

「お前には、既に言葉は通じないことがわかった。獣は、獣らしく調教してやろう」

背負っていた投げ槍を、少女の腰を包むズボンを留めるベルトに向け。
ひゅん、と音を立てて槍を振るい、切断しよう。
そのまま穂先を引っ掛けるようにして少女の臀部を露にしようと。
まるで触れることすら汚らわしいと態度で表すように、ぞんざいに。

ビデラ・フォーランハルト > 【お部屋移動】
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からビデラ・フォーランハルトさんが去りました。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からゾーイさんが去りました。