2020/03/24 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にソーニャさんが現れました。
■ソーニャ > ――――鼻腔を擽る奇妙な香りに、ふと、覚醒を促された。
黒光りする石造りの四角い部屋、床に奔る妖しげな魔法陣。
部屋の四隅に設えられた香炉からは、薄紫の煙が立ち上っている。
揺らぐ燭の灯火だけでは良く見えないけれど、何やら悍ましげな器具の類が、
ずらりと揃えられているようでもある。
そして己は後ろ手に拘束され、魔法陣の中央に置かれた椅子に座らされていた。
「――――何よ、此処……どういう、こと」
――――嫌な予感しかしない。
端から力を封じられている身には、魔法陣も術式も無意味だと思うが、
あの香りはどうにも、――――嫌な感じだった。
自然、深く眉根を寄せてしまう。
■ソーニャ > そうこうするうち、意識が再び混濁してきた。
誰が、何故、どういう理由で、こんなことを。
――――――何もかも分からない儘、己はまた目を閉じる。
次に目覚める時、眼前に展開されるのは、果たして――――――。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からソーニャさんが去りました。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にビデラ・フォーランハルトさんが現れました。
■ビデラ・フォーランハルト > 「――――……」
今日もまた、従士階級の男が…神聖都市の一角、ゾハル聖堂騎士団内に設けられた神像に祈りを捧げている。
一切身じろぎせず、ぶつぶつと聖典を諳んじ。
主を讃えながらも…同士と聖女の安寧、そしてゾハル聖堂騎士団の行く末が明るいものであることを祈っており。
そのために、神の、聖女の御名において、自身に言い渡された仕事はそつなくこなしている自負はある。
薬を広め、民の不安を解消し、自身で街道の魔物を討伐し。
ただ、その程度では足りないと彼は常々思っている。
(まだ、祈りも、奉仕も、力も足りていない。
この程度では、主は私に啓示など与えようとも思わないだろう)
祈りを捧げながら、自らの不甲斐なさを恥じる。
もっと自分に信仰心があれば。
布教をよりよく進められるだろう。
もっと自分に誇示できる力があれば。
その力を持って、ノーシス主教の、ひいてはゾハル聖堂騎士団の威光を知らしめることができるだろう。
もっと自分が効率よく動ければ。
より神の御名において【塩粒】を広め、多くの人々に幸福をもたらすことができる。
「ああ、主よ。未だ私は矮小な身。
されど、この心、この命、身体…全てを主と聖女、同胞に捧げましょう…。
どうか、天よりその大いなる眼にて、見守りください………」
今は誰も居ない祈りの場に、ひたすらに祈りの声を響かせて。
敬虔な信徒は、祈りの姿勢によって体にかかってくる負担など感じないかのように。
頭を垂れ、片膝をつき、手を額に当てた祈りの姿勢を維持している。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にバティスタさんが現れました。
■バティスタ >
「今日もまた、祈りを捧げているのね」
青年の背後からかけられる、幼い少女の声
同時に石畳を踏み鳴らす甲冑の音が続く
黒い衣に身を包んだ、翠眼の少女
そしてその背後に控えるは武装した聖堂騎士達──
「きっとあなたの祈りはヤルダバオートに届くでしょう。
神はいついかなる時も貴方を見守っていますよ。ビデラ」
まるでお決まりのような台詞を吐く少女は柔らかな笑みを湛えている
■ビデラ・フォーランハルト > しばらくは、微動だにせず祈りを捧げていた彼だったが。
「――――――――ッ!!」
その祈りは、彼にとっては福音のような甲冑の音と、声によって中断される。
間違えようのない、その声。
ほんの一瞬だけ、従士階級の鎧の音をたてながら、体勢を変え、少女の方に振り向き。
全身全霊を持って即座に適切な距離まで近づき…神像に捧げていたのと同じ祈りの姿勢を取る。
「おぉ……我らが聖女、バティストゥータ=エセリアル=アヴァドーン…!
王都へと出向かれていたようですが、御身に大事が無い様子であり、このビデラ、救われる思いです
聖女がこの都市を離れてから、まるで月の光が消えたようでした」
顔など一瞬しか見えてないが、声だけで十分だ。
本来、階級の差がありすぎる相手に、声をかけられる感激に体を震わせながら…
世辞ではない本気の祈りの言葉を続ける
今目の前にいるのはゾハル聖堂騎士団のグランドマスター。
つまり、彼よりも遥かに神に近い存在。
聖痕をその身に宿した正に聖女。
「いやしかし、心配など無用でしたか。我等が聖女の行うことは全て神の加護が付いていることは間違いありませんから……」
自分などが心配するのは逆に不敬だったかと。
冷や汗をかきながら、見た目は幼げな相手に、頭を垂れ続けている。
■バティスタ >
「畏まらなくても構わないわ。階級の差はあれど我々はヤルダバオートの下では平等なのだから」
どこか浮世離れした雰囲気の少女
淡々と、小さな割にはよく通る声を青年へと向けて
「王都では貧しさに苦しむもの、腐敗した貴族の圧政に苦しむもの…。多くの神の助けが必要な人々がいたわ。…また近いうちに訪問しなければならないかしら」
口元に手をあて、思案を巡らせるように眼を細める
袖口から覗く、腕にも及ぶ刻印のような模様──
奇跡を起こすと呼ばれる聖痕、少女が聖女と呼ばれる所以でもある
■ビデラ・フォーランハルト > 「し、しかし…。……いえ、……。わかり、まし、た」
びくりと身体を震わせたものの。
他ならぬ聖女からの言葉では、従わないわけにもいかない。
それは彼にとって神に背くことに等しい。
非常に苦しい顔を一瞬浮かべたものの言葉が柔らかくなり。
「そうですか。かの都市はそれほど…。ヤルダバオートの中には我らの名前は浸透してきております。
確かに、次は王都にも布教していきたいものです。…その際は、上級騎士を供に?
雑事程度であればできますし、私も同行したく思いますが…」
祈りの姿勢も少しだけ解き、顔を上げながら尋ねる。
聖女と共にあれることは何よりの誉れ。
例え靴磨きなどだけでも、彼はするつもりだ。
■バティスタ >
「先程言った通り、階級の差など神の下でも些末な事。
貴方なら熱心に神の尊さを説いてくれそうだし、同行は許可するけれど」
口元にあてた手
その手の奥、見えない位置で少女の唇が笑みに歪む
「王都には私達をよく思っていない人もいるみたい。
私には大いなるヤルダバオートの加護があるから良いけれど…ビデラ、貴方は危険な目に遭うかもしれないわ」
■ビデラ・フォーランハルト > 「確かに、その通り……。」
神が居るなら、人間同士の些末な階級など気にしない。
そんな聖女の言葉は、すぅ、と彼の胸の内に入っていく。
信頼と、敬愛の目線を聖女に向けて。
「不敬な…。……何を言いますか。例え階級が関係なくとも。
私は貴女の輝きに心を照らされた者。危険など、貴女と共にあれば恐れることなどありません
ノーシスの教えを広め、聖女の助けとなるなら、この身は粉と散っても本望。
私の身の危険など考えず、ただついてこいと命令してくだされば、それでいいのです」
一瞬、王都に対して嫌悪を露にするも。
聖女の言葉には、と顔をあげて見上げながら心情を吐露していく。
■バティスタ > 「……そう」
小さな返答を返す少女
口元の手を退かしたその表情は淡としたものだったが
聖女を崇め、その身を捧げてしまう程までに心酔した青年
──堪らない、従順なる玩具
無表情を装うのも、なかなかに苦労する
「では貴方にも王都での布教活動などを手伝ってもらうわ。
それと、貧しい人々は王都の外れで苦しい生活をしているの。
此処ヤルダバオートから発つ時には十分な食べ物を用意して行きましょう」
そう言って、微笑む
重厚に塗り固められた聖女の仮面は、柔和で神秘的な雰囲気を演出し、そのドス黒い本性を覆い隠していた
■ビデラ・フォーランハルト > 聖女が笑みを浮かべていたのは、手で隠れ、彼には見えない。
ただ、その笑みが見えたとしても…彼は、聖女が笑ったことにまず喜びを見せる事は間違いない。
「…清貧が我らが教えなれど、人が飢え死ぬことは信徒を減らすことにもなる。
もちろんです。出発の時までに私の方で食料の買い付けを行っておきます。
塩粒も良く広まり、我等の教えを広めるための資金も集まってきておりますので」
微笑みに魅了されたように、は、と息を吐き。
雑事を担当することを申し出る。
むしろそれくらいはやらなければ、申し訳が立たない。
「ところで、本日は休息でしょうか。丁度部屋の清掃は終わっていますが…」
旅が終わった後だ。その体を休めに来たのだろうかと推測して、その小さな体を気遣う。
■バティスタ >
塩粒が良く広まっている
その言葉に微笑みを深める
神の塩粒、などと言えば聞こえの良い清めのアイテムにも聞こえようが、
その実は依存度が非常に強く、強力な多幸感を与える麻薬である
──信徒を増やすには、実に手っ取り早い
「そうね。王都への旅路はそれなりに疲れたわ。
数日は体を休めて、次に備えなければね」
聖堂騎士団にはそれなりに色々な仕事がある
その多くは上級騎士達が取り仕切るが…無論そうでないものもある
■ビデラ・フォーランハルト > 塩粒の効能は、彼も良く知っている。
けれど、それを忌避することはない。
何故なら塩粒を広めることも、自分に与えられた仕事の一つなのだから。
それは神の意志であると、彼も信じている。
「では、良い香りの香炉を焚きましょう。
何か手助けとなれることがあれば他にもさせていただきますが…?」
今この場には聖堂騎士たちも居るが。
助けることができるのならば自分が率先して行いたいと思っており。
■バティスタ >
身の回りの世話を任せる従者もいるけれど、今日は趣向を変えてみるのも悪くない
目の前の敬虔な信徒であり聖堂騎士団の一員でもある青年に、同僚以上の興味を惹かれた
この青年がどこまで自分に尽くすのか、どこまでその信仰を疑わずにいられるのか
少女の悪い癖が顔を覗かせる
「そう…それじゃ私の部屋に同行なさい。従者ビデラ」
くるりと踵を返せば、それに従うように周囲の重装騎士達もまた向きを変えて
「今宵は我々の信仰について語らいましょう」
■ビデラ・フォーランハルト > 「!!」
その言葉に、従士は歓喜の表情を見せる。
胸の内が爆発的に暖かくなり、喜びに満たされて。
「はい、是非。聖女バティスタ。我らの信仰を神に聞いていただきましょう」
ゆったりと立ち上がった後、少女に比べれば大きな体を折り曲げて礼を一つ。
重装騎士と共に、整えられた聖女の部屋へと向かおう。
途中、倉庫に寄り、特に香りのよい香炉を一つ持ち。
聖女の希望通りに造られた部屋へと向かっていく。
何を命令されても、絶対に応える。そんな思い…忠誠を、その身に抱いて。
部屋に着けばまず、柔らかな匂いの香炉を焚き、聖女が少しでも心休まるようにして。
■バティスタ >
そうして穏やかなる時間が過ぎ去った頃
"奉仕"の枠を超えた、密事が行われたのか、
少女の思惑通りに、青年の信仰が試されることになったのか
それとも……
──それもまた、神のみぞ知る…といったところだろうか
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からバティスタさんが去りました。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からビデラ・フォーランハルトさんが去りました。