2020/03/22 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にシンシャさんが現れました。
■シンシャ > 「では、いってまいります。院長先生。」
(「はい、気をつけていっておいで。近頃はこの辺りも物騒だからね。」
そんな優しい声に送り出され、あたたかな日差しの中修道院を後に歩いていく。
今日は近くの街に使いに出なければならない日。
ひとりでの買い物は16歳以上と決められており、最近ようやく1人で外出することができてとてもわくわくしていた。
心細くもあるけれど、24時間ほぼひとりになることはない生活をしているせいか
ひとりの時間はとても特別なものに感じていた。)
「さて、と…」
(大きな門をくぐり抜け、街へ向かう道を歩いていく。
此処らへんは様々な宗教がひしめき合っているだけに、すれ違う人も様々。
宗教は違えど隣人同士、挨拶をしたり言葉を交わすこともあり
院長先生の言う「物騒」がよくわからない。
みないい人ばかりだと思うんだけどな… などと思いつつ、
それでも足早に街へ向かっていく。)
■シンシャ > (門を抜けてしばらく歩くと、目的地である街の裏側へたどり着く。
幼い頃、裏側から入ると治安の悪いところに入ってしまうので
必ず遠回りして明るいところから入るように…とよく言われていた。
でももう、子供ではないし。
兄さんや姉さんたちは普通に裏から入っているし。)
「よい、しょっと… 昼間なら、大丈夫…だよ、ね」
(答えが返ってくるわけではないけど…
ちょっとした垣根を越えて街に入ると、まだ昼間というのに薄暗く
どことなく埃っぽい路地を通るようになっていた。
大丈夫、大丈夫。
おどおどしないように、正々堂々と、路地を進みはじめる)
■シンシャ > (路地を歩くと、昼から酒に浸る者や姦淫に耽る者が多く見られる。
宗教は違うようだけれど… いいことだ。
生き物の本能に忠実に、そして本能に従う姿を我らの主はとても喜んでいるはず。
それを禁ずる神もあるというのだから、よくわからない。
ああして欲望を貪る姿は生き物として美しいと教えられているから。)
「…あ、 あれかな? 薬草のお店…」
(しばらく歩いたろう、とっくに路地は抜けて賑わう街中に出てきていた。
無事に目的地へ辿り着けそうなことに安堵しつつ、足早に店へと向かっていった。)
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からシンシャさんが去りました。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にラディエルさんが現れました。
■ラディエル > 往来を行き交う者たちの姿を、眺める時間は好きだ。
今、己が背にしているのは、見るからに金に飽かせたつくりの聖堂であり、
番犬宜しく其の扉脇へ佇む己の前を行き来するのは、大雑把に分けると二種類の生き物しか居ないけれども。
其れでも、まあ、愉しめない事も無かった。
人間と、其れ以外。
唯の人間の振りをしている魔族や、迫害を恐れるミレーの者。
どんな格好をしていようと、己の眼には其れらが纏う【色】が視える。
彼らは皆、其々違う【色】を纏っているから――――
勿論、其れは単なる種族の【色】であり、
彼らの気質、性根の腐り具合までは判別不能であるが。
其方の方はむしろ、色など視ない方がずっと良く見えた。
例えば、今しがた聖堂を出て、己の前を通り過ぎ夜更けの街へ消えた、
取ってつけたように質素な外套姿の男は、実のところ腐り切った貴族であろう。
やけに血色が良かったのは、今まで聖堂内で爛れた饗宴に興じていたからであり、
彼が聖堂に入る際、連れてきていた娘は、未だ中に居る。
他の者に玩ばれているのか、其れとも此の街の闇に囚われてしまったのか。
――――どちらにしても、
「……俺には、関係無いけどね」
掠れ声で独り言ち、咥えた細い紙巻を足許に落とす。
靴底で踏み躙り、やけに甘ったるい燻香を唇から散らした。
■ラディエル > しかして、そろそろ飽きてくる頃合いではある。
そも、己が此処へ来たのは何処ぞの貴族のドラ息子と思しき若者から、
此の聖堂への道案内を頼まれたからである。
初めは一緒に愉しもうと誘われたが、流石に己は断った。
それでも、宿への道案内も頼みたいから待っていてくれだとか、
紙巻一束、押し付けられて引き受けたような形になったけれども。
「……雇われた訳でも無けりゃ、友達でも無いしな。
大体、もし朝までお愉しみコースだったら、朝まで此処に居ろってか」
其れでは到底、紙巻一束の対価では割に合わない。
今は真冬でも無く、己は暑さ寒さで身体を損なう事も無いけれど、
――――単純に、退屈だ。
溜め息の心算が、口を開けたら欠伸になってしまった。
何とか噛み殺してみたが、誰かに見られていたら大層格好悪い。
■ラディエル > 手慰みにもう一本、懐から取り出した紙巻を、しかし、咥える気にもなれず。
手の中で解きほぐしてしまった、バラバラの其れを打ち捨てたところで、
ふつりと何かが切れた。
ぐしゃ、とかつて紙巻であったものを踏み散らし、緩慢な歩調で歩き出す。
向かう先は何処か、――――此処より少しばかり、退屈の紛れる所であれば良いが。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からラディエルさんが去りました。