2019/11/08 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にクレス・ローベルクさんが現れました。
クレス・ローベルク > 夜、共同墓地にアンデッドが出るから、どうにかしてほしい。
そんな依頼を請け、男は街の中心から外れた所にある、共同墓地を『掃除』していた。
共同墓地の石碑の周りにいる、大勢のゾンビやスケルトンなどの下級不死者を、

「よいしょぉ!」

聖水の入った瓶を投げつけ強引に浄化しているのだから、掃除と言って差し支えなかろう。
勿論、こんなのは彼らが低級も低級、成りそこないの様な物でしかないからこそ可能な手口だが。
しかし、実際有効ではあった――聖水に少しでも触れれば溶け落ちる彼らを相手にするには。

「ねないこだーれだっ!おまえかーっ!」

しかし、男の方も深夜テンション入っているのか、或いはこの一方的な虐殺に高揚を覚えているのか、夜だというのに騒がしい。
街の外れとはいえ、もしかしたら、誰かの耳にこの声が届くかもしれず。

クレス・ローベルク > ――それから暫くして。共同墓地には、動くものはなくなった。
溶け落ちた肉も、聖水に浸るうちに浄化され、後には何もなかったかのように、石碑だけが残された。

「いやー、奇麗になった、奇麗になった」

石碑に近づいていく男。
先程は何処かに置いてあったのだろう、手には聖水の代わりに花が一輪握られていた。
男はそれを、献花台にぽいと投げる様に置いて、

「……あー、うん、何だな。死人ってヤツに話しかけるのは、どうも照れるもんがあるな」

と呟く。
男が、此処に来たのは依頼の為だけではない。
嘗て同僚だった、剣闘士を参る為でもあった。
剣闘士は基本的に、殺戮は禁止だが――それでも、事故で死ぬ剣闘士は、或いは、試合の最中病気で死ぬものは居るのだ。

「そもそも、そこまで親しかった訳でもないのに、死んでから来るなって話なんだよな。うん」

と言いつつも、男はそこから動こうとはしない。
どころか、献花台に背を預け、何やら物思いにふける様に空を仰いでいる。
親しいわけでもない、何かの由縁があった訳でもない、ただ同じ仕事をしていただけの間柄。
ただ、時に剣を合わせ、時にお互いの剣を観客席で見ただけの。
それでも、何かを感じる事はあった。
男が来た一番の――或いは、同率一位の理由は、つまりはそこから来ていた。

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にクレス・ローベルクさんが現れました。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にクレス・ローベルクさんが現れました。
クレス・ローベルク > ――そのまま、時は経ち――
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からクレス・ローベルクさんが去りました。