2019/08/10 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート 修道院」にセシリーさんが現れました。
セシリー > 蒸し暑い昼の残滓を僅かばかり残す、生温い空気が纏わりつく夜。
もう幾度見たか知れぬ悪夢に怯え、堪らずに自室を飛び出して来た、
ひとりの『修道女』が、救いを求めて院長の姿を探していた。

此の時刻ならばてっきり、私室に居られるものと思っていたのに、
其処に目当ての人物の姿は無かった。
けれど、ちょうど通りがかった先輩修道女に、院長なら先刻、
礼拝堂の方へ行ったようだ、と聞かされて―――幾許かの躊躇いと共に、
手燭をひとつ携え、深夜の礼拝堂を訪れる。

慣れ親しんだ場であれば、本当は己に、灯りなど不要。
揺れる淡い灯火は、訪ねて行く相手に、己の存在を知らせる為のもの。
軋む扉をゆっくりと押し開き、静まり返った堂内へ身を滑り込ませて―――

「院長、さま……こちらに、居られますか……?」

聞く者が居るかどうか、『見る』ことは叶わない。
声を投げかけた後は、応えの声を待ちつつ、気配に神経を研ぎ澄ませるのみ。

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート 修道院」にミシェリさんが現れました。
ミシェリ > 黒い霧に姿を変じて神聖都市の闇夜を渡る。貞淑、清らかさをよしとする少女が多いこの場所は、戯れる相手を探すのに適していた。おかげであちらこちらと目移りしつつ、もう少しだけ粘ろうと考えてやってきた修道院。誰も彼もが美味しそうだとほくそ笑む最中、礼拝堂にも一つの気配を感じ取る。まだ開きかけの蕾のような初々しさを嗅ぎ取ると、するりとそちらへ身を流す。

「……?」

さあ、どれだけ可愛らしい少女がいるのだろう、そうほくそ笑みながら礼拝堂の中にまで霧状の身体を滑り込ませたところで違和感を覚えた。そこに立っていたのは確かに可憐な存在。しかし少女ではなかった。自分が獲物を見誤った事に驚くと同時に、誤認するほどの甘やかさに心が躍る。早速とばかり、その小さな身体の背後にふわりと降り立つと、人の形に姿を戻し。声をかけるより先に、肩にそっと手を乗せた。

セシリー > 人の気配、を察知することには、かなり長けた方だと自認している。
けれど流石に、人では無いものの気配には―――

故に、彼女の白い手が己の肩へ触れるまで、背後に誰かが立ったことすら気づかなかった。
当然の帰結として、彼女に触れられた肩は、身体は、びくん、と大きく跳ねることになる。
色を失くして強張った顔で、弾かれたように背後を振り返り、

「ぃ、……院長、さま………?」

そうであって欲しい、もし、そうで無かったら―――
おずおずと問いかける声はか細く、明らかな震えを孕んで。
対する応えは、果たして――――――。

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート 修道院」からミシェリさんが去りました。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート 修道院」からセシリーさんが去りました。