2018/12/23 のログ
ギュンター・ホーレルヴァッハ > 近隣の貴族から王国外の勢力にまで武器を売り捌き、対立させ、戦火を煽る。
王族という地位と本家からの豊富な資金供給も相まって、高額な利子で金を貸し付けた挙句、その金で武器を買わせるというマッチポンプが成立していた。

その恩恵を多分に受けているこの教会は、名前だけは立派な称号や名誉職をこれでもかと差し出してくれる。
そろそろ信仰する神を変えた方が良いのではないかと内心苦笑しながら、頭を下げる司祭から離れて礼拝堂の奥へと足を進める。

「……礼拝堂というよりも、これでは奴隷市場だな。いや、寧ろ其方が主なのだろうが」

地下街の教会は外観と礼拝堂だけ。その他の設備は最早娼館と見紛うばかりのものが揃っている。
礼拝堂の者達も、熱が入った者達は各々奥の個室へと消えていった。

「…此処を宿として使うのは、幾分気が引けるのだが…」

今夜は自分にも最上級の個室が準備されてはいたが、寝床として使うには幾分広すぎた。
怯えた様に此方を伺う修道女達を一瞥した後、思案気に溜息を吐き出して手に持ったグラスを空にした。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 程良く回り始めた酒精が、己の精神を僅かに昂らせる。
元々、酒を嗜むには些か年齢不足ということもあったが、直ぐに潰れてしまうほど弱くもないつもりだった。

にも関わらず、思考が烟る様に乱れるのは、若干の疲れがあるからだろうかと小さく溜息を吐き出す。

「…まあ、褥の共には困ることもあるまいが…」

修道女が一人個室へ消える度、どこからか新しい娘が連れられて来る。
そして、やってきた娘を舐る様に眺めて吟味する男達の粘ついた視線は、後ろから眺める此方からでも分かるほど。

これは儲かる訳だ、と納得しながら空のグラスを空いている机に置いてぼんやりとその様を眺めていた。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > そんな風にぼんやりとしていると、身形の良い男が声をかけてきた。
どうやら父親と縁ある高位の聖職者であるらしく、地上の教会で歓談しないかとのこと。

「ええ、構いませんよ。私も、此処で果たすべき用事は済みましたので」

此方を引き留めようとする教会の主に鷹揚に首を振ると、男と共に地上へと立ち去っていく。
目立ちすぎる様ならこの教会とも縁を切らねばなるまいな、等と思考を走らせながら――

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からギュンター・ホーレルヴァッハさんが去りました。