2018/07/23 のログ
アガサ > 記憶が巻き戻されようと、身体の傷が癒えようと、
無体を繰り返されればやはり、ある程度の違和感は付き纏う。
昨夜、己が身に起こった事を何ひとつ憶えていない以上、
其れ等は全て、ただ、原因不明の体調不良、としか思えないのだが。

「――――あ……シスター、……」

そうこうするうち、宛がわれた部屋に己が居ない事を心配してか、
昨日も世話になったシスターの一人が声を掛けてくる。

『捜しましたよ、シスターアガサ。
……まあ、どうなさったのです?お顔の色が……』

伸びてきた柔らかな手指が、ひやりとが己の頬をなぞる。
知らず、背筋に悪寒めいた震えが走るのを感じながら、辛うじて微笑を向けて。

「大丈夫です、シスター…セシリ、ア。
ただ、少しだけ……立ち眩み、が」

其れだけです、と続けるよりも早く、彼女のもう一方の手が、
己の携えた鞄をさっと攫ってしまった。

『其れはいけません、やはり、お帰りになるのは
明日になさった方が宜しいわ。
さあ、お部屋に参りましょう』

其の気遣いは勿論有難いのだが、けれども――――
何故か、心がずしりと重苦しくなる。
口の中に、正体の知れぬ苦味が広がるような―――――。

アガサ > けれどもどれだけ違和感に苛まれようと、
或いは頭の片隅で警鐘が鳴り響いていようと、
彼女の申し出を決然と拒むだけの根拠を持たない己は、
結局、彼女について歩き始めるより他に無く。

昨晩、眠ったと同じ寝台へ疲れ果てた身体を預け、
程無くして深い眠りに就いた己の、其の眠りが今宵こそは、
誰にも、何者にも妨げられずに済むものか。
―――――己には知る術も無く、ただ、夜は更け行くばかり。

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からアガサさんが去りました。