2018/07/22 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にアガサさんが現れました。
アガサ > 決して、己の信仰心が薄い訳では無い、筈だった。
けれど何故だかいつも、此の街を訪れる際にはひどく憂鬱な心持ちになり、
特に此度のようにひと晩、教会に附設された宿泊施設へ滞在した後には、
心ばかりか、身体にも変調を来たしてしまうのが常だった。

早めに床に就いて、ぐっすりと眠った筈なのに、何処も彼処も怠くてならず、
頭の奥には鈍い痛みがこびりついていて、額に触れれば心なしか熱い。

ふらつく身体を叱咤して、夕べの祈りまでを済ませたけれど、
既に外はとっぷりと日も暮れて―――――
此の教会の責任者たる神父からは、今宵も此処へ泊る許可を貰っているが、
出来る事なら今日は我が家たる修道院へ帰り、慣れ親しんだ寝床で休みたかった。

傍らに小さな鞄を携え、帰る前にもう一度、と祈りを捧げた後。
跪いた姿勢から立ち上がろうとした途端、くらりと眩暈が襲い来る。
咄嗟に祭壇へ手をついて昏倒だけは免れたが――――

「…どう、しましょう…。
あの子たち、きっと、心細い思いをしている筈、ですのに…」

己の不調だけが理由では無い。
孤児院に預かっている、幼気な子供たちの事も、ある。
彼らの為にも、早く帰ってやりたい、と思っているのに、と、
俯いた唇から細く、物憂げな吐息を零した。