2018/07/07 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート エマヌエル教会」にリータさんが現れました。
リータ > 窓から降り注ぐ日差しがまだ柔らかな、午前。
エマヌエル教会の扉は開いており、祈りを捧げる者、懺悔する者、
信心深くもないが顔を見せに来る者、さまざまな来訪者を迎えていた。

過日、純潔を奪われるには至らなかったものの暴漢に襲われた生神女は、ようやく精神が安定してきた頃であった。
正確には信徒の前では即座に落ち着きを見せたが、まだ年若く、
無知で無垢な少女には不運な経験として噛み砕くだけの力がなく、動揺を隠しているだけ。
食欲が落ちた所為か、体調も優れない。

「………あっ。」

扉を抜け、外に出た途端ぐるりと視界が回り、目眩を起こした少女は
教会と併設された石造りの建物の間に入り、壁に手をつく。
ずっと日陰になっていたそこは、ひんやり冷たかった。

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート エマヌエル教会」にルシアンさんが現れました。
ルシアン > 元々、孤児院と教会には浅からぬ関わりがあることが多い。
自身が世話になっている院。そこへの援助をされている、というつながり。
感謝の書状やこれからの事やら、そんな難しい事を話し合うのは責任ある上の立場の者。
お供、というよりほぼ荷物持ち。ついでに見物なんかも目的で、そんな一行に同行してきた青年である。

「…まあ、綺麗な所ではあるんだよね」

今一つこういう場所とは縁もなく、あまり信心深くもなく。
そんな身でも、興味と好奇心は抑えきれずにのんびりと散策を。
…ふと、物陰で何やら人の気配と音がした。

「……?もし…そこの人。大丈夫、か?」

建物の陰で体制を崩し、かべにてをつく姿。
どこか苦しそうにも見えたそれにゆっくり歩み寄り、許されるならしゃがみこんで様子をうかがおうと。

リータ > 息を整えていると聞き慣れない男性の声。
己に声をかけているのだと分かり、振り返ろうと――すれば、その視線は近くにあった。

「…はい。」

少女の表情には隠しきれない緊張が差し込む。
普段なら何てこともない場面で、自然に振る舞えただろうが、
気を抜いた時に男性がすぐ傍にいるという状況は、現在苦手とするところだった。

「少し日差しが強かったようです。ご心配をおかけし、申し訳御座いません。
 ――――観光の方ですか?」

姿勢を正し、少し下がって礼をすると改めて相手の姿を見る。
信徒の数は多くなく、ほとんど顔を知っているため信徒でないことはすぐに分かる。
信徒以外にも多く訪れる場所だが、相手の見た目はどことなく旅人の様に見えたらしい。

ルシアン > 「あまり、大丈夫には見えないけど…無理はしない方がいい。
 少しその辺で座ってると良い。あっちで水でも貰ってくるから、少し待ってて」

此方の声に反応があればまずは一安心。次いで相手の表情に浮かぶ緊張の色は、初対面であれば当たり前の事。
まだ年もいかないような少女に見える姿に、先ほど通ってきた近くに井戸があったと思い出し。
それだけ言い置けば返事も聞かず速足で歩きだし。少しの後、薄いカップに冷たい水を入れて持ってくる。

「これを飲むといい。そこで汲んできた。冷たいからゆっくりとね。
 観光…まあ、そんなところ。教会って言っても色々あるんだなぁとか…うちの近くのとは、ここはずいぶん違う。見てて楽しい」

はい、とカップを差し出して。さて受け取ってもらえるかどうか…別に変なものが入っていたりもしないのだけど。
観光、と聞かれればうなずきつつ。信者であれば、そんな興味本位のことばがどう思われるか、少し不安ではあるのだけど。