2017/10/28 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にアインさんが現れました。
■アイン > バフートからヤルダバオートまでの荷馬車の護衛など、特に問題もなく無事に終わる仕事の一つ。
ヤルダバオートの中央にある豪奢な聖堂へ、荷馬車に乗った少女たちを連れてきただけ、実際、今宵も特に問題もなく終わった。
ただ、一つだけ常と違ったのは、少女たちを引き渡したあと、妙齢の修道女が、今宵はこちらで、と引き留めたことだった。
聖堂に付随した大きな礼拝堂の入り口で、無事に少女たちを護衛してきたことの謝礼を受け取り、
立ち話のついでに、今夜の宿を決めていないと零しはしたが、ここで厄介になるつもりもなかったのだが。
だが、雨は降り続いているし、少なくともこの礼拝堂で一夜を過ごす程度ならば、神も許してくれるだろう。
………この街の、この聖なる場所の地下がどういう街であったとしても、ただ雨を凌ぐだけならば。
■アイン > 妙齢な修道女は、こちらへ連れてこられた少女たちの「支度」があると言って、彼女たちと共に礼拝堂を後にしたから、
結局言葉に甘えて礼拝堂の中、入口からまっすぐ正面に鎮座する神像まで歩みゆく。
窓を打ち付ける雨の音と己が歩むことで、礼拝堂の冷たい大理石の床を打つ靴音だけが響いている。
神像の前、木製の長椅子が並ぶその最前列へと歩みを進めてから、ゆっくりと腰を下ろすと、緊張をほぐすように息を吐いた。
先ほどの妙齢な修道女の言葉を、その言葉通り受け取るべきか、それとも真意を探るべきか、
長椅子の背に身体を預けて、思案の縁に立つ。
雨の音だけが響くだけの、静かな礼拝堂は、もの悲しく無機質で寒々しかった。
雨に濡れたわけではなかったが、ふるりと小さく身が震える。
「………?」
その時、どこからか悲鳴が聞こえた…―――ような気がした。
多分女性の声。僅かに反響したから、外ではないだろう。
だが、声がどこからか、を判断するには、悲鳴は短く、そして微かだったから、視線だけは周囲に馳せたものの、それだけに止まる。
■アイン > 少し意識を研ぎ澄まし、辺りの気配を伺うも、その悲鳴と思えた声は二度は聞こえず、ただ雨の音だけが聞こえるだけ。
ゆっくりと息を吐いて、少しばかりナーバスになった意識を解す。
とはいえ、この街も、名ほど安全な場所ではないのだろう。
特に、少女たちにとっては。
ふ、と息を吐くと腰を上げた。
その時、妙齢な修道女が再び姿を現したが、その姿とそして傍に立つ少女の姿に思わず息を詰め。
その少女に見覚えはあった。先ほどここへ護衛してきた少女の一人だった。
さあ、こちらへどうぞ。神の思し召しです。
静寂を破る妙齢な修道女の声は、静かであったが甘く濡れた声。
それが何を意味するか程度のことは理解に難くない。
息を一つ吐いて、歩を進め、そちらへと歩んでいくと、しなやかな腕が己の腕へと絡んできて、
そして、礼拝堂から奥へと続く扉の向こうへと引き入れて………―――。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からアインさんが去りました。