2017/02/20 のログ
■フロンス > 「……つまんない」
しばらくうろうろと寺院内を歩き回っていた少年は、見る者が見れば様々な見どころある歴史深い装飾などに興味を示せず、ぐったりとした態度で小さく零した。時折壁に飾ってある絵画の留め金を呪いで外して落としながら、それを見た信者や聖職者が悲鳴じみた声を上げている有様を素知らぬ顔で歩いていたものの、そんな悪戯にも飽きがやってきてしまっていた。
「うぁ~どうしよ……裏口とかないのかな?」
まだ「片割れ」との入れ替わりにはまだ時間があり、ここを出て行けば寺院の外に待たせている馬車の御者に見つかって不審に思われるためそれもできず。そんな事情で寺院で時間を潰さざるを得ない少年は演技しているわけでもないのに鬱屈とした表情を浮かべていた。そして、御者に見つからずに外に出られないかと考え付いて、再び周囲に目を向けながらとりあえず外側に向かうように歩き始める。
「こんなとこに毎日いて、よくわかんないことばっかやってて気が滅入らないのかな、あの人たち」
そうやって歩いている間にも、信者や聖職者たちと回廊ですれ違っていき、恰好から貴族の放蕩息子とでも思われたのか誰もがそそくさと去っていく様子に、少年はそれを振り返って見ながら独り言ちていく。
■フロンス > 「何にもなかった…はぁ」
ぐるぐると寺院内のあちこちを歩き回っても、少年の興味を引くようなものは見つからなかった。隠されたどこかに繋がるような隠し通路も、少年がただ散漫と歩いているだけで見つかるような代物ではなかったことだろう。結局、少年の帰りが遅いことを不審に思った御者を相手に、少年は演技の上塗りで取り繕う羽目になったのは、もう少し先の事であった。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からフロンスさんが去りました。