2016/07/15 のログ
アシュレイ > 「その方が賢明よね。 この辺りは流石に安くても泊まる気はしないわ。 どう? 驚いた?」
夜の闇の中を煌々と照らし出す火の塊に照らされた顔は、得意げと言った様子。

「そうよ、こう見えてそれなりには出来る魔術師なのよ。 ま、ミレー族ってのはだいたいこんなものらしいけどね。
それにお供がいると好き放題できないじゃない。 貴方も一度経験してみればいいわ。 窮屈で直ぐに飽きるだろうけどね。」
笑いながら肩を竦める。 人目があると出来ないことが多いのがこの娘であった。

「自分から向かって行ったの? 物好きね。 あいつらに恨みでもあったの?」
男の語る言葉を聴きながら、問い返す。 が、後半の言葉には口を閉じて聞き入っていた。
鋭い爪の先にも気が付くが、ミレーか何かなのだろうと思う程度であった。 何せ自分でミレー族なのだから。

「なるほどね。 そっちの方は考えてなかったわ。 貴方学者か何か?
聖堂の聖職者より面白いお話ね。 なら、私が実感できないのも分かる気がするわ。
私が信じているのは自分と家族位ですものね。 信仰していない人間には加護は来ない。 尤もな理由だわ。」
考えたこともなかったわけではないが、やはりそんなものかと納得する娘。
今後娘が神様について考えることは暫くないだろう。

「商会をやっていくにしても今の時代に力があって困ることは早々ないわ。
それこそ力があればここの屑も死なずに済んだかもしれないわよ。
ほんと、学者みたいね。 貴方、うちの商会で働いてみない?
たまに知識面で仕事をサポートするだけでもいいわよ。 尤も、毎月まとまった金額が欲しければ他の仕事もしてもらうかもしれないけど。」
素顔はわからないが、娘は学者然とした男の事が気に入った。 なので、早速スカウトに乗り出す。

ファルコ > 「ああ、驚いたな。長い詠唱を経ずに発現できたのも賞賛すべきところだ」

ほう、と感心したようにため息を吐いた。
実際、彼女が詠唱しているような素振りは見受けられなかった。ただ指を鳴らすだけでこの通りである。
ミレー族が魔術に素養の有る種族だということは理解しているが、こんな都市部で自由に出歩く者の中に、それほどの実力者を見かけるは珍しい。

「ま、まあ、周囲を気にせず思うがままにやれるという意味では一種の正論ではあるな。
身軽でありたい気持ちもわからぬでもないし。組織の頭をやるからには苦労のほどもお察しする。
ああ、吾輩なら過去に集団を率いたことはある。といっても兵役だがな、若い頃の話だ」

フードに包まれた首を上げ、遠くを見るようなしぐさをする。

「何、単なる盗品取引の類だ、物は確保済みだが目につくと邪魔だから、潰せるだけ潰しておきたくてな。個人的な恨みはない。

それにしても、学者に見えるか。確かに研究をしている身ではあるが」

ふむ、と考えを巡らせ、ややあって口を開く。

「せっかくだ、名乗っておこう。
吾輩はファルコ・レオニード。ファルコで構わない。
主に遺跡やダンジョン等で発見された物の鑑定士をしている。売価の見積もりもするし、価値ある遺物であればそのまま買取も行う。
そうだな、其方は商会だろうから、買取はともかく品々の目利きとしてなら役に立てるだろう。知識面での補助は、得意分野から徐々に、といったところか。
特に此方から給料の要望はない、まずは働きを見て、それから吾輩の“価値”を判断してくれたまえ」

そう、言うだけ言うと、相手の出方をうかがうように黙り込む。
正直なところ、そろそろ無所属にも限界が来たところではあったのだ、雇ってくれるというのなら、いい機会だろう。

アシュレイ > 「あら、しまったわ。 ちゃんと詠唱した方が可愛らしく見えたかしら。」
少しやりすぎたとばかりに、舌を覗かせて笑う娘。
今更年相応の仕草をしてみせる。

「へ~、貴方指揮官か何かをしてたのかしら。 これは良いわね。貴方みたいに賢くて経験のある人は貴重だわ。 これこそが神のご加護かもしれないわね。」
思いがけない出会いを引き寄せた幸運に喜びを示す娘。
両手を胸の前に合わせると、一瞬だが祈るような仕草を見せる。
祈る先は特に決めていなかったが。

「ふふ、貴方真面目なのね。 当局にでも就職した方が水にあうんじゃないかしら。
その口ぶりに仕草はどうみても学者に見えるわね。 今度講義でもしてみたらどうかしら?」
フードの男の反応を楽しみつつ、口を開けると視線を向けて。

「ファルコね。 一応私も名乗るけど、アシュレイよ。 宜しくね。 …鑑定士は貴重だわ。 貴方みたいに身を護る術がある人は更に貴重ね。そうね、とりあえず現時点を持って採用とさせてもらうわ。 報酬としては品にもよるけど1つ鑑定する度に400ゴルド以上は支払うわ。
最初はそんなとこかしら。 後は貴方の働き次第よ。 お金が欲しければ数をこなすか、他の仕事も手伝ってくれると嬉しいわね。
うちにはどんな仕事でもありますからね。」
相手がこちらのスカウトに乗ってくれると、娘は瞳を輝かせながら勤務条件を述べていく。
拡大を続けている娘の店には全ての仕事に置いて人手が足りていない。 専門知識を居る仕事は尚の事。
相手がこちらの提案に乗ってくれるならその場で採用を決めるし、多少の条件変更なら快く応じるだろう。

ファルコ > 「無詠唱で魔法を扱える術師こそ、一目で優秀だとわかる。わかりやすい方法だが、魔法を扱う者以外にはピンと来ぬ世界だろう」

つまりは、実力アッピルの方法としては良かったのだ、そう言いたげである。

「今はただの鑑定士だ、あまり無茶ぶりは勘弁してくれるとありがたいのだが。
できても調査団を率いるくらいだぞ?兵士を連れるなど、とても」

とはいえ、流石に初日からそうそう荒事を任されはしないだろうが。

「まさか。治安機構など二度とごめんだ、給金以上の労働を課せられるのではたまったものではない。
それに吾輩は好き好んで盗人を追い、潰すわけではない、菓子に集る蟻のごとく邪魔だから掃除しているだけだ。
そこらを勘違いしてもらっては困るのだ。
ああ、だがどこかで語るのもいいかもしれんな、本業の邪魔にならぬ程度であれば」

肩をすくめ、苦々しげに声を絞り出す。

「アシュレイ。その名は知っている。……が、今後は総帥、とでも呼べばいいだろうか。
これは、しばらくこき使われそうだな。実入りもよさそうだが。
……ではそのように。以後よろしく」

そういうと、右手を差し出す。
尚爪先は握手しても刺さらない。

アシュレイ > 「まあ、今は貴方以外誰も見ていないようだし、気にすることもないわね。」
煌々と輝く火の玉をみやりつつ、口元を弛ませる。
褒められるとやはり嬉しかったようだ。

「私も荒事のお供をさせたりはしないわよ。
ただ、私の趣味には深入りしないでね。 こう見えて私もゲスな趣味しているから。」
口元に手をやりながら、ほくそ笑む。 とはいえ、共に行動する以上嫌でも見聞きするかもしれないが。

「そうなの。 何か嫌なことがあったのね。 まあ、うちは何かあったら治安機構に協力してもらう側だから気にしなくていいわ。一応、王城にもツテはあるの。 
あら、ごめんなさい。 これからもっと貴方のことを理解していくわ。 そうね、授業の内容によっては授業料もお支払するわ。 ただし、仕事に関する内容に限らせて頂きますけど。」
苦虫をかみつぶすような声色に、咄嗟に謝る娘。 これから彼の事をより知っていく必要があるだろう。

「呼び名は貴方に任せるわ。 総帥でもアシュレイでも好きな方で読んで頂戴。
そうよ、うちは人使いが荒いわ。 その分の支払いはちゃんとしますけど。
宜しくね、早速だけど出来るだけ早急に王都に来てね。 後は…。」
差し出された手を両手で固く掴む娘。
そのまま仕事内容などの詳細を伝えていく。

その後、それぞれの宿へと向かったことだろう。

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート/裏通り」からファルコさんが去りました。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート/裏通り」からアシュレイさんが去りました。