2015/10/22 のログ
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にソードさんが現れました。
ソード > いやー。いっそ清々しいボッタクリだったなー。

(神聖都市。聖なる力で満ちた、王国の宗教の中心地。
寺院や聖堂の立ち並ぶ街の中、中央付近にある広場に男はいた。
陽は既に傾き、神聖都市を茜色に染めていた。
そんな中、広場のベンチに腰掛けながら、両掌を後頭部に重ねるように置きながら男はボヤく。
先ほど見た、「聖別武器」や「神聖属性付与武器」等の武装の売価である。
目ん玉が飛び出るくらい、という表現で差し支えないと感じる程度には、高価であった。
純粋な武器としての質と比較すれば、ぼったくりとしか思えない。
お守り用にしかならなさそうな短剣でさえ、王都でグレートソードが買えそうな値段であった。)

……あれで売れるってんだから、な。

(遠い目をしながら茜の空を見上げて、嘯く。
そう。自分がその価格にあきれていた横で、それをありがたそうに購入していく者達がいたのだ。
対魔物の数少ない対抗手段として買い求める者も多いのかも知れないが、それにしても、否、それだからこそぼったくりだと感じる。
ボロい商売だねぇ、と小さく零した。)

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」にマーガレットさんが現れました。
マーガレット > (茜色の空。そろそろ日差しが落ち始める頃合い。
私は神聖都市であるヤルダバードで、錬金術に必要な物を買い求めに来ていました。
この都市では、王都であるマグメールや港湾都市のダイラスなどに比べて商品の質は非常に良かった。
表向き、国の中での治安が最も良いということもあって、どれもこれも目を凝らしてみれば確かに、質の良い物ばかり。
……の筈なんですけど)

高いんですよねぇ、ここで買うと。ほんと足元見過ぎですよ。ボロい商売なんだから

(私はベンチでぼやいてました。人目を憚らず、思いっきり罵りました。
新鮮さや上質さという意味では王都などの物とは比較にならないだろう。
けれど、実際の処、錬成の際には質が上がるという程度で根本的には普段用いているもので変わりはない。
単純に自己満足、というか、今回に限りは趣味の範囲のものだった。
趣味というか、極秘というか、色々な事情があればこそなんですけど。)

……おや?

(そしてそのぼやきは偶然にも重なった。
隣から聞こえた似たような言葉を耳にして、翡翠色の瞳が不思議そうにちらりと、声の主へ振り向いた。先ほど隣りに座ってきた男性だ。
背丈こそ近いものの、がっしりとした精悍な身体つき。年はそう変わらないだろうか。
相手も何を思ってか似たような境遇なのかはしらないけれど、
今口にした言葉は紛れもなく似たような愚痴であった筈。
彼の鋼色の視線とぶつかるのなら、びくりと軽く肩を竦めて、物腰柔らかに柔和な笑顔を浮かべるでしょうか。)

ソード > うん?

(何か、自分に自分の声とは違う声がハモった。
視線を、茜空から声の方へ移す。
隣。
ばっちりと目線があった。
己がここに座った時から座っている女である。おー?と首を傾げてそちらを注視する。
何だか、眼があった瞬間に相手の肩が動いたような気がする。
まぁ、決して周囲を和ませる外見をしているとは言い難い訳で、そうした反応には慣れちゃあいる。そもそも、そんな事気にするような細かい神経の持ち主ではない。
故に、じろじろと。無遠慮に、笑顔を浮かべる彼女を見つめる事になる。
女の割には背が高め……否、この辺りは人種だの何だのによって違うから一概には言えない。ただ少なくとも、非常に痩せた女であるのは分かった。)

何だい。姉さんも、ボラれた口なのかい?

(とは言え重要なのは、先ほどの発言の方。
男は、からっと笑みを浮かべながら物怖じもなけりゃ遠慮もしない態度で、問いを投げた。
まぁ男に関しては、値段見て阿呆らしくなって買っていないので、ボラれたというにはちと弱いが。)

マーガレット > (彼のじろじろとした視線に続いた苦笑い。
ふわりとしたピンクブラウンの髪色。柔和に微笑んだ作り笑いを浮かべる顔はまだ若く、色白で、
痩せているというよりも凹凸が少しはっきりした体躯が、露出の少ない町娘のような衣装に収まっていた。
屈強そうな相手の体躯とは大違いだった。如何にも勇猛果敢な兵士と言わんばかりに引き締まった筋肉。
私なんて簡単に抑えつけられてしまうんでしょう。ただ、それに似合わず顔つきはやや幼いようにも見えた。
ただそれを覗いて全体的に男らしい。気さくに話しかけられてしまえば、ここは会話を合わせる他ないだろうと、帳尻合わせのように会話を合わせる。
まぁ、話しかけたというか最初に振り返ったのは、私の方ですし。)

いえ、まぁ。ボラれたというか、相変わらずだなぁといいますか
お兄さんも、そうなんです?

(少し人見知りのある反応。事実ぼったくられたことには代わりはない。
方から下げた鞄の中の薬草や、魔物の生き血、骨。その他諸々。
大金をはたいて買ったばかりである。ボッタクリとわかっていながら手を出さざる負えなかったこと、
そして何より初対面の相手にそんなことを話すのは、何処か気が引けた。
まるで自分がダメな人間みたいではないかと。
問に関しては、曖昧にはぐらかし相手へも問いを投げかけます。
その声は表情通りに柔和で、落ち着きのある澄み切った声で。)

ソード > ああ、ずっとあの調子の価格設定なのな。
あー、俺はあんまりこの街には来ねぇからな。いざ値札見て呆れてたトコだ。
話にゃ聞いちゃあいたんだがなぁ。

(あっはっは、と。下らない冗談でも笑い飛ばすような調子で男は答えた。
軽く両掌を開いて掲げて見せるのは、呆れを示すゼスチャーなのだろう。
こうして笑っていると、男の童顔は余計に子供じみたものになる。笑っている事が多いので、割と常に子供じみた印象の男でもある。
ただ、その体躯は彼女の見て感じる通りのものであるので随分とアンバランスだが。)

聖別された武装ってなァ、あんなに高いもんなのかね?
属性付与の魔法剣だの何だの、まぁ普通よりゃ高いなわかるけどね。ありゃやりすぎじゃあねぇか?

そーいやぁ、姉さんは何でボラれたんだい?

(先ほどの店、それも宗教団体直営の対魔武装専門店の事を思い出しながら、男は目を細めてため息をついた。これで質がべらぼうにいならわかるのだが、と。
そこで、ふと思い出したように問いを重ねる。
相手が微妙にはぐらかしている部分も、そのやや人見知りのある態度も、何のお構いもなしにさらっと男は踏み込んだ。
柔和で落ち着いた態度である相手とは対照的な、大きく快活な態度と声だ。
ただ、敵意とか害意とか、あるいは悪意であるとか。威圧感、覇気のようなものも別段垂れ流していない。ごくごく自然体、といった風情である。
そういう処も、何というか、子供じみていると言えばじみている。
無論、相手がその態度に何を見るかはまた別問題なのだけれども。)

マーガレット > まぁ、そこは仕方がないですよ。
治安を維持するために物価が高騰することは往々ですし、ここはノーシス主教、その他諸々を信教している人達にとっては温床みたいなところですからね
当人達もそれで満足しているようですし、何より安全をお金で買っているようなものですからね

(普段は男性相手なら、もう少しかしこまった話し方をするだろうし、初対面なら尚更。
然し気さくに話しかける、幼さを残した屈強な相手というどうにもアンバランスさを感じさせるのが、逆に気を楽にした。
思ったよりも感情表現が豊かな態度に、ついクスッと笑ってしまう。
もともとこの都市は、彼のような兵士というのは余り似つかわしいところではないのだろう。
勿論、出会ったばかりなのであくまで想像の範囲ではあるが、その身振りや身体つきから推測すれば、自ずと相手は百戦錬磨の強者というやつなのだろう。
そういう意味でも、この都市ともアンバランスさを感じて、やっぱり可笑しいなと、侮蔑でも嘲笑でもない笑みを浮かべた。)

あ、えーっと。いや…まぁ、色々ですね。調合とか、錬成に使ったりするために薬草とか、生き血とか、少々…。
私、マーガレット・フォードって言うんです。錬金術士なんですよ

(まるで土足で踏み込んでくるかのようなお構いの無さだった。
悪意のない所をみるときっと彼にとってはごく普通のありふれたところなのだろう。
自分とは確かに対照的だなと肌で感じて、軽く眉を顰めた苦笑いを浮かべて対応します。
男らしいんだか、子供じみてるんだか。
人見知りであるからこそ、他人の観察には十分気を使っている。
おそらく相手はきっと、こちらが敵意を向けなければ害のない相手だろうと察しがついた。
ただ、ちょっと疲れそうかも、と内心肩を落としながら、自らの正体を明かして、女の子らしくない血生臭い内容について、自分をフォローしておきました。)

ソード > 治安な。
とてもじゃねぇけど、維持されてるようにゃ見えねぇけどな。

(シニカルな言葉。しかしその声には、皮肉じみたものも、侮蔑じみた色もない。
それこそ子供が無邪気に事実を指摘するような。
ただ淡々と、思った事を口にしたようなものだった。
視線は、広場を囲む街並みに向けられている。
茜色に染まる神聖都市は、一見平和である。
しかし、男の眼はどこか遠くを見ているようでもあった。
ただやはりそこには、皮肉も侮蔑も憂いもない。
男は彼女に向き直った。向けられるのは、快活でどこか人懐っこい笑顔である。)

ほほう?
おお!レンキンジュツシ!いいねぇ、俺にぁ全ッ然わからん世界だ!
薬とか作れんだろう?他にはどんな事ができんだい?

(己の問いかけに対する答えそのものよりも、彼女がそこに付随させた自己紹介の方に男は強く食いついた。
身体を軽くそちらへ乗り出すようにして、眼を輝かせながら問いかけた。
やはりそうしていると、男らしさより子供っぽさが浮き彫りになる。
より正確には、雄の獣っぽいのかも知れない。
この男が女にとって、真実無害かは別として、少なくとも今は阿呆の獣に過ぎない。)

―――っと、おお、悪ぃ悪ぃ。
俺は、ソードだ。見ての通りのゴロツキの……まぁ冒険者だな。

(よろしく、と笑いながら、そこでようやく名乗りを返した。)

マーガレット > (目を輝かせる快活な笑顔は最早人懐っこい動物に似たものを感じました。
ただでさえ疲弊しているというのに、とんだ相手を捕まえてしまったものだという内心の後悔を直隠し、笑顔で取り繕う。
やや引き攣ってしまうのは相手の強引さに戸惑っているからで。
決して嫌だというわけではないのだけれど、そういう笑顔を向けられるとどうにも押し切られてしまうわけで。)

え、ええっと…他には物質を変化させたり、勿論変化すると言っても土からお金が作れるわけではないのですが。つまり等価交換…というわけでもないんですよね
時間とか、労力もかかりますし

(仕事の話になるとどうもぼやいてしまう癖がある。身を乗り出されれば若干後退するものの、ベンチという狭さから、あっという間に捕まってしまう。
彼の影になりながら、たじたじと身じろぎしつつ、屈強な相手を押し返すほどの強引さも、腕力も持ち合わせていない。
とどのつまり、いつもの様に流されてしまっていた。)

ど、どうも。ソードさん。
なるほど、冒険者、でしたか。通りで逞しいことで
ーーあの、よかったらそろそろ。
(どいていただけますでしょうか、というのは憚られたので、柔らかな口調でそっと伝えてみる。
言葉のとおり彼の逞しさに、自分が彼の影になってしまっている状況。
無害に見えるからこそ、気を緩めて、いて。
そしてこれだけの距離が近いからこそ、石鹸の優しい匂いが、相手の鼻孔を擽ってしまうでしょうか。)

ソード > よくわかんねぇな。
水が氷になるようなもんか?……だけど、それは錬金術じゃなくてもいいよな。

(相手の説明を聞けば、うん?と首を傾げて。
眉根に皺を寄せる。
男なりに、彼女の話を理解しようとしたらしい。興味を持った事柄には、意識と思考を割くという性質なのだろう。
と、そこで身を乗り出していたものの、己の名乗りを受けてからの彼女の言葉には、うん?と首を傾げる。
そろそろ。
そろそろ何だろう?
しばらく無言で首を傾げていたが、ああ、と思い至ったようにうなずいて、少し彼女から上体を離した。)

はっはっはっ、いや、悪いな。
まぁ別にとって喰いやぁしねぇから、そんなにビビらんで下せーな。

(ちっとも悪いとは思っていなさそうだが。
声を挙げて笑いながらそんな言葉を返して、背もたれに背を預け直した。
それでも、最初よりは距離が近い。
男は改めて彼女を見る。)

で、もっと教えてくれよ。錬金術。
マーガレットにも得意とか不得意とかあんだろう?

(興味津々、と。眼が相手にそう告げていた。
鼻孔を擽る優しい香りは、女性特有の柔らかな香りとして男の奥に眠っているものを疼かせるものの、どうやら今は彼女の仕事に対する好奇心と興味がそれを上回っているようで。
実際、これにつかまって辟易とさせられた者は過去少なくない。)

マーガレット > それと同じようなものです。
確かにそれは錬金術士じゃなくても出来ることですが、
錬金術じゃないと出来ないこともあったりするんですよ。
血を水に変えることや、条件さえあれば水をワインにだって変えられるんです。

(そういう簡単なレベルでの物質操作であれば問題はない。
それこそ莫大な質量を変えろと言われれば、時間を浪費するし、未知のものを創りだそうとすればそれなりの時間がかかってしまう。
魔術のような即席とは違い、時間をかける私の錬金術は、どちらかといえば研究に近い。
その証拠に、日差しに焼けた跡も見当たらず、筋肉を余り感じない手首が、服の袖から覗いているでしょう。
彼との距離が少し離れれば、ほっと安堵をついて背中にもたれかかる。)

い、いえ。別にビビってるというか、まぁ…ちょっとあまりにも勢いが良かったので

(相手の表情を伺えば、悪気のない平謝りだった。無理もない。
こういうことを苦手とする人、そうでない人で、そもそも価値観が違うのだから。
改めて座り直してみると、距離を一度縮めた分、さっきよりも間隔は狭い。
少し乱れた横髪を直し、改めて彼へと視線を送ります。
また、目が合いました)

教えて、と言われましても、すぐ見せれるようなものでもないんですよ。
それなりに道具が必要でして、一度アトリエに戻らないと。
でも今からじゃ帰りが……

(興味津々な相手には少しばかり申し訳ないが、
事実、私の錬金術は時間をかけて行うものが多い。
もともと、今日はここで宿を取るつもりだったからこそ、相手の期待に応えられない不甲斐なさを自嘲するような愛想のいい笑顔を浮かべて。
こうすれば諦めてくれるだろうと高をくくっていました。私ならこれで諦めるだろうしと。
ーーただ問題は、そもそも相手と自分とでは雲泥の程に価値観の差があることを見落としているわけで。)

ソード > 水をワインに変えるのは、土を金に変えるのとは違うのか?

(ほほう、と頷きながら、顎に片手を当てつつ問いかける。
頭を使わず適当に生きている事が多いので誤解されがちだが、この男は別に頭が特別に悪い訳ではない。いいかどうかは知らないが。
相手の言葉を受けて、首を傾げながら問いかけを向ける。)

そうかい?そんな風に見えたんだけどな。
やー、面白そうだとついな。

(首を傾げながら答えるものの、別段深く言及する必要のある話題でもない。
すぐに笑いながら頭を掻いた。
この調子で戦闘行為にも及ぶから、戦闘狂だのと呼ばれるのだ。)

別段、話ィ聞かせてくれるんでもいいんだけどな。
つまりあれだろ?アトリエに行けば見れるんだろ?
いいじゃん。連れてってくれよ。
必要なら謝礼を払ってもいいぜ。

(別段、話だけでも良かった。
良かったのだが、アトリエに戻りさえすれば見せてもらえるらしい、というニュアンスだと相手の言葉を受け取ったようで。
眼を輝かせて、立ち上がる。
続く言葉は、つまり「金を払ってでも見たい」だ。
恐ろしく自己中心的で、我の強い男。流され易い性質を自認している彼女には、あるいは非常に迷惑で相性の悪い存在であったやも知れない。
無論、男にとっては知ったこっちゃあなかったが。)

マーガレット > 根本的には一緒なんですが、ただ条件が違うんですよ
ワインは葡萄で出来てますよね? 葡萄の水分から、生まれている。
錬金術ではその法則に従って、水があれば、少量の葡萄からでもワインを錬金できるんです。
逆に金と土ではそもそもの性質が違うんですよ。
ただ金を用いれば、土を使って金を増やすことも出来たりしますけど

(それなりに、わかりやすく教鞭をとったつもりだけれど
具体的なところに関しては口で習うよりも慣れろといったほうがいいかもしれない。
しかし、彼の質問というのはある意味核心だ。
その根本を理解していると理解していないとでは錬金術の学び方も、利用の仕方も変わっていく。
土塊と金を混ぜれば増やすことも出来るのは事実。
けれど、所詮それは見てくれだけ。
ワインも同じだ。長年熟して創りだしたワインには到底及ばないものしか作れない。
錬金術とは、そういうものだ。1から、2を作り出すことは出来ない。
理想のものとは常に劣化してしまう。
概ね軽い説明をしたところで、息をつく。
そろそろ解放してもらえるだろうと思った矢先、飛んできたのは彼の唐突な提案だった。)

はいっ?
え、ちょっと…待って、待って。私のアトリエ、ヤルダバオートよりも遠いんですよ。
今から戻ると時間もかかるし、それにもう直夜になりますし
明日帰ろうと思ってたところで
そ、それにお金まで払って見る価値のものじゃないと思いますよ?

(私があれこれ相手の気を削ぐ言葉を選んでいても、無駄であると知らされるのは数秒後のことなのだろう。
確信する。おそらく一番相性の悪い、自分の土俵へ持って行けないタイプの相手だと。
自分も利己的な人間ではあるが、彼の場合それを超越した自己中心。
打算や損得に支配されない、自由奔放で気ままな我の強さ。
本当に子供のような人で。この時既に、心の隅では、また流されるんだろうなと既に敗戦処理を始めていました。)

ソード > なるほどな。
鉄を鋼にはできねぇけど、鉄と石灰石、石炭あたりがありゃあ、炉がなくても鋼を作れる。
―――って事でいいんだよな?

(ふむ、と顎に片手を当てながら首を傾げて、彼女の言葉に答える。
興味がある、教えてくれ、と言っただけあって、きちんと頭を使って理解に努めているようであった。
眼は好奇心と興味で輝いているが、同じように真剣であった。
子供がいつも、遊びに真剣なのと同じであろう。)

いいじゃねェか。
夜道なんぞ大した問題じゃねぇよ。野盗が出ようが魔物が出ようが、俺が何とかしちゃる。
金がいらねぇってんなら何でもいいぜ。どっか危険で取りに行くのが面倒な場所にある素材でも、魔物からとれる素材でも、言いつけれくれりゃあ取って来る。
何なら、俺の血でもいいぜ。

(話を聞くだけなら、ここまでの条件は出さなかったかも知れない。
しかし、実際に見れるとなれば、男の興味は俄然高まってしまった。
今この場の勢いという面は否めないが、しかし、基本的には勢いで生きているので後悔などしない。
後悔しないという事は、冷静になって思い直すような事もないのである。
おっとじゃあカンテラの油買い足さねぇとな、などと、もう完全に行く流れで勝手に決定している。
迷惑極まりない人種である。)

マーガレット > ……。

(思わず絶句してしまう。
こういうタイプの相手は、頭を使っていないものだという失礼な先入観を持っていたけれど、
彼の言うことはまさにその通りだった。
真剣に輝いた瞳の好奇心は、まさに自分が幼いころ錬金術を学びだした時と一緒なのかもしれない。
そういう意味では、その純粋さが、好奇心に磨かれてとても眩しかった。)

え、ええ。その通りです。理解が早いですね。

ーーって、え? いや、いやいやっ!
本当についてくるつもりなんですか!?
待って、待って。私もう宿とっていますし、それに流石にそこまでしてもらうわけには

(矢継ぎ早に嘘をついた。本当は宿なんて取ってはいないけれど、
相手を諦めさせるために慌てて出た言葉。
次第にそれが自分の首を絞めているのにも気づかずに、彼の勢いのままに押し切られていってしまう。
特に一日で往復するというのは、屈強でもない相手に比べて女性の身としては正直しんどいものがある。それを理由にしてしまおうと、落ち着きを払ってそれらしい理由を付け足した。)

ーー明日、明日にしましょう。私も今日はもう疲れてますから
だから一晩宿で過ごしてから、また明日アトリエへ行くというのでは?

(ある種の妥協だった。
明日になれば興味も削がれているかもしれないという可能性にかけて、いざとなったら逃げ出すことも算段に入れながら、提案する。
半ば諦めかけていた思考で結局導き出された答えに、肩を落としつつも、それでいいかという提案に相手が乗ってくれるかは、また別の問題なのですが。
その場合は潔く諦めるしかないのでしょう。)

ソード > (己の問いかけに相手が黙ってしまうと、うん?と首を傾げる。
暫しの沈黙の後に、問いへの肯定が返って来ると、おお!と声を挙げて。)

そいつぁ良かった。
いや、説明が分かりやすかったからな。さすがにあれだけ丁寧にいわれりゃわかるさ。

うん?本当についてくつもりだけど。
って、何でい。もう宿とってんのか。んー……まぁ、宿代はちともったいねぇ、か?ここは宿代も安くねぇし。

(相手の言葉には、また首を傾げる。きょとん、という感じだ。
既に宿をとっていると彼女が言えば、あー、とこれには少し顎に手を当てて唸る。
先ほど、ぼったくり価格の話をしたばかりなので、思う処があったらしい。)

わかった。んじゃあ、明日だな。
それじゃあ、おめぇさんの宿に行こうぜ。俺もそこで部屋取るわ。
んで、話だけでももう少し聞かせてくれよ。な?

(相手の提案には、上機嫌そうに笑顔で頷く。
明日の遠足が決まった子供のようである。
そしてナチュラルに続いた言葉は、完全に相手の逃げ道だの退路だのを塞ぎに行っている言葉だった。この男自身には、そんな意図は微塵もないわけだが。)

マーガレット > え゛……?

(ついてくる気だ。
大きな小動物、或いは子供に懐かれた気分にその場で卒倒してしまいそう。
打算に妥協を重ねた結果結論付けられた言葉に、暫し迷った後頷くことしかできないでいた。
部屋も別れればさして問題もないでしょうし、もしかしたら部屋の空きがないかもしれない。最低一人部屋が空いていればそれまで。
相手の計画性のない提案はそこで御破算するわけだ。
結局彼の条件を飲み、その足で二人は近場の宿屋を目指していく。
勿論、私が宿をとっている体で。)


(ーーーしかし、御破算したのは私の方だった。
空き部屋が一つという条件はクリア。これで私一人悠々と寛ぐことは出来る。
少々値は張りますけど、これで一旦別れ、朝一にでもアトリエに戻ってしまおうかという計画は、無情にも宿主の言葉で打ち砕かれる。
空いている部屋は二人部屋の個室。
退路は完全に塞がれてしまった。)

……まさかこんな展開になるとは

(それは喉から捻り出された、悲痛と諦めの言葉だった。)

ソード > ―――?どうかしたのか?

(とりあえず、半額より多めに金を払った男は、何も気にした様子はなく。
とっとと部屋へと入ってしまい、剣だの外套だの革鎧だのをパージし始める。
無論、それを脱いだからといって裸になるようなものではない。
何だか扉の前に立ったままの彼女を見て、何で入ってこねんだろ、などと首を傾げたりしている。

ともあれ、少なくとも彼女の受難はまだ始まったばかりである。)

ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からマーガレットさんが去りました。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート」からソードさんが去りました。