2022/04/30 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にダニエレさんが現れました。
■ダニエレ > 休日の午後、奴隷市場の喧騒から幾らか外れた、うら寂しい路地を辿る人影ひとつ。
先刻まで目くらまし代わりに羽織っていた鈍色のマントを片肘に抱え、
王都でも名高い学院の制服姿を晒しただけで、いささか不用心ではあるかも知れない。
しかし、――――――この街へ連れて来てくれた学友とはぐれ、彼を探そうとしている今。
靴音も高く歩き回る今は、厚着でなど、とても居られなかった。
「どこ、行ったんだろ……ひとりでフラフラしちゃ危ないって、
あいつが自分で言ってたのに、なぁ」
呟くくちびるを尖らせるまま、俯き加減に溜め息をひとつ。
陽が西へ傾きつつあるのが、また、少年の焦りを募らせていた。
■ダニエレ > 「―――――― あ!」
見慣れた上衣の裾が、ちらり、曲がり角の向こうで翻った気がした。
大声で学友の名を呼ぼうとして、けれども呼び止めるより追いついた方が早いとばかり、
少年は小走りにスピードを上げ、その角を曲がっていった。
一人分の靴音は高く、あっという間に遠ざかって――――――。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からダニエレさんが去りました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にダニエレさんが現れました。
■ダニエレ > ―――――― かつん、こつ、ん。
陽の暮れ落ちた裏路地に、心なしか疲労を引き摺るような靴音が響く。
それを奏でた、学院の制服姿の少年は、といえば、明らかにぐったりした表情で、
人が住んでいるのかもわからない、朽ちかけたような建物の壁に手をつき、
通行人どころか、犬猫一匹すら通りかからない周囲の様子を、紅い瞳できょろきょろ見回し、
「……ま、ずいなぁ……。
これ……絶対、ボクの方が、迷子だ……」
初めは確かに、はぐれた学友を探していたのだ。
はぐれたのは相手の方だった筈だ、けれど今はもう、
明らかに、こちらも道に迷っていた。
土地勘皆無の見知らぬ街で、一人、辺りは暗くなってしまった。
幾ら好奇心旺盛な少年でも―――――かなり、心細くなる状況である。
かろうじて、まだ、怯えた表情にはなっていないけれども、
それも、もう、時間の問題かもしれなかった。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にメレクさんが現れました。
■メレク > 奴隷市場都市バフートの路地裏――――。
下手をすれば、その場所は退廃の王都マグメールの貧民街よりも治安が悪い。
街自体、あちらこちらにて奴隷への凌辱や調教が行なわれており、
奴隷市場の他にも奴隷達の闘技場や調教施設、娼館街が軒を連ねる悪徳の都である。
国内外からの観光客が物見遊山で気楽に訪れた結果、
身包みを剥がされた挙句、翌日には奴隷市場で売買されているか、
娼館に売り飛ばされて変態達に尻の孔まで掘られるというのは珍しくもない話。
特に学院の制服に身を包んだ見目の好い少年などは格好の餌食だっただろう。
複雑に入り組んだ地元民しか分からぬような裏路地にて彼に目を付けたのは徒党を組んだゴロツキたち。
左右の建物の物陰から目配らせをすれば、複数人が一斉に飛び出して、
憐れな迷い子の少年の手や足を掴み、口を塞いで抵抗せぬように捕縛しようと試みる。
■ダニエレ > 気心知れた学友同士、連れ立っての社会見学。
陽が暮れるまでには帰路につくつもりでいたから、宿の用意も無い。
数刻前から一人であちらへ、こちらへ、
途中からは明らかに、迷子ですと言わんばかりの挙動を示していた。
そんな姿が人目につき易いことも、狙われるであろうことも、
本当の意味で理解していたとは言い難い、世間知らずの少年は、
『彼ら』にとって、あまりにも都合の良い獲物であったろう。
歩き回っているうちはまだしも、足を止めてしまったら。
「―――――――――― え、」
目の前に、黒い人影が飛び出してきた。
誰だ、と思う間も無く、左右から腕やら肩やらを掴まれ、捻られ、
悲鳴を上げようとした口許を、大きくて分厚い掌で塞がれる。
人攫い、と気づいて暴れようとした足さえ、捕まえられて担がれて、
ろくに抵抗も出来ないまま、行き着く先はそのへんの地べたか、
それともどこかの建物の中か、あるいは適当な物陰か。
携えていたマントだけが、その場へ打ち捨てられ、踏み躙られて残される。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からメレクさんが去りました。
■ダニエレ > <移動します>
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からダニエレさんが去りました。