2021/04/30 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にエルトラスさんが現れました。
エルトラス > こじんまりとしているが贅沢な内装と演出が施されたカジノ部屋
その一角が派手に喧騒を上げながら騒ぎが起きている
何時もならカジノなどしない客もそれを面白げに見るためにのんびりルーレットなどに興じつつもそちらへ視線をちらちらと向け
その騒ぎのカードのテーブルでは2人の初老の男が血走った目をしながらカードを見つめている

「………ああ、ステイ」

数合わせ、で参加させられた用心棒の真似事のバイトに呼ばれた男は辟易しながらディーラーに適当に応えた
先程から、何度も助けを請うような視線が向けられるが敢えて無視する
2人の男の真ん中に挟まれてお姫様のように座っている娼婦をチラ見する
首輪から細い金の鎖が伸びて、端っこが卓の上にじゃらり、と置かれて誰にも手をつけられていない
賭けで勝った方がその鎖を握って、一晩を買う権利があるということだ
その娼婦が云々ではなく、恐らくこの過程を愉しんでいるのだ、老人達は
内心辟易しながら、ディーラーのカードオープンを聞き流した
片手に下げた何が入っているが怪しい酒をぐび、と飲み干した。妙に甘ったるい香りが後味に残る

エルトラス > カードが捲る音だけが響いた

ディーラーがホッとした声で、勝者の宣言とお祝いの声を掛ける
客の片方がテーブルの上の鎖を掴み片腕を突き上げた
小さく、カジノが沸く

怒鳴り合いの喧嘩になるかと思いきや、2人の老人は笑い合いながらエロ話に移行した
本人の前で薬がどうとか何を使うとどうとか、アレに何を突っ込むのも面白いとかと話し出す
ちらり、と鎖で繋がれた女を見ると青ざめている
どうしようもない

「おつかれさん」

ディーラーに一声掛けてスツールから降りる。巻き込んですみません、と頭を下げるのへ手を振って離れた
どちらかを勝たせるのが問題が起きそうな場合、オレを勝者にしてお茶を濁すつもりだったのだろう
ここの勝利者がどちらか、というのも恐らく経営者からの指示でディーラーが決めているはずだ
要するに、茶番だった
むしろ客の老人2人もそれは薄々判ってはいただろう
だが、安全にそういう愉しみを提供するのもここの娼館の人気の一つなのだ
あくびを噛み殺しながら、用心棒の待機所へと向かう
恐らくここの主から何か労いがあるだろうことを期待して、姿を消した

ご案内:「奴隷市場都市バフート」からエルトラスさんが去りました。