2021/02/08 のログ
■セラフィールド > 掛けられた声に、ビクッとした様子を見せたのはそれだけ目の前の光景に意識を取られていたからか。
声の主へと目を向けながら、何者であるかと見定めるように目を細める。
台詞回しに、見目の良さからしてこの街の有力者なのだろうかなどと思考を巡らしながら、小さく首を傾げてみせ。
「いえ、なかなかに目を引く見世物だと思いまして。
あの奴隷自体には、さほどの興味はないわ。でも、あそこまで躾けた調教技術には興味が無い事も」
壊されているかと思う様な激しい責めたてに感じて嬌声をあげる様にちらりと目線を流して、奴隷そのものよりもその背景の方に興味がある様子を窺わせる。
実際、奴隷を買うよりも調教師を雇って奴隷を育成した方が長期的には安くつくのかしらと、脳裏の片隅で思案しながら、忠告の台詞を吐いてくる相手の方こそ奴隷の素材として攫われかねない容姿ではないかと苦笑し。
意識すれば、欲望の目線がちらほらと感じとれ。それを自分の容姿の優れている証と、ちょっとした興奮と心地よさを感じながら周囲の男達へと視線を巡らし。
「ご忠告をどうも。確かに、ここはうっかりしていると危なそうな場所ね」
見目が良いだけの無力な少女であれば、無事に出る事はできそうな街なのも噂通りなのねと感心した様子を見せる。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ >
「ほう、調教技術に?であれば、商人達も鼻が高いだろう。
奴隷そのものではなく、躾の技術に関心を持って貰えるというのは、奴隷商人にとってはそれなりの誉れ故な」
此方が投げかけた声に少し驚いた様子の少女に、小さく苦笑いを零しつつ。
彼女の言葉に小さく頷きながら、此方も責め立てられる奴隷に視線を向けるだろうか。
「それなりの身分の者とお見受けするが…まあ、此の街では身分など関係無い場合が多い。
一人で歩くなら、路地裏などに踏み込まぬ様に気を付ける事だな」
と、欲望の視線を向けられる少女に視線だけ向ける。
仕立ての良い、フリルで飾られたワンピース。己の尊大な物言いにも丁寧な言葉を返すのは、慣れているからだろうか。
「……私はギュンター。ギュンター・メルヒオール・フォン・ホーレルヴァッハ。
王族の地位を戴き、不肖の身ではあるが尽力させて頂いている。もし宜しければ、御名前を御伺いしても構わないかな?」
大富豪の娘か、貴族か、或いは王族仲間か。
その辺りの女だろうか、と目星を付け乍ら、彼女に向き直り名を名乗る。
王位継承権を争う者であれば…互いに名乗れば、その素性も分かるだろうか、との思惑もあった。
■セラフィールド > 「まあ、商人にとっては商売の種でしょうから。
そうそうに技術を開示してもらえるとは思わないけど……やっぱり、気にはなるわね」
この都市ならではの秘伝みたいものがあったりするのかどうか。
人の心を弄るぐらいなら自分でもできるが、単なる技術で人を堕としていくノウハウ。そこには興味を引かれて、心をそこに置いている様子を見せながら。相手の台詞から、奴隷商人の元締めみたいな立場なのかしらと、相手の背景を推察し。
「そうね。お姫様と呼ばれるような身分とぐらいには、明かしておきましょうか?
噂通りなら、うかつに路地裏に踏み込んだらわたしも次の日には奴隷にされてしまいそうね」
相手の言葉に小さく頷き。それなりの身分ではあると悪戯めかして肯定する。
続く忠告の言葉にも、くすくすと小さく笑いを忍ばせて危機感の薄い態度を見せるのは身分の高い者にありがちな警戒心の無さか。護衛や実力を隠しているからか。
むしろ、ちょっとしたスリルを味わえるかもと路地裏への興味を内心で募らせたりもしていたりして。
「あら、よろしくギュンターさん。わたしは……セラと呼んでくださいな」
名を問われて、ほっそりとした顎先に指先を当てて悩むような仕草を見せ。どうせ、バレはしまい。あるいは、バレるのも一興と楽しんでか。にっこりと愛称を言葉に乗せる。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ >
「お姫様、か。食えぬ奴よな。とはいえ、それだけ余裕を持っているのなら私の心配も杞憂であろうな。
襲われても何とかなるのか。或いは、それを望んでいるのか。
此の街…いや、此の国はそれだけ背徳に満ちている。貴様の性癖がどうであれ、驚きはせぬさ」
此方の言葉に肯定の意を示し、危機感を感じさせぬ様な素振りを見せた少女に、呆れた様な吐息と言葉。
まあ、こんな服装で出歩いているくらいなのだから、ゴロツキ程度に襲われてもどうにかするのか。
或いは『どうにかされたいのか』…何方もなのかな、と内心思案していたり。
「……セラ、か。宜しくな。しかし何にせよ、護衛がいるのなら早く呼んだ方が良い。或いは、宿があるのなら早々に戻った方が良かろう。
そろそろ、奴隷の調教に滾った者達が現れ始める頃合いであるし――」
セラ、という名前に己の記憶を探るが……今のところ、王位を争う主要なライバルの中に、その名は思い至らない。
家名迄聞けば或いは、ではあるが…まあ、其処まで気にしても仕方ないだろう。
何方かと言えば、既に欲望の籠った視線と熱で少女を舐める様に見つめる周囲の男達の方が気になる。
別に、助けてやる義理は無いのだが――
「……此の街では、余り油断していると私の様な悪い王族の手籠めになってしまう、かもしれないからな?」
ゆっくりと、彼女に近付くと――微笑む少女の腕を引こうと、緩やかに手を伸ばすだろうか。
避けようと思えば避けられる程度の速さ。ただ、彼女に伸ばされただけの腕。
避ければ特に追い掛ける事はしないだろう。もし避けなければ、少女の躰を其の侭己の腕の中に収めてしまおうかな、くらいには思っているが。
何方にせよ――その判断は、彼女に委ねられる事に成る。
■セラフィールド > 「あら、余裕があるのがバレました?
正直なところを言えば、この都市の悪評はよく耳にしてますから。どんなものかと、直接目にしてみたいと思わなくも」
人の性癖が歪んでいるような事を言わないでくださいと、否定するように軽く手を振り。
襲われたいというよりも、本当に襲われるか確かめてみたいというスリルを望む好奇心というのが正確な所かしらと自分の内心に意識を向けながら、苦笑のような笑みを淡く浮かべ。
「ご忠告をどうも。そうと言われるのなら、思う様な奴隷も見つからなかった事だし。帰ろうかしら」
性的な娯楽目的であれば、かなり多種多様な奴隷が目につき。これはと、目を引くような者もいたが。別の意味で実用的な奴隷はというと、思うような物が目につかず。
今日の所はこれまでと、引き返すのもよいかもと忠告の言葉に思案を巡らす。
ねっとりと絡みつくような欲望の視線は、ゾクゾクとした興奮を誘い。わざとらしく悩むように腕を組んで、胸元を寄せて強調して煽ったりしつつも、相手の忠告自体はもっともと実際に絡まれるよりも先に移動はすべきかと思い。
「この街でなくても、悪い王族に目を掛けられたら手籠めにされそうな気がするわね」
この王国は、その程度には腐っているものと嘲りを含んだ笑みをこぼして相手の顔を見つめ。伸ばされた手をするりと避けて、後ろに下がり。
「それでは、ギュンターさん。悪い人に絡まれるより先に、わたしは変える事にするから。またの機会には、面白い奴隷とか商品の話でも」
そのまま、ひらりと別れの挨拶のように手を振り笑顔を向け。次に会う時には、もう少し詳しい話でもと言葉を送りながら、人波に紛れるように去っていく。
■ギュンター・ホーレルヴァッハ >
「社会見学には、些か悪趣味が過ぎる気がするがね…。
とはいえ、その気持ちは分からぬでもない。自衛出来るのであれば、好きなだけ見て回ると良い。『お姫様』であれば、民草の暮らしぶりを知るのも大事な仕事だろう?」
クスリ、と小さく笑みを零しながら彼女の言葉を肯定する。
己が視察を兼ねて戦場に出る様なものなのだろう。
此の国の支配者層は、得てして物好きが多いことなのだし。
「それが良かろう。客寄せに相応しくとも、冷やかしが長引けば商人たちの受けも悪い。
大人しく、日を改めてまた来れば良い」
どうにも、周囲の男達を煽る様な行動が目立つ。
案外、本当に被虐的な思考なんだろうかと、胸元を強調させる様な彼女の動作に、小さく溜息を一つ。
「…違いない。此の街、ではなく、此の国、と言うべきだったかな。私とて、人の事は言えぬがね」
一本取られたな、と苦笑い。
とはいえ、緩く伸ばした手を彼女が躱せば、此方もそれを追う事はしない。
『王族が手出ししようとした』という事実だけで、少なくとも此の場では厄除けくらいにはなるのだろうし。
「ああ、ではな。セラ。次は、私の部下から奴隷を買ってやってくれ」
此方は、相変わらず偉そうな。尊大な態度で軽く手を振って彼女を見送るのだろう。
彼女に下卑た視線を向けていた男達も、残念そうな溜息と共に散っていく。
「………ああいう女は、良い商品になり得るだろうが。
晒し者にするのは惜しいとも思わぬかね?」
擦り寄って来た商人達にそんな言葉を零しながら。
少年もまた、奴隷市場の喧騒から姿を消すのだろう。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からセラフィールドさんが去りました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からギュンター・ホーレルヴァッハさんが去りました。