2020/10/16 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にエンジュさんが現れました。
エンジュ > 「―――――ちょいと、ソコのアンタ…いったい、何してンだい?」

(その場面に女が遭遇したのは、法外な支払いをモノともしない、
 酔狂な依頼人の許で仕事を済ませた帰り道。
 星明かりだけが淡い光源の、細く暗い通りではあったが、女が今宵、
 借りた宿への近道でもあったため、足早に通り抜けようとしていたのだが。

 何でも売れる、何でも買える、売るのも買うのも自己責任。
 そういう街だと知ってはいても、目の前で未だ幼女と呼べそうな小娘が、
 何処ぞの商人の子飼いだか、はたまた変態貴族の下僕だか。
 兎に角、縦幅も横幅も倍はありそうな男どもに拐かされそうになっているのを見ては、
 素通りするのも気が引けた。
 胸元辺りで軽く腕を組み、眇めた目線を宛がえば、
 振り返った男どもも、お手本通りに凄んでくるけれども)

「引っ込んでろ、と言われてもねェ……
 そうしたいのは山々だけど、そのコ、泣いてンじゃないか。
 流石にねェ、ちょいと、寝覚めが悪いだろうからね……」

(苦笑交じりにそう返したが、特段、勝算がある訳でも無い。
 金で解決がつくようなことなら、とは思うけれど、
 腕力勝負になった場合は、―――――さて、どうしようか、と、未だ暢気に。)

ご案内:「奴隷市場都市バフート」にアルファさんが現れました。
アルファ > 闇を凝らせたかの外套を身にまとう男が一悶着する通りで足を止めた。
フードの端から覗く紅い目は女性と中年の遣り取りを興味深そうに見つめる。
やがて翡翠色の長髪の人がおされ気味になるのを見届けるとその方に足を進めて。

「やぁこんなところにいたのか」

少女の肩を掴んでいた太い腕を軽々と跳ねのけた男はフードから覗く唇から見知ったように奴隷の少女に語りかけ。
その背をゆっくりと押していく。

「さ、ご主人さまがあっちで待ってるよ……早く行きな」

少し強めに少女の背を押し、その場から逃してやろうと試した。

エンジュ > (怪我したくなけりゃ引っ込んでろ、それとも代わりに売られたいか。
 ―――そんな決まり文句に怯えはしないが、さて、どうするか、と。
 思っていたところへ、黒い外套を纏った男が近づいて来た。

 捕まえられていた幼女が、その男の手で拘束を解かれるなら。
 女にとっては渡りに船、幼女の行く先が何処であろうと、
 その子供の身分がそもそも何であろうと、構うものではなく。)

「アンタ、あのコの知り合いかい?
 そンなら、あたしの出る幕じゃないねェ…、
 こんな時間にこんなトコ、ふらふらしてたら危ないよォ、嬢ちゃん!」

(紙よりも白い顔を強張らせ、まろぶように走り出す小さな背中にそう声を掛けてから、
 現れた男にもちらと視線を向けて)

「アンタもね、……早く、追っかけてやんな。
 あんな調子じゃあのコ、その辺でまた、別の男に取っ捕まるよォ」

(ひらひらと手を振ってみせたのは、別れの挨拶の代わりに。
 直接的に手を下した男の方へ、先の男どもの注目は集まっていることでもあるし―――
 非力な女としては、この隙に乗じて闇に紛れてしまうとしよう。
 子供を見殺しにするのは躊躇う女だが、大人の男の場合は、また、別だった。)

ご案内:「奴隷市場都市バフート」からエンジュさんが去りました。
アルファ > 奴隷少女など持った覚えはない。ただ助けになろうとしただけ。
裸足で痛ましく掛けていく少女の背を見送り後ろから迫る男に裏拳を食らわせた男は背後に振り返るが。
そこには先程いた女性がいないことに小さく肩を竦めて闇に溶けるように消えていった。

ご案内:「奴隷市場都市バフート」からアルファさんが去りました。