2020/05/04 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にセリアさんが現れました。
セリア > 王都から離れ、少数の部下と共に訪れたバフートの奴隷市場。
程よく暖かい一日だからか、市場も活気に溢れている。そこかしこから奴隷商人の声が上がり、そこに人集りが出来る。
その様を眺めながら、若い女騎士は一人でぶらぶらと彷徨いていた。

「……とても、私には縁のない世界ねー…」

部下は一足先に宿に引き上げさせているため、今のこの時間はフリータイムだ。
人混みを掻き分け掻き分け、適当に座れる場所が見つかったのでそこに腰を下ろした。

ご案内:「奴隷市場都市バフート」にコカさんが現れました。
コカ > 奴隷市の通りをヨロヨロと壁や荷物に手を突きながら歩いている褐色の女が一人歩いている。
事後という事で疲れ切っているわけではない、女は目にアイマスクを装着している。
音だけで回りの環境が把握できるのだが、喧噪が広がる市場の間では反響音が聞き取りずらく
道を歩くには難儀していた。奴隷商とも完全に逸れていたが、目玉商品でもないこの女を
探す事はなく、事実上そのまま放置されていた。

真っすぐな通りに並ぶ人ごみや他の奴隷にぶつかりながら何とか歩き続けている。

セリア > その賑やかな通りを、ふらふらと覚束ない足取りで歩く姿にふと目が行った。
危うく人にぶつかりかけながらも歩き続けるアイマスクの女性に、思わず立ち上がって近づいていく。

「…ねぇ、貴女……大丈夫?」

奴隷にも見えるが、近くに商人の姿は無さそうだ。
はぐれたのかと一人合点し、とりあえず支えようと彼女に手を伸ばす。
避けられなければその腕を取り、先ほどまで座っていたベンチに連れて行こうとして。

コカ > 「っふぁ…あ、すいません有難う御座います。」

先のベンチまで大人しく導かれて行き、ベンチに腰掛ける。
女は布どころではなく、褐色の全裸を黒いベルトで巻いただけの姿をした。
いくらか歳より幼く見える褐色の肌を持っていた。細身だが肉付きの良い尻が
ふんわりとベンチの上に乗る。

「お忙しいかもしれない中、有難う御座いました。」

セリア > 「気にしないで。大して忙しくもなかったし」

場所が場所ゆえか、全裸にも近いその姿にも驚きは見せない。
最も驚いたところで、アイマスクをしている彼女には見えないわけではあるが。
お互いに座ったのを確認してから、そっと手を離した。

「…それにしても、どうして一人で? 誰かとはぐれたとか、そういうことかしら」

一応問いかけながら、何となく彼女を間近で観察してみる。
褐色の肌と、案外肉付きの良い肢体。ぞんざいに扱われているというわけでも無さそうだが…と一人想像しつつ。

コカ > 「私は売られたわけではなく、産まれた集落も健在です。」
「でも私の出来る事が集落では少なくなってしまって。前のお仕事と似た仕事を探してこういう物があると」
「…王国で聞きつけたので…奴隷商ですか?…その方々から私も入れてほしいと頼んだんですが」
「やはり…出所が分からない者は厄介だったのか…探される様子も無いので」
「はぐれたついでに…そのままクビになったという所でしょうか」

表情はあまり変わらないものの、しゅんと僅かに肩を落とす仕草を見せながら
再び市場の周りをキョロキョロと見回していた

セリア > 「なるほどね。……何せこういう街にいたものだから、勝手に奴隷かと思っちゃった。ごめんなさい」

先入観で判断したことを詫び、相手の話を聞く。
しゅんとした様子に眉を下げ、辺りを軽く見渡してみるも…此方に気を取られるような者はいないようだ。

「彼らにとっては、奴隷を売りさばくことが一番重要なのよね。…だから、その推測もあながち間違いではないのかも…」
「…ところで、似た仕事って言ってたけど…貴女、どういう仕事をやってたの?」

詮索するわけではなく、興味本位で問うてみる。

コカ > 「いえ…私自身を売っていたので奴隷の肩書で間違いないと思います。」
「ただ…自分でなる場合は少ない様だから…」

首にかけていた金属のタグのようなものを軽く鳴らすと、先ほどまで周囲と虚空を見ていた女は
真っすぐ女性騎士の方に顔を向け、目線を合わせているようにした。

「集落にいた頃は性交を通じた宗教的な儀式を行う上で神職を補佐する立場にいました。」
「儀式の間に複数人の男性と一度に交わります。それが私の仕事でした。」

セリア > 「うーん……そうなのかしら、ね。奴隷に関わることがあまりないから…」

よくわからないのは確かだ。
此方に顔を向けた彼女と、目線を合わせるような形になる。
瞳こそ見えないが、それでも見つめられているような気分になって少々身動ぎした。

「…性交による神職の補佐……」

成る程、と頷き、視線は再び彼女の褐色の肌へと向けられる。

「つまりそれを行うことによって……儀式の結果を良い方へ導く、みたいなこと?」

コカ > 「そうです、私の故郷より北。帝国という場所だと【巫女】に相当する役職だったそうです」
「私のは…もっと原始的な方法だったそうですが」

原始的な裸族の出身としては割りかし応答がしっかりしている女。
肌に目を向けられると、すぐにソレを感じ、黒い竜革に包まれた指先で自らの薄い乳房を
滑らかに撫でた。

「性交で発生する精気が儀式中の魔力の源でした。そして私も、それなりに上手に執り行えたと」
「僅かに自負しています。」

セリア > 「巫女……」

集落、そして原始的…という言葉とは裏腹に、受け答えもしっかりしている。
王都やこういった都市部で暮らすにも支障は無さそうだと感じた。最も裸族ゆえ、人目は間違いなく引くだろうけど。

胸元を撫で擦る、その滑らかな手付きに視線が吸い寄せられる。

「……大体わかったわ。教えてくれてありがとう」
「でも、…いざ売り込む機会を逃したとなると…どうやって暮らしていくつもりなの?」

奴隷商とはぐれ、あまつさえクビになってしまった現状。気になってそっと問いかける。

コカ > 女性騎士が教養と推測を駆使するのであれば、単に奴隷的な立場ではなく
集落の年長者に十分な教養を与えられているという事になり。
集落の中ではかつて重要な立場にいたと考えられるかもしれない。

「メグメール?ですか?…其処には集落と同じだけの資源があります。」
「食料は其処で調達する事も出来るので、また戻って過ごします。」
「野性的に見えるかもしれませんが、私が今までしていた生活とあまり変わらないんですよ?」

さり気無く故郷の集落の生活観を伝えつつ、やや緩やかになった表情で一度会釈する

「王国で、気をつけないといけない事も最近判明しましたし」

セリア > 手前勝手な推測ながら、彼女が集落内でそれなりの立場にいた、ということは何となく把握できた。
自分は王国以外のことを知らなすぎるな、と思い苦笑する。

「メグメール……成る程。住む場所がある、というならいいけれど」

彼女の、緩やかな表情を見て少し安心したように微笑んだ。
その後の言葉が気になって、首を傾ぐ。

「王国で気をつけないといけないこと?」

コカ > 「はい、寧ろあちらの方が…故郷に近くて過ごしやすい印象を受けます。」

僅かに頷きながら、首を傾げる相手に少し難しそうな、困ったような表情をしながら
考えるようにまた虚空を見る。

「首都に向かう経由としてヤルダバオートという都市に向かった事があるのですが」
「複数人の兵士に囲まれて、凄い威圧的な様子で…執拗に色んな事を聞かれ」
「かなりの足止めを受けた事があります。」

再び女性騎士の方を見ると、また首にかけている金属のタグを鳴らしている

「最終的には彼らの知らない集落だったようで、見逃されました。」
「彼らはずっと私の事をイキョウト(異教徒)と呼んでいました」

セリア > 「そう。それは良かった。…異国なんだし、少しでも住みやすい場所で過ごした方が良いわよね」

そうして、判明したという話を聞くと納得したように一度天を仰いだ。
その首にかかった金属のタグが鳴る音につられ、視線が向く。

「あの辺りは色々と物騒でね。……出来るなら、あまり近寄らない方が良いかも」
「基本的には、王都周辺で過ごすのが良いと思うわ。私も普段は王都に住んでいるから」

コカ > 「イキョウトについては余り…知らない概念でした。」
「それは、いけない事なのでしょうか?…私は別に何もしていないのですが」

知らない間に失礼な事を言う事はココに来て何度かあったが、歩いているだけで
尋問を受けた事は無かった。何が問題だったのかと首を傾げる。

「神聖、と銘打っているので大丈夫だと思ったのですが…」
「…当然、集落で学んだ事だけでは分からない事が多いのは覚悟していましたが」
「まさかココまでとは、予想外でした」

セリア > 「いけないこと、って考える人もいるのよ。あの都市だと…ね」

最後にヤルダバオートに足を運んだのはだいぶ前のことだ。
現状を詳しく知っているわけではないが、相変わらず物騒なところであると小耳に挟む。

「神聖だったのはもう昔の話ね」
「今は…勿論、聖職に付いている人はいるんでしょうけど…貴女が想像しているよりずっと危ない場所」

とまで教えたところで、だいぶ日も傾いていることに気づく。
少し考えてから、彼女の方を向いた。

「ねぇ。今からメグメールに戻るくらいなら、ここで一晩過ごしたらどう?」
「ここでこうして会えたのも何かの縁だし…私の部屋を使っていいから」

最近はどこも物騒だからね、と誘いをかける。無理強いはしないが。

コカ > 「成る程…まだそちらについては分かりかねる感覚です…」
慎重を要するとはいえ学べる事がありそうだと、静かに頷きながら

「有難う御座います。でも私は夜もまたこの町をうろつかなければ」
「実は儀式の他にもお役に立てるかもしれない体質が私にもあります。」
「身体は丈夫な方ですし、まだまだ出歩いてやれる事を確かめなければ」
「こう言っては何ですが、また必要な時お頼りする事になるかもしれません」

すっと立ち上がる。一旦の休憩に入ったのは奴隷市の通りに人気が減っていた。
首を振って金属のタグを鳴らすと、目が見えないにも関わらず今度はハッキリと
障害を避けて歩いている。

「長くまで有難う御座いました。再び邂逅した時よろしくお願い致しますっ」
ココで初めて、女性騎士に向かって真っすぐ笑いかけた。

セリア > 「そう? なら、気をつけてね」

やることがあるというならば止めはせず。
立ち上がり、しっかりした足取りで歩き出すその背を見つめる。
少し遅れて自分も腰を上げた。

「まぁ、頼るならいつでも頼ってくれていいわ。……私、セリアって言うの。貴女は?」

最後に彼女の名を聞いておこうと問いかけつつ、向けられた笑顔に此方も思わず微笑む。

コカ > 「こうしてお会いできたので、今度は簡単に見つける事も出来ると思います。」
夕方の風が吹くと、果物のような甘い香りがする。
後ろを向きなおすと、女の後ろ姿はコレもまた紐のようなベルトで巻いただけで
細いが骨ばりの無い尻肉がむちむちと動くのが完全に見える。

「セリアさんですね、私はコカです。」
「せめて市場の外まで歩けませんか?大丈夫だという事をお見せしたい」

そう告げて彼女に並び歩けば時折首を振り、金属のタグを鳴らす女は
先ほどとは全く違って真っすぐ歩き、きちんと障害物を避けて進む事が出来るのを見せた。
そのまま市場を抜けて行けば、また会えればと違う道を歩き出すハズである。

セリア > 簡単に。そんな心強い言葉を聞き、肩を竦めて笑った。
漂う甘い香りにつられたわけではないが、そのまま彼女の傍へと歩み寄る。

「コカ、ね。……えぇ、勿論。じゃ、行きましょ」

そうして彼女と共に歩き出し、市場を後にする。
金属のタグ音を響かせながら、しかし一切危なげない足取りで進んでいく姿に安堵の息ひとつ。
別れ際には「またね」と言葉を残し、女騎士は自身の宿へと戻っていった。

ご案内:「奴隷市場都市バフート」からコカさんが去りました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からセリアさんが去りました。