2020/04/19 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」に番号215642さんが現れました。
番号215642 > 意識が戻って一番最初に確認するのは、四肢が動くかどうかだ。右手、左手、右足、左足。薄目を開けて現状を確認する。見慣れた檻ごしの風景。どうやら市場の端の方に今日は置かれているらしい。小柄な獣が横たわってようやく入れるような小さな檻が地面に置かれていて。その中でちょうど目覚めたところだ。

「ン…」

上体を起こして腕を伸ばした。小さな檻の中でどれくらい寝ていたのだろうか。上体を起こすとそれだけで頭が上の鉄板にこすってしまう。恐らく檻は幾つか重ねられていて、この上にも別の奴隷が入った檻があるはずだ。夜だからといって人出が減らない奴隷市場を歩く人並みをぼんやりと眺めた。

番号215642 > 今の借りの主人であるところの奴隷商は、商品に金をかけないことで有名らしい。
朝晩の餌はかなり少なく、いつだって空腹を抱えている奴隷は、意識もややぼんやりしていて。

「おなか…へった」

一晩だけ買われてまた売り戻されることも多い市場ではやはり、高く売れる、売れやすいと言う要素は大切になってくる。
彼は売られた先から逃走、暴れるなどを繰り返して、売り戻されることが多いから、商人にもさほど大切にはされておらず

「おなかへった…」

ただひたすらに空腹を抱えることになる。
「だれか…」

一晩だけでも買ってくれれば、腹が少しでも満たされるのではないかと、檻の鉄格子から腕を伸ばす。

番号215642 > 重なった檻の一番下。地表に近いところから伸ばした手を誰も握ることはなく

「キャン!」苦痛を訴える狼の鳴き声

行き交う人に強かにその手を振り払われた。
故意なのかを確認する術はないが、どちらにしてもモノだと思われていることは確かだ。
おずおずと腕を戻して、檻の中、小さく丸まって座る。

「さむい…」

まだ春も半ば。夜になれば随分冷える。
せめて主人に仕える奴隷であれば、毛布の一枚でも与えられるのだろうが。腕を体に抱きつけて、少しでも暖を取ろうと。

番号215642 > 空腹もあいまって、薄れる意識。
朝の餌の時間までしばらく、眠りにつこうか。

ご案内:「奴隷市場都市バフート」から番号215642さんが去りました。