2019/03/25 のログ
カナン > 「言ってませんでしたっけ? 本を探しています。とても珍しい本を」

声のトーンを落として、北方犬種らしく丸く反り返ったしっぽに触れる。
毛足の長い白黒の毛に細指を埋めて、ざらざらとした手触りを楽しむように揉みほぐす。

「この世のどこかにあるかもしれない。ないかもしれない。今はまだわかりません」
「先輩が元の姿に戻る方法があるのかどうか、たしかなことは何もわからないのと似ているかもしれません」
「あるとすれば、「それ」は歴史の影に隠れた地下組織の秘匿施設のような場所に」
「おおよその目星はついているので、あとは現地調査を残すばかりですが……ついて来て頂けますか?」

しっぽを扱く手を止め、ふと何かの気配を感じて振り向く。
人ごみの中に特に怪しい影があるわけではなかった。気の迷いだったのだろうか。

「ネイトは男の名前でしょう? ですから、仮の名前です。ネイトちゃんも変ですし。その姿でいる間の愛称というか……」
「終わったら宿を引き払って帰ります。それまで我慢してくださいね、先輩」

目指す売り場にたどり着き、とりあえずぱんつの見えないサイズの合った服探しに着手する。
そしてはじまる後半戦も、偶然の出会いに恵まれそこそこ買い物ができたそうな。

ネイト >  
「ふぅん? 珍しい本って……こ、こら…!」

尻尾を揉まれると、敏感なそれは全身に快感を伴うくすぐったさを伝えてくる。
たかが尻尾一つで本当なんなんだこの体!?

「わかった、ついていく! ついていくから!!」

尻尾を扱かれて身を捩りながら、それでも気配には気付かず。

「仮の名前か……何か考えないとか…」
「ああ、ああ。わかった、わかったよ」

それからの服の買い物も大騒動で。
こんな毎日を、日常にしてしまっている自分がいた。

ご案内:「奴隷市場都市バフート」からカナンさんが去りました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からネイトさんが去りました。