2019/03/24 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にカナンさんが現れました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にネイトさんが現れました。
カナン > 一月のあいだ定宿と定めた旅籠の、私の部屋に二人目の住人を迎えてはや数日。
「ネイト・オルブライト」と名乗る先輩そっくりのミレーは私物らしい私物も持たず、着のみ着のままで。
仕方なく私の服と下着を貸していたのだけれど。

「………サイズが合ってないんですよね。肉があまっているというか。ぱつんぱつんというか」
「ぶっちゃけぱんつ見えてるので、歩くときには気をつけて下さいね先輩」

というわけで。

先輩のために新しい服を買いに来ました。
かわいいかわいい奴隷ちゃんをもっとかわいく着飾らせたい。
そんなご主人さまたちのニーズにお応えするお店は星の数ほどあるみたいです。

「こういう風なのが着てみたいとかありますか? なければ適当に探してみますけど」
「もしかして先輩、服のことならけっこうお詳しいんじゃないですか?」

東西の文化が行き交う奴隷都市では服飾の文化もほとんど無国籍だ。
よく言えばよりどりみどりで、悪く言えばまとまりに欠けるという感じ。
適当に目についた中でお客さんの入り具合のいいお店へと、先輩の手を引いて入っていく。

ネイト >  
服と下着を貸してもらいながらも、なんだかんだで困っている。
その、視線が。集まってきていて。
居心地が悪い。娼婦の気持ちがわかる。やっぱりわからない。

「好きで余らせてるわけじゃないからな」
「ぱんつが何だ、僕は男だからな……き、気にしないぞ…」

気になる。すごく気になる。

そんなこんなで手を引かれて客の多い店に来た。

「ないな……レディーに服を贈ることはあっても、自分で着たいと思ったことは一度もない」
「僕が詳しいのは貴人向けのプレタポルテの類だ、ちょっとわからないな…」

店の中をキョロキョロと見渡して。

「女性物ばかりじゃないか」

カナン > 「だって先輩、女の子じゃないですか」

何を今さら当たり前のことを、と言いたげに振り向いて。

「先輩はパッと見先輩とそっくりなんですから、服装にも気をつけて頂かないと」
「まずは下着を探します」

家庭的な装いの、年齢層もさまざまな女の人でごった返すフロアを奥へ奥へと進んでいく。
そしてやってきました下着コーナー。
高齢女性向けのラインナップからネコちゃんのプリントつきの女児ぱんつ、果ては今夜使える勝負下着まで。
右も左も下着だらけの下着空間へようこそ。

「よくご存知かと思いますけど、下着はサイズに合ったものを選びましょう」
「大きすぎても小さすぎてもいけません。ええ。お歳を召してからダルンダルンになるのは嫌でしょう?」
「とりあえず採寸からですね」

店員さんを呼んで先輩の採寸をお願いする。
慣れたもので、採寸用のメジャーをジャッと伸ばしてニコニコ営業スマイルで近づいてくる。

「この子はちょっとシャイなので、恥ずかしがるかもしれませんけど……遠慮なくやっちゃって下さい」

ネイト >  
「ああ……そうだったな、今は…今はな」

渋々現実を認めて店の中を見る目を彼女に向ける。
下着……下着か…
性奴隷用の衣服を着せられた時から……
苦手だった……女性物の下着……っ
だがそんな感情から脱却……卒業…認めなければならない……っ

「年を取るまで女のままでいるつもりはないからな」
「大体、僕は……採寸?」

さいすん?
サイスン。
ちょっと言葉が頭に入ってこなかった。
採寸っていったのか?

「の……」

のわーっ。そんな声が店内に小さく聞こえただろう。
サイズを測られて呆然と肩を落としている。

何が悲しいって自分の肉体は男の自分が聞いたら抱きたいと思うレベルの豊満さだった。

「……そ、それで…何を着用するべきなんだ…?」

カナン > 「はー……」
「なんなんですか? 訳わからないんですけど??」

信じられない。理不尽なものすら感じている。
私のそれよりほんの少し大きな胸に人差し指をつきつけて、ぐりぐりとつつく。

「薄々そうなんじゃないかって気がしてましたけど、いざ負けてるとわかるとショックですね……」

先輩も先輩で、あまりの発育のよさにショックを受けている様子で。

「まあいいでしょう。私は先輩の分を探すので、先輩は私のを探してください」
「ええ。私に着せてみたいと思うものを。日常生活の邪魔でなければ、多少は大胆なものでも構いません」

ここには局部さえ隠れないようないかがわしい下着さえ並んでいる。
女の敵の先輩はどんなものを選んでくるやら。

「10分後にここに集まりましょう。どうせ何枚か買っていくので、なるべくたくさん見つけておいて下さいね!」

サイズの大きい下着はデザインの種類がないから、半分くらいは諦めないといけないかもしれない。
そのあたりも見越しつつ、私は多めに探してきましょう。

ネイト >  
「わけがわからないのは僕も一緒だ、ええい突くな!」

女体化の魔術をかけるついでに胸も大きくしたのか、あるいは自然とそうなったのか。
認めがたい。全くもって、認めがたい。

「カナンのそれだってスゴイのにな…そもそも自分についてても嬉しくない」

ついてて欲しいのはアレのほうだ。

「なにい!? なんで僕がカナンの分の……ええい、わかったよ」

赤くなりながら下着を選びに向かう。
今のままだと街の男性から変な視線を向けられるだけだ。
頼むぞ、カナン。僕の心の衛生環境を保ってくれ。

そそくさと選んで、気がついたら10分ほどか。
元いた場所に来て、溜息を吐いた。

「ショックなことが一つある」
「紐の下着って基本的に引っ張っても外れる構造になってないんだな…?」
「僕は何度か引っ張って外させてもらったが、女性のほうからしたら探すのに苦労したサービスだったわけだ…」

それでも紐パン、フリルのついたやつ、レースのやつと選んできた。
どうでもいいが名前がわからん。

カナン > 「けっこういいのがありましたよ。見てくださいよこれ!」

サイズを見ながら趣味で選んだものが六着。先輩が好きだった寒色系の色合いで揃えたものを持ち寄った。
普段使いができるほどに落ち着いたデザインだけれど、控えめなレースとリボンがかわいらしい。
生地の肌触りがよく、厚ぼったくもないので通気性も◎。私が選んだものはそんな感じで。

「飾り紐の話ですか。先輩は女の敵なので、もっと卑猥なものを揃えてくるかと思いましたが……命拾いしましたね」
「ええ。ごめんなさい先輩。ちょっと嘘をつきました。それも全部、先輩用です」

先輩が選んできた分もあわせて三、四着くらいは選びたいところ。
もう一度店員さんを呼んで。

「こちらなんですけど、この子のサイズでありますか?」

採寸のときの数字を思い出しながら伝えて、全種類ちょうどいいサイズを揃えてもらって。

「ちょっと試着してみたいので、一緒に見ていただけますか?」

先輩と店員さんと三人でお店の奥のフィッティングルームへ。

ネイト >  
「広げて見せるなよ……」

興奮するだろ。しないけど。
自分の感情がいかに動物的で、男性本体に支配されていたかを思い知る。
それでも女性的な考え方が染み入る前に。男性に戻らねば。

「なにぃ!? じゃ、じゃあ僕が卑猥な下着をセットで持ってきていたら…」

僕が履くハメになっていたのか!?
怖っ。自分がエロい体でエロ下着を履く姿を想像して身震いした。
ついでに胸が震えた。

「はいはいわかったわかった、試着試着するする」

ぞんざいに頷きながらフィッティングルームへ行く。
男のままだったらなぁ。

カナン > 「ちょっと期待していたんですけどね」
「先輩が私をどんな目で見ているのかよくわかりました」

当たり障りのない、でも紐つきの混じったラインナップが雄弁に物語っている。
まだ自分の好みを押し付けられるような間柄じゃない。でもゆくゆくは……といった感じでしょうか。

「さすがに下着の付け方くらいはわかるでしょう?」
「こう、朝チュンの時とかに付け直してるところを見ているでしょうし……」

店員さんがところどころで不思議そうな顔をする。

「どうしてもわからなければ呼んで下さい。私たちは外で待ってますから」
「それと、着替え終わるたびに見せて下さいね。ヘンじゃないか気になるでしょうし」

順々に試着して、店員さんとあれがいいこれがいいと意見を出しあって次へと進む。
そしていよいよお待ちかね。先輩こだわりの例の紐のお披露目です。

ネイト >  
「クソッ、とんでもないトラップだ…」

下着のつけ方について問われると、困惑した様子で頷いた。
慣れた。
悲しいことに。
慣れてしまった。

「朝チュン言うなよ、履くから待っててくれ」

もうヤケだ。男性に戻ったらこの時の記憶は封印しよう。
そして、紐の下着を履いてから。

「終わったぞカナン」

と、彼女を呼ぶ。これはかなり恥ずかしい。
自分のむき出しの欲望を身に纏った女の姿だ。
くっそー、どうして僕がこんな目に。

カナン > 「ほう」

店員さんと顔を見合わせる。似合ってるなんてレベルじゃないですよこれは。

「いい感じですね。なかなかじゃないですか。カッコいいと思いますよ」
「先輩はおなかもシュッと引き締まっているので、ローライズが映えるんですよね」
「すごく見栄えがいいというか」

店員さんも営業トークそっちのけで褒めちぎる。
このかわいいミレーのお姉さんが元は男の人だったと知ったらどんな顔をするだろう。
試着室の前まで近づいて、いろいろな角度から眺める。

「買いですねこれは。二つめと四つめ以外全部買っちゃいましょうか」
「ちなみにこの紐、引っぱると解けるんですか?」

手を伸ばしてぐいと引く。

ネイト >  
「僕はちゃんとした下着ならそれでいいんだ…」
「褒められたって今は銅貨一枚ぽっちも出せないぞ」

品定めされているようで居心地が悪い。
フン、と鼻を鳴らして下着姿で腕組み。

「ちょ、ちょっと待て! 引っ張るな!?」
「解けるタイプじゃないから! 待て待て、落ち着け!」

落ち着いてないのは僕のほうか。
ちくしょー、なんだってこんな恥ずかしさが。

「オルブライトの家に辿り着けたら、下着代も請求するといいさ」

ヤケになった表情で、そう言い放つ。パパとママもきっと頭を抱える請求内容だ。

カナン > 「なるほど。解けないタイプだとこういう反応になるんですね」
「これが先輩の言うサービスシーン……やっぱり解けるタイプってそういう用途なんですか?」

そういう。勝負下着的な。
男心というものをほんの少しだけ理解できたような気がします。

「下着はこれで十分かなと。ご立派な尻尾のある分、股上の浅いものが多くなりましたが……」
「動き回ってもズレたりはしないはずなので、いいお買い物ができました」

試着を終えて、先輩が着替えているあいだに購入を済ませておく。

「ちなみに今のお金は父からの仕送りです。あまり無駄使いはできないのですけれど」
「バフートでの用事が終わるまで、王都には戻らないつもりです。私も仕事で来ていますから」
「お金を出して頂けるのは願ってもない話……ですけど、今はあまり期待をしないでおきますね」

包んでもらった下着を先輩に渡して。

「次は服を探しましょう。ドレスコードのある場所にも立ち入れて、旅の装いにもなる様なものを」
「先輩的には、なるべく首輪が目立たない方がいいでしょうか?」

屋外活動向きの衣装のならぶあたりへと、手を引いて進んでいく。

「そういえば、さっきふと思ったのですが……先輩、ネイトちゃんって呼ばれたいですか?」
「お外で名前を呼ぶ時の話です。もし今のお姿が本来の自分でないというのなら、ほかに何か仮の名前でも?」

ネイト >  
「そういう用途以外でつけてたら不便だろ!」
「ちょっとしたことで解けたらどうするんだ」

自分だったら嫌だ。
男の立場で言わせてもらうと嬉しい。

「尻尾は敏感だからな、押し込んでおくと窮屈だし…不便な体だよ」

「うん、そうなのか? 悪いな、カナン……」
「仕事の詳細を聞いてなかったけど、今聞いても?」

言われてから首輪に触って。
硬質な手触りにうんざりする。

「ああ、そうしよう。これじゃ目立って仕方ない」

そして手を引かれる中、抗弁する。
とんでもない話だ。

「僕を呼ぶ時はネイトでいいだろ! ちゃん付けをするな、ちゃん付けを」
「パパとママは僕のことをネイサンと呼んでいたが、今は違う意味に聞こえそうだから絶対嫌だ」