2018/10/24 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にクレス・ローベルクさんが現れました。
■クレス・ローベルク > 薄汚れた奴隷市場の大通り。その少し外れた通りで、クレスは太った奴隷商人と話をしていた。
話の内容は、前に闘技場側が予約していたミレー族の少女の買い取り。
クレスは剣闘士だが、闘技場側の雇われでもある。
故に、この手の、雑用ではあるが奴隷に任せる訳にはいかない仕事が、ちょくちょく回ってくるのだ。……本人にとっては不本意なことだが。
「うん、確かに言われていた通りの子だ。一応聞くけど、"使用済み"では……だよね。その辺は信用しとくよ」
勿論、取引は合法。クリーンな取引だ。奴隷商人の後ろにいる、ボロ布の衣服に手枷を付けた少女の目はまるで空虚なガラス玉の様だが、それはこの取引の健全性に何ら関与しない。
奴隷商人に金貨を渡すと、その引き換えとして手枷の鍵を受け取る。奴隷商人の方も、金貨袋の中を覗いて「確かに」とうなずいた。
「それじゃあ、この娘は引き取るよ。俺はただの代理だけど、まあ良い取引だったと言っておこう」
そう言うと、少女を引き取り、大通りに出る。
後は、ダイラスまでこの娘を送り届けるだけ。
何もトラブルがなければいいけど、と男は手枷で戒められた少女の手を引いて、歩きはじめる。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からクレス・ローベルクさんが去りました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にクレス・ローベルクさんが現れました。
■クレス・ローベルク > 表通りは人通りが多い。
元々、露天が多く道が狭いというのもあるが、何より奴隷というのは維持に物が大量に必要なもの。
当然、それを取り扱う商人や荷運びも居る訳で、人が多くなるのは必然と言えた。
そうなると、狭い道を大量の人間が通行する訳で、渋滞とは言わずとも、
「しかし、流石に歩き辛いな……。君はどうだい?」
そう言って少女の方を振り返るが、反応はない。
首を振りさえせず、ただぼうっとこちらを見ているだけだ。
別に珍しくはないので再度質問したりはしないが、しかし寂しくはある。
「まー、いいや。道幅は狭くなるけど、裏路地使おっか。君素足だし、足踏まれるの嫌だろ?……って質問しても応えないんだった」
そう言うと、手頃な建物と建物の間に入っていく。
道は大人二人分の幅しか無いが、しかし人は全く居ない。
もしかしたら、脇道や物陰に物騒な誰かがいるかも知れないが――しかしそれをどうこうするだけの腕はある。
「さっさと仕事終わらせたいなあ」
そうぼやきながら、裏路地の中を進んでいく。
■クレス・ローベルク > 裏路地を暫く進んで、ふとクレスは足を止めた。
小さく舌打ちし、引いていた手を無理矢理引き寄せ、彼女の脇腹を抱き寄せる。
セクハラではない。寧ろ、ある意味では彼女を守る為の行為に近い。
「……誰か居るな」
眼前の路地裏の脇道。そこに誰かいる。その気配がする。
誰かは解らない。もしかしたら、こちらと同じ通行人かもしれない。
だが、それがこちらの奴隷を"横取り"するのが目当ての盗賊である可能性もあれば、所謂善意の――そう、奴隷を解放するという目的で動く、義賊の可能性もわずかながら存在する。
「できればたむろしてるだけの通行人であってほしいんだがなあ……」
■クレス・ローベルク > 「……」
出てこない。
「……」
まだ出てこない。
「……」
にゃーん。
「何だ猫か……」
ほっと胸をなでおろす。
人間と猫の気配の区別もつかないとは、修行が足りないと笑い、
「それじゃあ、先に進もうか」
そう言って、再び奴隷少女を連れて歩いていく
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からクレス・ローベルクさんが去りました。