2018/10/13 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にカインさんが現れました。
■カイン > 不意に好奇の視線にさらされる少女の前に影を落とす人影がある。
その様子すらも好奇の対象にするもの、あるいは興味を失うもの。
視線の移り変わりを背中に感じながらあられもない有様の少女を見下ろすのは、
お世辞にも小奇麗とは言えない格好をした一人の男である。
「よう、共犯者。久しく見ないと思ったらこんな所に居るとはな、
探すのにちょいと手間取ったぞ」
しげしげと相手の様子を確認した後、一瞬表情を消した後に投げかけるのは至極明るい調子の言。
反応を確かめるようにじっと少女の様子を見据えて目を細める。
■ニア > どこかで聞き覚えのある声に顔を見上げる。
自身がこんな状況に遭っていたせいでもあるが、久方振りに見る相棒の姿。
正直、こんな場で知り合いに出くわすとも思っていなかった彼女は目を丸くしてカインを見つめる。
しかし、店から出てきた店主によって感動の再会は引き裂かれる。
『おーっと、この女の知り合いか?悪いねぇ、こいつは今じゃウチの大事な商品でね。この女と一発ヤりてぇならレンタル料もらわないとねー』
店主はカインに対し下卑た笑みを浮かべ
ニアはそんな二人のやり取りを虚ろな瞳で見つめ続ける。
例え、彼であっても、彼女を連れ去ることはできないだろうが…
少しでも傍にいてくれれば…
そんな思いの籠った視線をカインへ向けた。
■カイン > 「喧しい。余計な事をいうな」
店主に向けてただ一瞥、した後に発せられた言葉は端的にそれだけだ。
平時とは異なる赤い双眸を隠しもせず、文字通りの殺意を直接叩きつけながら、
銀貨袋を放り投げればそれで終わりと言わんばかりに視線を外し、
少女へと向ければ右手を差し出してみせる。
「どうする。というか、どうしたい?
まったく、そんな弱々しい面は似合わんと思うんだがな」
軽く笑いかけながらそう告げれば、少女の前に膝をついて顔を覗き込みがてら、
頭を軽く引っ掻き回そうと反対の手を伸ばす。
その合間にも周囲に向ける視線はどうにも物騒なものであるのを隠しもしないのは、
まるで導火線に火のついた爆弾か何かのようである。
■ニア > 『釣れねーなぁ、明日の朝までには返してもらうからなー?』
銀貨袋を手に取った店主は満足げに笑いながら店へと戻っていく。
その間、突き刺さる視線はカインではなくニアに対して。
処刑されたと噂された極悪人の盗賊ニアに酷使した奴隷が街にいれば誰だって好奇に満ち溢れた視線を向けることもあるだろう。
「…………ごめ、ん」
涙を堪えながら、告げる。
その言葉に以前の凛とした彼女の面影は一切見られず、
ただどこでもいいから人目の付かない静かな場所に連れてって欲しいとだけ応えた。
朝までに戻らなければ、首輪に仕込まれた毒薬によって息も絶えるということだけ説明し、弱々しく震える身体をなんとか立ち上がらせ、カインの肩に手を置いた。
■カイン > 「ふん…」
鼻を鳴らすだけで言葉に応じながら、緩やかに息を吐き出す。
それである程度落ち着けているのは、自分の自制心を褒めるに値するだろう。
ゆっくりと指を握って眉根を寄せたまま、謝る少女の頭をポンと叩くだけで言葉もなく。
「よいせ、っと。それじゃあ俺の定宿にでも行くとするかい。
……歩けるか?」
そっと相手を見下ろす格好のままに問いかけ。
■ニア > 「……さっきまで…仕事させられてたから……
ごめん…………歩けそうにない…」
つい先程まで6人の男の相手をさせられた身体はガクガクと震えており、経っているだけで精いっぱいといった様子。
これでは逃げることすらできないのも当たり前。
それでも、カインが来てくれなかったら、
少しでも安堵できる場所は、彼女にはなかっただろう。
とにかく、朝まであまり時間はなく、少しでも疲れや睡魔を癒せる場所に行きたかったのだ。
そして、少しでも孤独を埋めてくれる人肌を……
■カイン > 「そこは素直でよろしい。
意地張ってたら本当に歩かせる気だったぞ」
軽い調子で言い放って見せながらも、優しくその体を抱き寄せると、
そのまま背中をポンポンと叩いて落ち着かせるように力を込める。
周囲を見回せば目に入る様子に息を吐きながら、体をひょいとお姫様抱っこの形に引っ張り上げ。
「……ん。じゃ、とりあえず歩かなくても済む所と…後体を軽く洗わないとな」
それが必要だろうと考えて告げながら、ゆっくりと自分の宿の方に向かい歩き始める。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からカインさんが去りました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からニアさんが去りました。